高校生のための実践劇作入門: 劇作家からの十二の手紙

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  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (147ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560035634

感想・レビュー・書評

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  • 戯曲を書くための初歩の初歩を指南するエッセイ。タイトルや主な登場人物だけ決めて、テーマやストーリーをあらかじめ決めない方が書き進めやすい、というのはなるほどなと思った。


  • とりあえず何か書いてみるか、という気持ちになる本。短いし平易な表現が多く、さらに取り組みやすい内容が網羅的に書かれている。

    ペンネームから決めてしまう、まずはタイトルからインスピレーションを得よう、決テーマよりもキャラクターと配置と舞台設定を組む、テーマは考えない、全ての要素の「向き」が同じだと単調になる(例:復興、人間の絆、立ち直りなど)、普段から色々な場所に言って経験と観察を行う、など。

    特に日常的にやれる訓練として「観察する」を推しており、これは自分でもうまくやれそうだなと感じた。中川家のコントのように、見過ごされがちな「あるある」をうまく仕込むと臨場感が増す。その上で、人間そのものを観察するとさらに効果がある。

    あとはひたすらパクること。気に入った作家の雰囲気を辿るのも良い訓練になる。落語も典型的な例だ。暗に「良いから真似から入ってインプットとアウトプットをやれ」という話である。

  •  劇作のための入門書というのをはじめて読む。そんなもん、無理だろうと想いながら、なんといっても北村想だからと購入してしまう。が、読み終わって思う。これ、「高校生のための」ってタイトルを付けるのは、高校生をなめているんじゃないか?
     かつて読んだ平田オリザ氏の文章に比べれば思い切り平明だし、書いてあることも基本的である。だからといって、ここに書いてあることは常識をして身につけなければ「劇作」はできないかといえばそんなことはない。あんまり適切な比喩ではないかと思うけど、「ホームページ制作入門」って本があって、ずっと「ホームページにはメッセージがなければならない」とか「まず見る人が楽しめなければならない」とか書いてあって、最後の方に「知っておくべきタグ」とかいう章があるような感じである。ここに書いてあることくらいなら、言い方は別であるにしても、酒井だってアドバイスできるなと思う。ネームバリューの関係で、書店で1500円で売っているか、インターネットのサイトで誰でも見られるようになるかの差があるだけで。
     ただ、決して読んで無駄だというつもりはない。少なくとも、これを読んでばんばん「劇作」ができるようになると思わない方がいい。それから、この本の中にある情報が、1500円の価値があるかどうかは、読む人の趣向やレベルに応じて、非常に微妙なところだと思う。ただし、この本にある「ピンスポットポイント」にある課題を誠実にやった人は、絶対に書籍の値段を超える何かを得ることができると思う。

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著者プロフィール

劇作家・演出家・小説家。1952 年生まれ。滋賀県出身。1979 年に発表した『寿歌』は、1980 年代以降の日本の小劇場演劇に大きな影響を与えた。1984年『十一人の少年』で第28 回岸田國士戯曲賞、1990 年『雪をわたって…第二稿・月のあかるさ』で第24 回紀伊國屋演劇賞個人賞、1997 年ラジオ・ドラマ『ケンジ・地球ステーションの旅』で第34 回ギャラクシー賞、2014 年『グッドバイ』で第17 回鶴屋南北戯曲賞を受賞。現在までの執筆戯曲は200曲をこえる。また、小説『怪人二十面相・伝』は、『K-20 怪人二十面相・伝』として映画化されるなど、戯曲だけでなく、小説、童話、エッセイ、シナリオ、ラジオドラマ、コラムなど、多才な創作を続けている。現在は、主にシス・カンパニーに書き下ろしを提供しているが、加藤智宏(office Perkypat)との共同プロデュース公演(新作の、作・演出)も始動している。2013年『恋愛的演劇論』(松本工房)を上梓。2020 年に第73 回中日文化賞を受賞。

「2024年 『万平BOKS1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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