義とされた罪人の手記と告白 (白水Uブックス)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560072523

感想・レビュー・書評

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  • ゴシック小説とは、18世紀末から19世紀初頭にかけて流行した神秘的、幻想的な小説でゴシック・ロマンスとも呼ばれるとのこと。これまでほとんど読んでない世界だが、今回は掉尾を飾る名作と銘打たれた本の復刊ということで、読んでみた。
    キリスト教の研究者用の引用注記の多さには気になったし、区切り無しの告白も読むのに時間がかかったが、とはいっても読み進めてしまう面白さがある。編者の視点と罪人の告白という二重構成のなか、兄弟殺しの裏側に潜む悪魔的な存在とは何かというのが読みどころだった。良い読書の機会だったと思う。


  •  
    鳥肌がたつほど凄かった。顔が相手により変幻自在するのも心を掴まれ取り憑かれるのも。悪が何処までも離れないならそれは人の範疇ではなくて悪◯だ。付録のジッドの序文が読み手の興奮を代弁していて更に楽しめる。

  • ジッドのエッセイやバタイユの論考で再評価されたという触れ込みに心惹かれてゴシック小説なるものを初めて買ってみた。

    両親、兄弟間の確執から殺人へとつながる事件の顛末を編者の客観的視点から語るパートと罪人自身の主観から語るパートに分かれる。

    宗教的偏見に捉われない父・兄に対して教義を徹底する母・弟。

    編者パートでは陽キャ兄の生活が陰キャ弟によるストーキングを境に破壊されていく様が、罪人パートに入ると弟がある友人との出会いをきっかけにいかにして悪魔的な所業を重ねるに至ったのかが描かれる。

    弟の出会った友人の正体が本書の解釈の難しさだと思うのだが、私は弟の精神が生み出した化け物が具現化されたものと考えたい。
    途中何度も友人に反抗し逃げ出すが、いつも居場所を見つけられ最後には自分の都合に合わせて教義をねじ曲げ行動に移してしまう。
    心のなかでずっと葛藤していたものの、最終的には自分自身で作り出した悪魔に支配されてしまったのではないか。

    宗教や精神医学に明るい人が読めばまた異なった視点があるかもしれない。

  • 【書誌情報】
    『義とされた罪人の手記と告白』
    原題:The Private Memoirs and Confessions of a Justified Sinner: Written by Himself: With a detail of curious traditionary facts and other evidence by the editor
    著者:James Hogg(1770–1835)
    訳者:高橋 和久(1950–)
    出版社:白水社
    シリーズ:白水ブックス;252
    定価:2,530円(本体2,300円+税)
    出版日:2024/03/27
    ISBN:9784560072523
    判型:新書 392
    https://www.hakusuisha.co.jp/smp/book/b641799.html 

    【メモ】
    ・旧タイトルは『悪の誘惑』。
    ・1980年に(新装版は2012年に)、国書刊行会からが日本語訳がゴシック叢書として刊行くださいされている。

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