CASE革命 2030年の自動車産業

著者 :
  • 日本経済新聞出版
3.75
  • (8)
  • (24)
  • (17)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 297
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532322519

作品紹介・あらすじ

・Connected=ネットワークに常時接続したつながるクルマ
・Automomous=自動運転
・Shared & Service=シェアリング&サービス
・Electric=電動化
4つのキーワードが、クルマの価値を根本から変えようとしている。


■長く世界の製造業を牽引してきた自動車産業は、100年ぶりとも言える大きな岐路に立っている。「CASE」への対応が、自動車メーカーとそれに連なる部品サプライヤー、サービス企業の命運を握るとされ、各社は必死の対応に追われている。業界の外からは巨大IT企業が、そして世界最大の自動車市場を有する中国が、市場攻略をうかがっている。

■人工知能(AI)による自動運転などのニュースが毎日のように飛び交い、電動化したクルマが一般道を縦横に走る社会がすぐにでも到来するかのような夢をふりまく論者もいる。しかし、遠いと思われていた「未来社会」は、すぐそこまで来ているのだろうか。それは、どのようなプロセスで実現するのか。

■マイカーの完全自動運転を実現するには、技術的・社会的に高いハードルが待ち受けている。電気自動車(EV)に搭載する電池のコストは容易には下がらない。各種インフラの整備には相当の時間を要する。多くの困難を承知でEVに前のめりとなる欧州や中国の戦略の背後には何があるのか――。

■日本を代表する自動車アナリストが、グローバルな視点から、2030年を見据えたクルマと自動車産業のリアルな将来像と日本企業勝ち残りのためのソリューションを提示する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 欧州では伝統的な自動車メーカーが電動化を加速し、米国ではテスラのような専業EVメーカーが続々と登場するとともにGAFAに代表されるIT企業がソフトウェアの方面から自動車市場へ参入し、中国CATLやBYDといった強力な電池メーカーに世界の電池市場が席巻されている現状がある。却って日本の自動車産業は、自動車メーカーを頂点とする巨大なエコシステムの存在と環境と経済成長を両立させる国策が定まっていないために、諸外国と比べてスピード感に劣るように感じていた。
    この本を読んで、電動化は将来的に不可避であるが、そこに至るまでのアプローチはクルマの用途や地域によって異なり、実際のところまだ手探りの
    状態であることを理解した。
     しかしながら、これまでのようにカーメーカーを頂点とした垂直統合型の開発ではなく、サプライヤー自らがアーキテクチャを理解し、カーメーカーに対し提案あるいは共同して車両開発に携われるようにならないとそれができるサプライヤ(ケイレツ外であっても)に一気にシェアを奪われることだろう。
     これまで以上に事業の専門化を進めるにあたり、事業の選択と集中が必要になるものと思われた。

  • 今後の自動車業界の変遷について分かりやすくまとめられた本。

    ・総移動距離における何%がPOV(個人で所有するクルマ)でMaaS(カーライドシェア)になるのかが、今後の自動車業界の変遷における重要なポイント

    ・未来では、クルマがITとつながると予想されるが、インカー領域と呼ばれる車両制御のデータをいかに死守できるか、GAFAをはじめとする IT企業に乗っ取られないかが自動車業界が生き残る道である

  • 2年前の出版だが、著名アナリストの著作でもあり、長く気になっていた。2030年、35年にもガソリン車の新規販売停止などの報道がされている今、本書を手に取ってみた。
    当時から、そして今でも電気自動車になればバッテリーとモーターが重要で汎用電気製品のようにコモディティ化するのだとか、GAFAにしてやられるなどの論調が目立っていた。しかし、作り自体が複雑で人の命を預かる自動車産業は決してそんなことではないことが、地に足をつけた議論でよく分かる。
    一方で今の自動車会社自体が安泰なわけではない。ほとんど自動車産業の一本足打法のようになっている日本経済にとって死活的に重要な課題だ。自分自身の想像力が足りずにイメージできない点もあったが、危機感がヒシヒシと伝わってくる。

  • ①CASEとはConnected,Autonomous,Shared service,Electricの四つのトレンド。

    ②Case革命後の自動車産業のビジネスモデルはサービサーを囲い込んだ収益構造をどう構築するかである。

    ③MaaSとPOVは車の性能の差が必要なことから、別々の成長を告げる予定。

    ④現在マルチメディア車載機器のインターフェースはアレクサやグーグルアシスタントになっており、車載OSを牛耳る仕組みができつつある。

  • 自動車業界の動きが分かりやすくまとめられていて、なんとなく理解するのに役立った。これを元にニュースを見て、改めて読み返すともっと理解が深まりそう。

  • 2019.12.16 車に関する知識がないと理解が難しいところがある。なかなか難しかった。GAFA対車メーカーの攻防。自動運転の実現への道。電気自動車の普及。maasの普及など示唆に富んだ面白い内容。急には実現しないようだ。一般化は2035年以降かなぁ???

  •  個人的には、CASEはMaaSの一要素だと考えている。

     Connected(繋がる)
     Autonomous(自動化)
     Shared & Service(シェア&サービス)
     Electric(電動化)

     間違いなく、クルマの目指すモノづくりはCASEになっていくのだが、MaaSの世界から見るとCASEはモビリティの一要素でしかないようだ。
     つまり、運ぶのは何でもいい。
     それこそ、CASEすっ飛ばしてドローンになる可能性もゼロではない。
     但し、現状一番実現可能性が高いのがCASEというだけの話であって。

     やはり、最終勝者はMaaSのプラットフォームだと思うのだが、そのプラットフォームの方向性が全く見えない。
     おそらく、航空管制や鉄道指令のような、管制・指令システムがプラットフォームになると思うのだが、そんな話は全く聞こえない。
     GPSと5G通信で何とかなるものなのか甚だ疑問。

     と、自分の考えを書いてみた。
     ちなみに本書とは、全く関係がない。
     感想とすれば、余り面白みのない本だった。

  • 2018年時点の自動車業界の概覧。網羅的だが基本的な内容なので、業界の人にとっては知識の整理くらいの用途か。革命とは何か?と思って読んでいたが、サプライヤやMaaS企業が完成車メーカの上に立つから、ということだった。消費者目線ではあまり関係ない。

  • CASEによって自動車業界に起こる変革について詳述した一冊。CASEそのものの紹介に加え、業界にどのような変革をもたらすのか、また業界の変化に対して各社はどのように適応しようとしているのかをまとめている。
    どこまで仕事に関わるか不明だったが、勉強がてら購入。一冊目としては十分すぎる内容ではないか。より自動車メーカー側の立場をとりつつ、自動車メーカー、プラットフォーマーそれぞれの強み、弱みを踏まえ、現実的な予測を立てられていた印象。個人的には、所有される車とカーシェアなどで共有される車を分けて考え、それぞれどのような特性が求められるのか深掘りされていた点が興味深かった。少し冗長な部分もあった気がするが、総じて満足。

  •  日本の基幹産業である自動車産業の構造が大きく変わろうとしている。トヨタ等が他業種との連携を急ピッチで進めている背景に、近い将来、 Maasに見られるように自動車のあり方が大きく変わる可能性があるからだ。自動車製造業の雄として君臨していた企業も、自動車を生産させられる立場に回るかもしれない。そんな激動の時代を迎えていることが実感出来る1冊である。
     自動車産業のコンサルティングの立場からテンポよく解説されているが、素人には専門用語が少々とっつきにくい面があった。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

株式会社ナカニシ自動車産業リサーチ代表兼アナリスト
1994年以来、一貫して自動車産業調査に従事し、米国Institutional Investor(II)誌自動車セクターランキング、日経ヴェリタス人気アナリストランキング自動車・自動車部品部門ともに2004年から2009年まで6年連続第1位と不動の地位を保った。バイサイド移籍を挟んで、2011年にセルサイド復帰後、II、日経ランキングともに自動車部門で2012年第2位、2013年第1位。2013年に独立し、ナカニシ自動車産業リサーチを設立。

「2020年 『自動車 新常態(ニューノーマル)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中西孝樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×