女の答えはピッチにある:女子サッカーが私に教えてくれたこと

  • 白水社
4.09
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560097779

作品紹介・あらすじ

サッカー初心者の著者が地元の女子チームに入団し、男女の偏見を乗り越え、連帯する大切さを学んで成長していく、抱腹絶倒の体験記。

感想・レビュー・書評

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  • 筆者は韓国のアマチュア女子サッカー選手。別に学生時代にサッカーをやっていたわけではなく、30代になってから突然サッカーをやりたくなり、ある女子サッカーチームに全くの素人として入団する。本書は、筆者が入団してから約1年間の彼女にサッカーライフを自ら語ったエッセイ。
    本書には2つの側面があるように感じた。
    一つはフェミニズム的な側面。韓国も日本と同様、あるいは、日本以上に女性の社会進出が遅れている国である。そのような国で、「男のスポーツ」と考えられているサッカーをプレーすると、ある種の不愉快な経験をすることになりがちである。筆者も、そのような経験をすることになるが、意に介さず好きなサッカーをし続けるところは、けっこう、読んでいて痛快である。
    もう一つは、「ただのサッカー好き」という側面。何故か分からないけれども、サッカーをプレーするのが好きだという筆者の気持ちが本エッセイの至るところで描かれている。こちらの側面に注目して読んだ方が本書は楽しい。
    私もサッカー好き(下手の横好き)で、いくつかのチームでプレーした経験もある。一番楽しかったのは、40歳過ぎてから加わったシニアチームでの経験だった。私がやっていたのは相当前の話だが、私が住んでいる場所では、当時からシニアサッカーは盛んで、私のチームも市のリーグ戦・カップ戦、県のリーグ戦・カップ戦に出場していたし、それ以外の大会にもいくつか参加、年に20-30試合はやっていた記憶がある。また、遠くのシニアの大きな大会に泊りがけで出かけ、試合も楽しみ、夜の飲みも楽しみということをやっていた。練習も週に1回やっていたし、そういったことが純粋に楽しかった。
    二つの側面があるエッセイと書いたが、私は、筆者の「ただのサッカー好き」という側面を感じながら、とても楽しく読むことが出来た。

  • にゃんこまるさんの本棚から。

  • 表現や比喩が絶妙!内容もあるある!わかる!と言いたくなることばかり。もっと読んでいたいと思う本。

  • アマチュア女子チームに入り、サッカーに熱中する著者の体験記。正直サッカーにはまったく興味がないのだが、評判を聞いて読んでみて、とてもよかった。

    韓国の話だけど、日本とよく似た社会環境のためにいろいろなことが実感として伝わってくるし、好きなことに取り組みたい続けたいと思う情熱に国境はないんだなとしみじみわかる。
    著者をはじめ、登場するサッカー女子たちがかっこいい。

  • 英語 訳タイトル
    ’elegant and exciting women’s soccer’ by Kim Hon-bi

    女だからという理由で諦めたこと。
    もう年だから今さら始めても、と躊躇していたこと。
    「それがやだ、アタシみたいな女でもサッカーしているっていうじゃない!?」
    「そうか、アタシ、今までこういうこと待ちわびていたんだ、って」
    泣きました

  • んー、確かに、ということはあった

  • 韓国で、「脱コルセット」運動をはじめ、「女性はかくあるべき」としているものを自ら問い直す、フェミニズムエッセイが話題だということを、私は知らなかった。

    サッカーにしても、韓国の男性は、それを自分たちだけのものだと思っているなんて文章を読むと、確かに、上記のような運動が盛んになるのも肯けるような、決め付けている事実に、悲しさを覚えた。

    好きなことをやるだけ、やりたいことをやるだけなのに、なぜという思い。

    ただ、このエッセイの場合、そうしたメッセージを真面目に考えながら、面白可笑しく読めるのが素晴らしい。ある意味、タイトルは的を射ている。

    著者が、好きでやりたいと思っていた、アマチュア女子サッカーチームに自ら入り、様々に奮闘する話は、最初、地味な練習にも喜びを見出せるところから、少しずつ上達していって、仲間から賞賛されるまでに至る経緯が、新たな扉が開かれる感覚、それが自分らしく生きていると思える充足感になっていることに、他人事ながら嬉しくなりました。

    また、エッセイ中に、「スラムダンク」やサッカー漫画の「ホイッスル」が登場するのが嬉しくて、親近感が湧いたり、著者の好きな日本人サッカー選手が、長谷部誠なのも渋くて嬉しい。

    コロナの影響で、今年の6月時点では、全面休止中とのことらしいけど、今は試合出来てるのかな。エッセイ中での、ブッチャケながらも何か憎めない感じの著者の御活躍を、これからも祈っております。

  • 面白かった!30代社会人女性がチームに入ってサッカーを始める、ってだけで、体力的にも社会的にも生活的にもそりゃもういろいろ壁があるだろうなというもの。訳文も軽妙で楽しい。
    でも私が特にそうそう!と思い、また最も爽快感があったのは『ロビングシュート』の章だった。土砂降りのコクリツでベッケンバイアーを見て以来30数年ちらちらとサッカーを観戦、Jも設立開幕戦から、キッズ〜高校、大学、社会人までのカテゴリーも観てきましたが、誤解を恐れず言うならば、まあマンスプレイニングの嵐なわけです。
    なので『ロビングシュート』万歳!

  • 2021サッカー本大賞受賞作。
    舞台は韓国。
    サッカーをしたことがない普通の女性が草サッカーにハマっていく様子がツボ。
    妻が所属するママさんサッカーチームでも人気になった本。(女子)サッカーに国境は無い!

  • “社会の規範”から外れて何かをすると、「○○が××をすることに意味あるの?」等の否定的な言葉を投げつけられることが大なり小なりある。そんな経験をしている人は、この本から勇気をもらえると思う。

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著者プロフィール

김혼비
独自の視点とユーモアで、新刊が常に話題を集めるエッセイスト。好きなものはサッカーと酒と本、ペンネームはサッカーエッセイも手掛けるイギリスの作家、ニック・ホーンビィから。会社員生活のかたわら、書かずにはいられない文章だけをじっくり書き続けている。著書『女の答えはピッチにある 女子サッカーが私に教えてくれたこと』(小山内園子訳、白水社)で〈サッカー本大賞2021〉を受賞。著書はほかに、『とにかく、酒』(未邦訳)、『全国お祭り自慢 不思議で本気なK-お祭り探検記』(パートナーのパク・テハと共著、未邦訳)がある。

「2023年 『多情所感』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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