アレクシス あるいは空しい戦いについて/とどめの一撃

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560095928

作品紹介・あらすじ

ユルスナール没後30年記念
 ユルスナール(1903-87)が「自作」と認めた最初の作品である『アレクシス』と、36歳のときに刊行された『とどめの一撃』。作家が『ハドリアヌス帝の回想』で世界的な名声を得る以前の、初期の代表作2篇をセレクトした。
 ボヘミアの若い音楽家であるアレクシスが、「せめて自分自身の道徳には悖らぬよう」生きるべく、妻モニックのもとを去るために書き残した手紙の形をとった『アレクシス』。ユルスナールはこの中篇について後年のインタビューで、リルケの強い影響のもとで書かれたと語っている。いっぽうの『とどめの一撃』は、ロシア革命と大戦によって孤立したバルト海沿岸の片田舎を舞台に、三つ子のような三者による愛の悲劇を描いたものだが、実際に起こった出来事に着想を得たという。
 物語はいずれも主人公の声で語られるが、その「意志的に抑制した語調とほとんど抽象的な文体」は微妙なほのめかしに満ちており、須賀敦子氏はこれを『ユルスナールの靴』のなかで、「木陰のような、深い陰翳の気配がある」と評した。
 ユルスナール・セレクション3に収められた堀江敏幸氏のエッセイを巻末に再録。略年譜付き。

感想・レビュー・書評

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  • アレクシス、読むのめっちゃ時間かかった…でも全ページ全行がわたしの最近の心を正確に言い表していて、あらゆる細かいところまで行き渡っていくようだった。一行目読んで心をつかまれて、恋に落ちるような感覚だったけど、読み進めるうちにあまりにわたしに近くて、どちらかというと友だちとしてすごく長く付き合うことになる人との出会いみたいだった。

    もう当分ユルスナールは読みたくない…笑

  • 一文一文が心に肉薄してくるように思うほど正確な心情描写で、こんなに感覚が研ぎ澄まされていて大丈夫かな…とすら思った(余計なお世話)。めちゃめちゃ切実な二篇で読んでて胸が苦しくなるけど大好きです。

  • 二編あり両方とも若い男性用主人公の一人称。何をやっても空しく一人砂漠を歩いてるような。。。作者自身もバイセクシャルのようだが、同性に惹かれながらも、それを許したくない自身や周りの環境にストレスを感じ、女性には心ない行動をし、またそれを女性が書いてるという。なんとも。二編とも序文という作者の解説があり、後ろにも訳者以外の解説もあり(年表もある)、出版する側のこだわりをひしひし感じるが。読み物としては結構しんどい。もやもや度が濃い。それをただのうっとおしいだけで終わってないのが、やはり名文なんだろうね。はあ。

  • ユルスナール没後30年を記念した特別編集版だそうです。

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    静謐な思索の流れのあいだに激情を透かし見せる、一人称の物語。初期を代表する二篇と略年譜を収録。巻末エッセイ堀江敏幸。
    http://www.hakusuisha.co.jp/book/b325918.html

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著者プロフィール

1903年ベルギーのブリュッセルで、フランス貴族の末裔である父とベルギー名門出身の母とのあいだに生まれる。本名マルグリット・ド・クレイヤンクール。生後まもなく母を失い、博識な父の指導のもと、もっぱら個人教授によって深い古典の素養を身につける。1939年、第二次世界大戦を機にアメリカに渡る。51年にフランスで発表した『ハドリアヌス帝の回想』で、内外の批評家の絶賛をうけ国際的な名声を得た。68年、『黒の過程』でフェミナ賞受賞。80年、女性初のアカデミー・フランセーズ会員となる。母・父・私をめぐる自伝的三部作〈世界の迷路〉――『追悼のしおり』(1974)、『北の古文書』(1977)、『何が? 永遠が』(1988)――は、著者のライフワークとなった。主な著書は他に『東方綺譚』(1938)、『三島あるいは空虚のビジョン』(1981)など。87年、アメリカ・メイン州のマウント・デザート島にて死去。

「2017年 『アレクシス あるいは空しい戦いについて/とどめの一撃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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