流れる水のように: 姉アンナ,無名の男,美しい朝

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560042731

作品紹介・あらすじ

「近親相姦」という愛の極限の姿。「傲慢であるすべを知らないだけに、いっそう澄んだ目で世界をみつめる」ほとんど無教養で単純なひとりの男の生と死。透徹した古典的文体で描き上げたユルスナールの佳品三作。

感想・レビュー・書評

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  • 「姉アンナ…」だけ読んだ。
    正直よく解らないけど惹かれる作品だった。

    父親が城塞司令官で、母ヴァレンチーナと娘のアンナ、その弟ミゲルという家族が城砦に住んでいるという状況になぜか興味を掻き立てられた。

    いくつもの部屋に通じる広いバルコニー。愛し合う姉と弟が向かった先は正反対でも、どちらもひとつの達成感を秘めて見えた。

    アンナの肉体と精神が乖離したような後半生と、父親の晩年もまた対比のように感じられる。

    誰もが寂寞感に覆われている。

    幼いアンナとミゲルの髪が、本のページの上でもつれあう描写が好き。

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著者プロフィール

1903年ベルギーのブリュッセルで、フランス貴族の末裔である父とベルギー名門出身の母とのあいだに生まれる。本名マルグリット・ド・クレイヤンクール。生後まもなく母を失い、博識な父の指導のもと、もっぱら個人教授によって深い古典の素養を身につける。1939年、第二次世界大戦を機にアメリカに渡る。51年にフランスで発表した『ハドリアヌス帝の回想』で、内外の批評家の絶賛をうけ国際的な名声を得た。68年、『黒の過程』でフェミナ賞受賞。80年、女性初のアカデミー・フランセーズ会員となる。母・父・私をめぐる自伝的三部作〈世界の迷路〉――『追悼のしおり』(1974)、『北の古文書』(1977)、『何が? 永遠が』(1988)――は、著者のライフワークとなった。主な著書は他に『東方綺譚』(1938)、『三島あるいは空虚のビジョン』(1981)など。87年、アメリカ・メイン州のマウント・デザート島にて死去。

「2017年 『アレクシス あるいは空しい戦いについて/とどめの一撃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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