- Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560090466
作品紹介・あらすじ
茅盾文学賞受賞作品
「金ができたら、故郷に帰って店を開こう」――盲人はみな同じ理想を抱いている。南京の「沙宗琪マッサージセンター」は、その名のとおり、沙復明と張宗琪が共同出資して開いた店だ。出稼ぎ労働で苦難をともにした二人は、「半分ずつ」とはいえ、いまやどちらも「店長」だ。ある日、沙復明のもとに、かつての同級生・王先生が職を求めてやってくる。彼は天生のマッサージ師だが、開業を急ぐあまり株に手を出し、せっかく貯めた資金を失っていた。駆け落ち同然で連れてきた恋人・小孔との仲も、新しい環境のなかでぎくしゃくし始める。同僚のマッサージ師たちの人生もさまざまだ。少女時代、全盲でありながらピアノの名手だった美貌の都紅。完全に失明してしまう前に、愛する人との婚礼を目に焼きつけたいと願う金嫣。無口な青年・小馬は、初めて芽生えた恋愛感情に戸惑いを隠せない……。
ふとしたことで、平穏に思えた日常にさざ波が立ち、やがて大きなうねりとなって、盲人たちはそれぞれ人生の決断を迫られることになる。暗闇の中、ひと筋の光明を求め、懸命に生きる姿が胸を衝く。
中国の実力派作家による、20万部ベストセラー傑作長篇。映画化原作。
感想・レビュー・書評
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メディアは障碍者をとかく憐れみ讃美し、また何か偉業を成すよう強いがちだ。私たちはそれに釣られて彼ら彼女らを特別視し、異端視する。本作にはそのような安易な同情や美化は無く、また排除や隠蔽も無い。清らな部分と汚れた部分、好ましい面と厭わしい面とを併せ持つ人間として描いている。そのドラマはあまりに生々しく苦しくなったが、どうしようもなく惹かれてしまいページを繰る手が止まらなかった。婁燁(ロウ・イエ)監督による映画版も気になる。
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遊び心溢れる文章で綴られる群像劇です。もしかしたら訳者のセンスなのかもしれませんが、全体的にユーモア溢れる文体だと思います。しかし、盲人マッサージ師たちの悩みやマッサージ店での緊迫した場面など、喜びと同じぐらい悲しみも描ききっており、読んでいてとてもひきつけられました。
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文学
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盲人の登場人物ばかりというのが気になり読みました。登場人物がたくましくて人間味があって、福祉畑にいる中で障害者へのステレオタイプが強まっている自分を省みることができました。マッサージセンター内の人間ドラマが面白かった。海外文学はほとんど読まないのですが、興味惹かれるテーマがあったらまた読んでみようと思いました。
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目が見えない人たちの世界を描いた作品。どうやって他人の感情を知りえるのか、情報を得るのか、そして生活は。中国の中で、彼らは戸籍を持たない。それが意味することは?人として生きる。自活。マッサージという仕事。先天性で見えないのか。後天性でみえないのか。中国の慣習の中で、生きている人たち。
政治は抜きにして、読める本 -
書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。
http://www.rockfield.net/wordpress/?p=8072