続 神経内科医の文学診断

著者 :
  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560084823

作品紹介・あらすじ

脳と神経の専門家が診る28作品

 神経内科医が文学作品を読むと、全く違った側面が浮かびあがってくる。脳と神経の第一人者が、自らの読書体験を縦糸、医師としての長年の体験を横糸にして、古今東西の作品を読み解くエッセーの第2弾。
 神経内科とは、脳、脊髄、末梢神経、そして筋肉の病気を扱い、具体的な病名には、脳卒中、脳腫瘍、筋萎縮症、頭痛、幻聴などが挙げられる。前著『神経内科医の文学診断』で、文学畑からは想像もできない「診断」で読者を驚かせてくれた著者が、新たに28の作品を診る。取りあげる作品は帚木蓬生『三たびの海峡』、ガルシア・マルケス『百年の孤独』、フロベール『ボヴァリー夫人』、エンデ『モモ』など。テネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』では女主人公ブランチがなぜ嘘をつくのかが分析され、『ダロウェイ夫人』では著者ヴァージニア・ウルフを苦しめた片頭痛がわかりやすく語られる。本の中の人物が、時空を超えて出現するようなスリリングな体験を味わえ、脚本家の山田太一氏は「すぐれた文学が見事に医学の現実と共鳴して、面白くて深くて艶まである」と絶賛。かつて読んだ本ならもう一度読みたくなり、未読の本ならすぐに手にとりたくなる、刺激的な1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 7月新着

  • 古代神話~近現代に至るまで海外文学の登場人物たちの一節から、その陰に潜む病理や当時の社会情勢を脳・神経科学から推察した一冊。
    書評本をちゃんと読んだことがあまり無かったが、文芸の世界とは異なる分野のプロフェッショナルがその見地から万人に読まれてきた古典に新たな分析・解釈を付け加える(再解釈する)ことで、興味を駆り立てられた。


    ・『モモ』から読み解く脳と時間の問題:物理学的な計測できる時間とは異なる、心の観念としての時間
    ・偏頭痛と抑鬱に悩むヴァージニア・ウルフの自殺とセロトニン欠乏の関係
    ・アメリカ移植から遺伝系譜のあるハンチントン病(舞踏病)と局所的に起こる魔女狩り
    ・個人レベルの善悪の価値観と集団レベルのそれは異なる(例:国家の戦争)→神経倫理学の実験によると、情緒的な善悪判断と集団お利益の善悪判断では前頭葉のつかさどる部位が異なる

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著者プロフィール

1942年、東京生まれ。東京女子医科大学名誉教授。メディカルクリニック柿の木坂院長。専門は神経内科学。著書・編書に『脳とことば』(共立出版)、『パリ医学散歩』(岩波書店)、『神経症候学を学ぶ人のために』(医学書院)、『見る脳・描く脳』(東京大学出版会)、『脳と音楽』(メディカルレビュー社)、『神経内科医の文学診断』(白水社)、『鼻の先から尻尾まで 神経内科医の生物学』(中山書店)、『臨床医が語る 認知症と生きるということ』(日本評論社)ほか多数。

「2015年 『続 神経内科医の文学診断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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