時間資本主義の時代 あなたの時間価値はどこまで高められるか?

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  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532358457

作品紹介・あらすじ

時給を上げる前に、時間価値の最適化を目指せ!!
すきま時間を買う人・売る人、ダイナミック・プライシング、サブスクリプション――。
ほんのわずかな時間の使い方で、人生の満足度に大きな差がつく時代、になった。
気鋭の経営コンサルタントが消費行動、企業のあり方、個人の働き方まで、「時間価値」と「空間」の関係を鋭く読み解く一冊!


人々の時間へのニーズを、時短術などの「時間効率化」と創造的で豊かな時間を過ごす「時間快適化」という2軸で読み解き、「時間価値」を追求するほど、有利となる新時代の到来を「時間資本主義」という切り口で鮮やかに分析した著者の『時間資本主義の到来』を加筆修正した増補改訂版。

ダイナミック・プライシングやサブスクリプションの解説や最新事例を盛り込み、より幅広い読者に向け、わかりやすく書き直した。

ビジネスパーソンの時間の使い道は多様化し、個々人の生産性や時間価値に差が開きつつある。10分の移動時間や待ち時間というすきま時間を活用する人もいれば、長距離の通勤時間を使って本格的に副業をする人もいる。

時間で価格に差をつけるサービスも次々と登場し、「時間価値」から今後のビジネスを考えることが必須となった今、本書は、あらゆるビジネスパーソンに必読の教科書となる。

感想・レビュー・書評

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  • スマホが生み出した現代の時間価値について論じるもの

    「すきま時間」を有効に利用することで、「かたまり時間」で付加価値のあることをしようが、結論とおもいました。

    近代以降の経済行動は貨幣による価値基準をベースにしてきたが、新しい資本主義は、時間価値に対する各人の判断をベースに行われる。それを「時間資本主義」と名付けて論じる。

    90年代半ば以降、情報機器が廉価となり、一人一台、一人複数台の情報端末を所有するようになった。インタネットが広まると同時に、Eメールで連絡するようになった。そのことが、これまでの仕事を劇的に変えることとなった。さらにスマホによってどこでも、メールやインタネットが簡単にできるようになり、さらに仕事の場所に制限されることはなくなった。

    これまで経済活動の主軸であった「かたまり時間」が、どこでも使えるようになった「すきま時間」との価値格差が急激な縮小され、経済活動や、企業活動に大きな変化を与えることとなった。

    「すきま時間」を積極的に活用することは、仕事や家事の生産性を高め、最終的には有意義に「かたまり時間」を過ごすことを目的するべきである。

    今後、人々は「時間価値」という観点から商品やサービスを選ぶようになる。商品選択の基準は2つ

     ①節約=時間価値 その商品やサービスを選択することで時間が短縮でき他の高次な目的のために使用できる
     ②創造=時間価値 その商品やサービスを利用することで有意義な時間を過ごすことができる

    「すきま時間」の効率化の動きによって負の時間が縮小できるのであれば、「かたまり時間」は快適化に向かうべきである。

    アメリカの消費行動が、Eコマースに向かうのは、大型ショッピングモールは時間のムダが多いからではないか。

    時間の効率化と快適化の2つの方向性をしめすキーワードは、パーソナライズ(個人最適化)と、テイラーメイド(注文仕立て)である。

    現代の日本では、商品やサービスの種類があまりにも多いので、選択に時間を使うことをもったいないと感じる人が増えている。

    その結果、無難な選択を行うために、テッパンな商品やサービスを選択するようになる。

    時間資本主義時代の勝ち組・負け組

    ①伝統的エリート お金はあるが時間がない
    ②まじめ貧乏   お金も時間もない
    ③クリエイティブ・クラス(新興エリート) お金も時間もある
    ④終わりなき日常を生き続ける人 お金はないけど時間はたっぷり

    付加価値型のサービス業においてもっとも価値をだせる人ほど、公私混同をゆるされるようになる

    グローバル化が進めば進むほど、各国間で均一化の方向に進むため、日本語だけで仕事している人の給料は下がっていく

    労働生産性に対して、創造生産性が高い人はたまたましか現れない
    それは多様性への寛容かもしれない。歴史的にみても、異邦人を寛容に受け入れた国や都市は強い輝きを放っている

    おわりの言葉は、「すきま時間」に息吹を与えたのはスマホだった。「かたまり時間」を輝かせるのは私たち人間の責務であり、喜びだ。

    目次は以下の通りです。

    はじめに

    第1章 なぜ、時間の価値が変わってきたのか
    第2章 時間価値の経済学
    第3章 時給よりも時間価値の最大化を目指せ
    第4章 時間価値ビジネスの三要素
    第5章 時間価値の高い人、低い人
    第6章 時間価値の高い人が集まる街に仕事も集まる
    第7章 思い出の総和が深遠な社会へ

  • 時間価値を考える、「すきま時間」と「かたまり時間」ヲを意識する

    ・「かたまり時間」を過ごすことを目的にする
    ・すきま時間orかたまり時間 × 効率化or快適化
    ・人に会うことを大切にする
    ・金額的労働生産性を意識する(not量的生産性)
    ・「すきま時間」を有効利用する、「かたまり時間」をとことん楽しむ

  • 時間を切り口に、これから求められる仕事人像やビジネス発展性などを実例をかなり多くあげながら書かれている。時間とお金、実体と仮想、クリエイティブとカッチリ仕事。どちらが大事でどちらが正しい訳ではないが、今、ニーズが大きく変わる転換点に経っていることを実感させられた一冊でした。

  • 時間資本主義という新しい切り口で論理展開している点は非常に興味深い。残したくなるフレーズ もたくさんある。

  • ・人は遠隔でコミュニケーションが取れるようになればなるほど、人と直接会おうとする。それは、出会いに付加価値を求めるからだ。人に会うことで、他と差をつけようとするのだ
    ・節約時間価値:そのものやサービスを利用することによって時間が短縮でき、他の高次な目的のために使用可能な有意義な時間が生み出される
    ・創造時間価値:そのものやサービスを利用することによって有意義な時間を過ごすことができる
    ・ダイナミックプライシングは消費者余剰から生産者余剰への移動だけでなく、新たなニーズを生むことができる。それは、利用者の時間価値を引き上げ、空間保有者や空間利用者によっての経済的メリットも引き上げるウィンウィンの結果をもたらすのだ
    ・「時間の効率化」のみの追求は、「無間地獄」やワーカホリックに陥る可能性が大である。「時間の快適化」という方向性を常に念頭に置き、その最終目的のために「時間の効率化」を行うのだ、という志向の流れを失うことがないように、時間資本主義の世界を生きていくことが肝要なのである。
    ・ショッピングモールは節約時間価値ではなく、創造時間価値のものが成功している。IKEA, Costco,ドン・キホーテなど
    ・TDR:創造時間価値 USJ:創造時間価値に加え、チケットの価格で節約時間価値の機能も付与している
    ・テッパン型消費:ここに来たら、これを利用したら損させませんと思わせることが大事。そして何度も目にしたものに対して、人は親近感や信頼感を持つ
    ・古いコンテンツだったとしても、それが一部の人の共感を生み出し、他社への共振や共鳴につながるかどうかがマーケットを規定する時代になって。そして重要なことに、共振や共鳴を生み出せるモノやコトは限界効用が逓減しにくい。それこそが、時間資本主義時代の「共時型」時空ビジネスの大きな特長であり、今後のビジネスの大きなポテンシャルである
    ・人は特定の人を認識した。そして、特定の人に認識されたいのだ
    ・「いつでも、どこでも」ではなく、「いま、ここ」という同時性の価値が高まっているのだ
    ・もし日本の平均年齢がニジェールのような10代であったなら、国民全体の持つ思い出の量はまだ少なく、これからの明るい未来を想像できるような製品、コンテンツ、コマーシャルが受けるだろう。しかし、40歳や50歳の人が多い社会だと、その人たちが見てきたもの、体験してきたことの総和が未来よりも大きく、過去を使ってマーケティングするほうがより効果的になる。
    ・カルペ・ディエム(今を楽しめ)
    ・未来はいくつもの名前を持っている。弱き者には「不可能」という名。卑怯者には「わからない」という名、そして、勇者と哲人には「理想」という名を(ユーゴ―)

  • かたまり時間でしか稼げなかったのが、すきま時間でも活用可能になり、時間の価値も人により変わるようになり、トレードされるようになった。時間価値の最大化には、節約するか濃度を高めるか。マネーリッチとプア、時間リッチとプア、仕事や行動や価値観が異なる。

    入園料とか、誰にも同じ金額で同じサービスというのは、誰の時間価値も同じだった時代のものなのかぁ。人によって値段が変わるのって、考えないといけなくて、めんどくさい気がする。。

  • なんか既視感があると思ったら、改題だった。確かに5年分新しくなっている。だけど。

  • #読書記録 #読了メモ2020 #timecapitalizm #時間資本主義の時代 ICTの進化は人々に大きな塊としての時間に加えて細切れの集積である隙間時間の有効活用を可能にした。これらの時間を活用して効率的時間活用による生産性は高まるだけだけでなく、創造的時間活用が可能になった。また意識しないといけないのは効率的時間活用が可能になったことで生まれた時間をどのように使うかがこれから求められる。一歩も二歩も差をつける人達はその時間を創造の為に使う。新しいコトが生まれ、共感する人が集い、新たなビジネスとなり、お金が動く。つまり創造的な時間活用を行う人の周りには豊かで面白いコミュニティが誕生するということ。人間に与えられた時間は有限であり、同じ時間である。その時間をどう使うのかを教えてくれた一冊。#ツゲ読書 #柘レビュー ★★★★☆ #読書好きな人と繋がりたい#読書部 #時間資本主義の時代

  • 「時は金なり」とは昔からある言葉だが、時間に対する価値観はこの十数年で大きく変わった。

    この本でかかれているスキマ時間をどのように使い、どのように生産や創造させていくかがキーワードとなる。 

    世の中の経済的な流行りが時間に焦点を当てることでよく見えてきます。

    とても面白かったです。


  • 時間感覚。
    時間の過ごし方。

    時間について考えさえすれば、
    世の中の全ての問題は解決されるとさえ感じた。

    価値観のギャップは、間違いなく時間の感じ方の違いから生まれている。

    時間に焦点をあてれば、新たなビジネスモデルも生まれるだろう。
    自分の人生の質も豊かになっていく。

    今の世の中は、
    時間に対するさまざまな考えがあることを把握する。
    そして、それこそが世の中をうまく回していく。

    では、これからのフェーズでは時間の感じ方はどうなるであろうか?

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著者プロフィール

フロンティア・マネジメント 代表取締役
東京大学経済学部卒業。外資系証券などで証券アナリストとして活動。2003年産業再生機構に入社し、カネボウとダイエーの再生計画を担当。2007 年にフロンティア・マネジメントを大西正一郎氏と共同設立し、代表取締役に就任。同社は東証プライム上場の独立系経営コンサルティング・M&Aアドバイザリー会社へと成長した。著書に『時間資本主義の時代』『持たざる経営の虚実』(日本経済新聞出版)ほか。

「2023年 『ESG格差』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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