サイバー空間を支配する者: 21世紀の国家、組織、個人の戦略

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
3.00
  • (1)
  • (3)
  • (7)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 118
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532357863

作品紹介・あらすじ

○サイバー攻撃、スパイ活動、情報操作、国家による機密・個人情報奪取、フェイクニュース、そしてグーグルを筆頭とするGAFAに象徴される巨大IT企業の台頭――。われわれの日常生活や世界の出来事はほとんどがサイバー空間がらみになっています。サイバー空間はいまや国家戦略、国家運営から産業・企業活動、個人の生活にまで、従来では考えられなかったレベルで大きな影響を及ぼしつつあります。

○サイバー空間では、国家も企業も、集団も、個人もプレイヤーとなる。その影響力はそれぞれの地理的位置、物理的な規模とは一致しない。そして、経済やビジネスでもデータがパワーをもつ領域が広がっていますが、その規模はGDPでは測れません。
〇本書は、これほど重要になっているのに、実態が不透明なサイバー空間を定量・定性的に初めて包括的にとらえ、サイバー空間の行方を決める支配的な要素を突き止めるものです。果たして、そこから見えてくるものは何か? 日本はサイバー空間で存在感を発揮できるのか?

○執筆には、三菱総合研究所で進めているサイバー空間分析プロジェクト・メンバーと、サイバー研究で知られる慶応義塾大学の土屋大洋教授が入り、骨太の分析と展望を展開します。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • レビュー省略

  • 頂いて読む。

    筆者らはサイバー空間やサイバーセキュリティがもたらす影響を主に政治、経済、安全保障の分野で俯瞰的に分析した
    マーティン・リビッキはサイバー空間を「道具の集まり」と呼んでいるが、本書でもその立場をとっている。サイバー空間は、サイバー空間内だけで支配が完結するものではなく、そこで優位な立場を築くことにより、自らの意志を相手に強制するための道具である。よって、サイバー空間は、支配の道具として位置づけられる(Kindle の位置No.3538-3541)

    サイバー空間を支配するためのパワーは技術、産業/政策、数(データ、市場、利用者数)の関係から導かれるという枠組みを提示した。 これが本書最大の学問的貢献だと思う。

  • 資料ID:21802985
    請求記号:007.3||S
    データが支配する経済活動、その恩恵とともに脅威が入り交じるサイバー空間の全体像、実態を把握するには好適。

  • 本書は、サイバー空間を通じて国際政治における優位性を確立する国家間の争いに関する現状を包括的にまとめようと試みたものである。現在のサイバー空間の性質を①米国の自由競争型、②中国の管理強化型、③EUのようなプライバシーを中心とした管理強化と経済圏の自由競争型に類型化した上で、サイバー空間における国際秩序を整理するには既存の国際秩序の延長線上では不十分であるという主張が繰り返しなされる。具体的には、組織(企業等)・個人が国家に帰属し国家がそれらを主導する垂直統合の関係から同じレイヤーで互いに影響しあう立場となった点、サイバー空間は物理的な制約を受ける性質によって地政学的な考え方に拘束されないとは言え、既存の知性的な分析の適用には限界がある(デジタル化された情報は物理的な国境に束縛されないため)という点などが取り上げられている。
    サイバー空間におけるデータの重要性、サイバーセキュリティ・サイバー攻撃の趨勢、ARPANETを起源とするインターネットの歴史、(データの囲い込み、安全保障、サイバー犯罪等に関する)各国・地域による主導権争いの現状等、本書の前半部分はさながら白書のようであり、概要をつかんだ上で必要に応じて本書を参照する辞書的な使い方で良いと思われる(同様のことが繰り返し記載されるなど退屈な部分もあった)が、後半部分において登場する「国家、組織、個人」の関係・影響力変化といった視点やサイバー空間支配の要素である「技術的優位性、政策及び産業優位性、数的優位性(市場規模等)」といったフレームは、デジタル時代の国家の役割を再考するに当たって興味深いものであった。また、サイバー空間は物理的な機器と情報によって支えられており、これらは電力事情、地盤の安定性、海底ケーブルからの距離などの地理的な条件と密接に関連しているが故に、サイバー空間を構成する要素(通信インフラ、データセンター等)は人口の集中、経済活動、政治環境、インフラ環境といった様々な要因から地理的に集中するという点も勉強になった。
    我が国は何よりもまずサイバー空間の重要性を全体が認識し、十分な(人的・資金的・技術的)リソースを投入することが必要である(未だ国家間の争いのスタート地点にも立てていない)という印象を受けた。

  • 東2法経図・6F開架 007.3A/Mo12s//K

  • 三菱総研と慶応の研究者によるサイバー空間(インターネット)の覇権・国際秩序の展望。サイバー空間には国境がなくフラット化する世界の象徴であり、「国家・組織・個人」の3つの視点で眺めることが大切なのです。
    続きはこちら↓
    https://flying-bookjunkie.blogspot.com/2018/10/blog-post.html
    Amazon↓
    https://amzn.to/2zMDfZB

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

慶應義塾大学SFC研究所上席所員
早稲田大学大学院基幹理工学研究科情報理工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。中央大学兼任講師、一般社団法人JPCERT/CC脅威アナリストを兼任。情報通信技術、サイバーセキュリティ、および外交・安全保障政策に関する調査・研究に従事。

「2022年 『デジタルシルクロード 情報通信の地政学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

持永大の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×