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- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560042229
感想・レビュー・書評
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某古書イベントで見かけ、野中ユリの挿画に惹かれて衝動買い。鉛筆であちこちに線が引かれてあったのに後で気づいた。綺麗にできないかなー。安直に消しゴムを使っていいものか。
散文詩風短編集。主にギリシア神話を素材とした「或る内的危機の報告書」。著者の内的なものが第一にあり、遥かな神話の定形を面影程度の下塗りに、詩的飛躍とアナクロニズムの眩惑を交えながら、未知の懐かしい物語に仕立て上げている。各作品は短いながら、絶えず乱反射するイメージのおかげで、読む感触はとてもハイカロリー。これは余白多めの造本がふさわしい。
近頃はイーリアス関連を読んでいただけに、アキレウス篇とパトロクロス篇に特に心をつかまれた。女装のアキレウスのアンドロギュノス像と、死せるペンテシレイアにパトロクロスを重ねたアンドロギュノス像の美と崇高。アキレウス篇ではミサンドラとの共犯関係も目を惹いた。彼女もまた勝者なのだと思う。
アイギストスとの姦通、夫殺しの罪を自ら語るクリュタイムネストラ篇も白眉。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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