意外と会社は合理的: 組織にはびこる理不尽のメカニズム
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2013年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532319175
作品紹介・あらすじ
だらだら続く会議はどうしてなくならないのか。現場のことをわかっていない管理職ばかりがなぜ多いのか-。不条理に見える組織の実態も、その仕組みがわかれば会社はもっと働きやすい場所になる。マクドナルド、HP、マッキンゼー、P&G、アルカイダ、ボルチモア市警、サモア政府、グーグル、ザッポスなど多様な組織を例に、採用、報酬、マネジメント、組織文化、イノベーションといった組織における不合理とその本質を、気鋭のコロンビア・ビジネススクール教授とハーバード・ビジネス・レビュー・プレス編集長が組織経済学の観点から説き明かす。
感想・レビュー・書評
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組織がなぜ不合理な、「なぜこんなにも簡単なことも出来ないんだ」という疑問に答えてくれる本。
平たく言えば、個人的には不合理に見える事象も、組織レベルでは合理的な場合がある。
あるいは個人個人が個人の合理性を追求した結果、組織として不合理に陥る等、かなり示唆に富んだ本だった。
ただし、経済の専門用語はともかく、米国の軍隊の用語も頻繁に出ており、しかもその解説がないため、分かりにくい章も多い。
また本の構成自体がそうなのか、翻訳者の腕なのかは置いておくが、1ページ当たりの文字の量、情報量が多く、しかも硬い文章のため、読みにくい。
もう少し、その辺りを考慮した構成になっていれば、★5だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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ビジネス
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不条理に見える組織というものの実態に不満を抱く従業員は少なくない。だらだら続く会議、現場をわかっていない管理職など。組織というもののシステムに幻滅し、背を向ける前にどうしてそうなっているかという考察はやってみる価値はある。その意味でテーマ&視点としてはとても面白い本と思う。
リーダーの役割とは何か。それは明文化できない、組織の方向性を決定する事であったりルールではない文化を醸成する事にある。その為一見非効率な会議に出席する必要がある。CEOの仕事はあえて会議を通じて情報を集め、メッセージを発信する。
またピラミッド型のヒエラルキー組織ではトップに行くにつれて現場の情報が失われていく。
仕事をチーム制にするか組み立てライン化にするかという議論もある。組織や時代によって差異はあるだろうがこういったのも一長一短がある。チーム制にすると全体性の生産性は上がるかもしれない。だが成果にフリーライドするものがある為インセンティブ設計(評価)は難しい。じゃあ組み立てライン化がいいかというとイレギュラーなトラブルが起こった時にカバーしにくい、なにより部門を超えたチームプレーがないと成り立たない組織もある(例:警察組織)
その為にインセンティブ設計というものは大事である。何より名人の技というのは得てして目立たないもの。自律的組織において評価に不満があるというのはある意味健全だという事まで著書では言っている。
賃金を上げるという事はどういう事なのか。会社側から見ると賃金を上げるという事は堕落を防ぐ為に監視を強化する必要であり、組織の肥大化に繋がる(トレードオフ)
管理職と従業員の間の軋轢が絶えないのは何故か?
理由①人は能力の限界まで出世する
理由②管理職は会社のソフト実態を把握するという極めて不愉快で効率の悪い仕事を引き受けなくてはいけない→作業者より管理職の方が重要(ペンシルベニア大学のイーサン・モリックが行った管理者と作業者の相対比較の研究)
中央集権化とイノベーションは矛盾する。規律や指示への服従を重んじる一方で創造性と想像力を育てる方法を模索している。(例:軍隊、マクドナルド)
又組織の変革にはコストとメリットが存在する。ペーパーレス、サードスペースについても議論の余地はある。 -
なるほど、一見理不尽に感じるシステムにも理由があることが理解できた。逆に、変化を期待するものに対しても、合理的理由がなければ成立しないということだ。
合理性を失った判断をした組織が淘汰されていく。 -
141101 中央図書館
経営戦略やビジネスモデルを解説する経営書ではない。「組織の経済学」を用いて、企業や警察や軍隊という組織が、<span style='color:#ff0000;'>組織目的と構成員の目的を、インセンティブシステムやコミュニケーションツールによって、どのように擦り合わせていくのかの</span>、様々なヒントを紹介する。タイトルの「意外と会社は合理的」というのは、訳がわからない。原題の『The Org』すなわち『組織』が、本書の本質を表している。
組織の経済学は、ノーベル経済学賞も受賞したコースの「企業の本質」に始まる。伝統的な市場の経済学がブラックボックスとして扱ってきた企業などの組織内部について、分析の手がかりをあたえるものだ。組織は、自らの内部に抱えるものと市場で売買するものをどのようして決定するのか。答えは「効率を最大化できるように」だが、<span style='color:#ff0000;'>その鍵となるのは「取引コスト」</span>である。なぜ「組織」というものが存在するのかを理解する鍵である。
では、組織の内部ではどのような論理が働くのか。構成員のインセンティブはどのように制御されるべきか。単純な経営学は「成果主義」とのたまうが、警察のような組織ではそれは通用しない。そもそも明快な「成果」の定義は存在しない。<span style='color:#ff0000;'>さまざまな指標の緩やかなミクスチャ</span>がおそらく唯一の解である。
それでも、こうしたイ<span style='color:#0000ff;'>ンセンティブシステムが、最も優れた構成員の不満の種になる可能性は常にある</span>。時間を潰して給料だけをもらおうとする輩でなく、仕事を趣味とし、インセンティブや報酬は必ずしも気にせずに良い仕事をしようとする人々に、評価と仕事ぶりがかみあっていないというフラストレーションを抱かせるリスクだ。警察の仕事でいえば、逮捕者を出さずに安心を実現している担当者が疑いもなくもっとも優れているが、それは評価されにくい。この論理を突き詰めると、<span style='color:#ff0000;'>最も優れた構成員が不満や幻滅を抱くことが、組織が機能している証拠という逆説的な結論</span>となる。このことを、強力なインセンティブなど経済合理性を盲信して組織を運営しようとするマッチョな経営者とそのスタッフは、戒めとすべきである。 -
組織に不合理で理不尽なメカニズムがあるのは体制成立の背景の由来によるということだが、それは組織に身を置くものなら誰でもわかっていることだと思う。
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組織を機能させるために決めたルールが、結果として目標達成に効かない、という話の羅列。
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