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- Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560092200
作品紹介・あらすじ
ルネサンス時代の裏面を生きた、孤高の錬金術師をめぐる歴史物語。
感想・レビュー・書評
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これほど素晴らしい作品も中々ないものだ。
緊張感のある筆致が常にある。
とはいえ、景色に濃淡があり、主人公のゼノンは
時に群衆に紛れ、時にクローズアップされ、時にその内側から世界をのぞく。
いや、最終的に人の営みと同化していくかのような
そんな気持ちにとらわれる。
歴史と言いかけて、そうではなくて、今はまだ「人の営み」としか言えないが
それが同時に魂そのものであるような、要するに
今僕らが生きていることを証(あかし)立て、勇気づける物語だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
恐怖が人を不自由にする。理性的であろうとするのは時に死をかけた勇気が必要だ。主人公はその深淵を飛び越えて、人間の一つの理想像を示した。
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マルグリット・ユルスナールによる「錬金術師」ゼノンの物語。ゼノンにはモデルとなった歴史上の人物達が複数存在しており、そのことについてはユルスナール本人による巻末解説に詳しい。
プロテスタントが「新教」と称された時代で、錬金術の背景には医学や占星術ももちろん絡んでくる。錬金術師を巡る小説に関心のある場合は、ゲーテ『ファウスト』が最大の教科書で、『黒の過程』と『ファウスト』は漫画などで錬金術を取り扱いたい場合にも勉強になる。
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