殺人者と恐喝者 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)

  • 原書房
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本棚登録 : 31
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562037629

作品紹介・あらすじ

「でも-殺人だなんて」ヴィッキー・フェインは、夫アーサーが浮気相手を殺していたことを知らされる。叔父ヒューバートがその一部始終を見ていたのだと。アーサーとヒューバート-殺人者と恐喝者の奇妙で危うい同居が、やがてフェイン家に悲劇をもたらすことになる。晩餐の余興として催眠術が披露され、術をかけられたヴィッキーはアーサーを短剣で刺殺してしまう。余興用のゴムの短剣が、誰も気づかないうちに本物にすり替えられていたらしいのだ。しかし不可解な事件は、これで終わったわけではなかった。ヘンリー・メリヴェール卿が担ぎ出され、悪態とともに突きつけた真相とは…。論争を巻き起こした巨匠最大の問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 原題 Seeing Is Bilieving(百聞は一見に如かず)
    この物理トリックは好きではないが、作品として仕掛けられたトリックは好き。
    原題が伏線になっていて秀逸。

  • 事件自体はとても興味深かったけど、トリックが非現実的だったので残念。

  • 催眠術にかかった状態での殺人
    だれも触れていないナイフのすりかえ
    はやすぎる破傷風病状の進行

    いろいろおもしろいです。

    合間にすすむH・Mの自叙伝の口述筆記も面白い。
    H・Mが悪魔のような犯罪者だからこそ
    どんな事件も解決できるという話が
    一番面白かったです。

  • H・M卿シリーズです。
    巻頭の言葉はアンフェアギリギリですね。
    ヴィッキー・フェインは夫アーサーが浮気相手を殺していた事を叔父ヒューバートから知らされます。
    アーサーとヒューバートの殺人者と恐喝者の奇妙で危うい同居がやがてフェイン家に悲劇をもたらします。
    晩餐の余興として催眠術が披露され、術をかけられたヴィッキーはアーサーを短剣で刺殺してしまいます。
    余興用のゴムの短剣が誰も気づかないうちに本物にすり替えられていたのです。
    しかし、不可解な事件はさらに続いて今度はヴィッキーが殺されそうになります。
    すり替えのトリックは大掛かりなものでも複雑なものでもなく、ちょっとした手品的なトリックで残念です。
    ですが、本書はファンにとっては事件よりもH・M卿の回想録の方が重要なのではないでしょうか。
    H・M卿が登場時から最後までずっと自伝を口述筆記させていて、H・M卿の生い立ちが事件と共に語られますが、この回想録がとんでもないのです。
    天敵である叔父に対して、幼少のH・M卿が次から次へと仕掛ける壮絶な悪戯にはかなり笑わせられます。
    子供の頃から悪ガキだったのですね。
    最後には驚きの真相もあります。

  • メインはミステリーじゃありません(嘘)
    H・M卿ファンにとっては
    間違いなくなにやら自重していない自叙伝が
    気になるところでしょう。

    これは犯人がカーの作品の中では
    わかりやすい部類に入ります。
    だって疑える人が…なのですから。

    でもあれだけ暴挙の限りを尽くした
    犯人ですが結局は…
    致命的な構造エラー(?)によりお亡くなりに…
    それはある意味かわいそうだったなぁ…

  • うわ、これってフェアなのかアンフェアなのか……ものすごーく悩むぞ。これに引っかからない人っているのか? ま、私はこういうので騙されてもあまり腹が立たない方なのだけれど、人によっては本投げつけたくなっちゃうかもな。
    で、すり替えトリックは……え、そんなんでいいの?(愕然) まあ伏線はあるといやあったんだけどさ。ちょっと拍子抜けしたかも。どちらかといえば毒殺(未遂)事件の方が、発想など面白かったな。そしてラストはなかなかにブラックで、案外好み。

  • H・M卿シリーズ

    ポリー・アレンを殺したと認められたアーサー・フェイン。妻に気付かれ叔父であるヒューバート・フェインに恐喝される。リッチ博士の催眠術実験で催眠術にかけられたヴィッキー・フェイン。ゴムのナイフで夫アーサーを刺したはずが死亡したアーサー。回顧録を執筆中のH・Mの捜査。催眠実験の時に刺された針から破傷風になりかかったヴィッキー。ストリキニーネを盛られたヴィッキーの秘密。

    船橋図書館

     2011年10月11日読了

  • 「アーサー・フェインはポリー・アレンという名の一九歳の少女を殺害した。それは認められた事実である」

    と言う書き出しで始まる本作。冒頭から魅力的で非常に惹きこまれる。
    事件自体も不可能興味に満ちているし、いかにもカーらしいファースの要素もふんだんに取り入れられている。
    特に殺人は「衆人環視の中の凶器すり替え」と「機会のない毒殺」という単純で分かりやすい不可能殺人で、状況設定も極めて明解。
    状況が複雑すぎて文字だけじゃ理解するのに苦労するようなのよりよほどいい。

    トリックも明解で分かりやすいんだけど、それだけに殺害状況の魅力に及んでいないように思われる。
    これくらいしか考えられるトリックがないのかもしれないけど、もっと複雑なトリックを期待していただけに少々肩透かしの感は否めない。
    悪くはないけど……って感じかな。
    あと、某趣向に関しては……僕はギリギリフェアではないかと。

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著者プロフィール

Carter Dickson (1906-1977)
本名ジョン・ディクスン・カー。エラリー・クイーン、アガサ・クリスティーらとともにパズラー黄金時代を代表する作家のひとり。アメリカ合衆国のペンシルベニア州に生まれる。1930年、カー名義の『夜歩く』で彗星のようにデビュー。怪事件の連続と複雑な話を読ませる筆力で地歩を築く。1932年にイギリスに渡り、第二次世界大戦の勃発で一時帰国するも、再び渡英、その後空襲で家を失い、1947年にアメリカに帰国した。カー、ディクスンの二つの名義を使って、アンリ・バンコラン、ギデオン・フェル博士、ヘンリー・メリヴェール卿(H・M卿)らの名探偵を主人公に、密室、人間消失、足跡のない殺人など、不可能興味満点の本格ミステリを次々に発表、「不可能犯罪の巨匠」「密室のカー」と言われた。晩年には歴史ミステリの執筆も手掛け、このジャンルの先駆者ともされる。代表作に、「密室講義」でも知られる『三つの棺』(35)、『火刑法廷』(37)、『ユダの窓』(38)、『ビロードの悪魔』(51)などがある。

「2023年 『五つの箱の死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

カーター・ディクスンの作品

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