追悼のしおり (世界の迷路Ⅰ)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560081358

作品紹介・あらすじ

「私が私と呼ぶ存在は、一体どこから来たのか?」その謎を追い、死に別れた母とその一族の軌跡を透徹した筆でたどった、著者晩年の集大成。母・父・私をめぐる自伝的三部作、第一巻。

感想・レビュー・書評

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  • マルグリット・ユルスナールが自分のルーツを辿る3部作の一作目。
    母方の家系について書かれている。

    母の出産後の死に始まり、いろいろな人の死が登場する。
    自分の感情や境遇を語るよりも家系をたどることで、その人達の死が自分に何を残し、どう自己形成に影響したかを考え、それによって自己存在を確認したのかもしれない。

    自己認識とは己が社会でどう生きるかを決めることでもあると思う。

    私たちは時々自分自身について、考え悩む。
    が、それは「私が私が…」となりがちである。

    マルグリット ユルスナールのように、自分についてはあえて控え、家族の過去のつながりへと考察を深めることも自己理解の助けではないだろうか。

    それにして、決して楽しいことばかりでない家系の物語だが、言葉運びや描写が淡淡として情緒的に美しい。

    無論、翻訳者の岩崎力氏の文才もある。

    ゆっくりと味わいたい作品。

  • 2011-5-30

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著者プロフィール

1903年ベルギーのブリュッセルで、フランス貴族の末裔である父とベルギー名門出身の母とのあいだに生まれる。本名マルグリット・ド・クレイヤンクール。生後まもなく母を失い、博識な父の指導のもと、もっぱら個人教授によって深い古典の素養を身につける。1939年、第二次世界大戦を機にアメリカに渡る。51年にフランスで発表した『ハドリアヌス帝の回想』で、内外の批評家の絶賛をうけ国際的な名声を得た。68年、『黒の過程』でフェミナ賞受賞。80年、女性初のアカデミー・フランセーズ会員となる。母・父・私をめぐる自伝的三部作〈世界の迷路〉――『追悼のしおり』(1974)、『北の古文書』(1977)、『何が? 永遠が』(1988)――は、著者のライフワークとなった。主な著書は他に『東方綺譚』(1938)、『三島あるいは空虚のビジョン』(1981)など。87年、アメリカ・メイン州のマウント・デザート島にて死去。

「2017年 『アレクシス あるいは空しい戦いについて/とどめの一撃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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