ねずみとくじら (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

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  • / ISBN・EAN: 9784566001039

感想・レビュー・書評

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  • 干支にまつわる本の三冊目。
    いつの間に三冊目? はい、本棚の同じ並びにありますよ。

    ウィリアム・スタイグの絵本に瀬田貞二さんの和訳という黄金コンビ。
    これまで何冊も紹介してきたがこちらも名作で、ファンも多い。
    遠目の効く見やすい絵。ややクラシックな訳語。
    読み聞かせに使いたいところだが、何しろ17分と長い。
    支える右手が決してグラつかないという自信のある方向け。
    ワタクシ?やりません。だって必ずグラつく自信があるから。

    海が大好きなねずみのエーモス。
    船を造り、航海術を学び、準備万端でさあ、出発。
    ところが、興奮のあまり船から落ちてしまう。
    大海原に取り残されて絶望するエーモスを助けたものは、
    なんとくじらのボーリスだった。。。

    小さな小さな陸の生きものと、大きな大きな海の生きものとの友情物語。
    まさかと思う方は読んでみてね。
    違いを認め合い、尊敬しあい、互いのために本気で尽くす。
    最後なんて、泣けてくるから。

    スタイグのお話の素晴らしい点は、登場するキャラたちの
    心の変化をしっかりとらえて描写するところ。
    そして、どうなったかを最後まできちんと伝えるところ。
    (結末を曖昧にしたまま終わる絵本も多いのよ、
    信じられないだろうけど)挿絵の巧さは言わずもがな。
    描きこみすぎず、描き足りないでもなく、遠近が明確で柔らかい色彩が絶妙。
    それに、何よりもお話があったかい。

    ということで、ラストだけ載せてみる。
    ブク友さんもちょうど同じことをしているけど、どうしても載せずにいられない。
    『「さよなら、なかよしのくじら」とエーモスは、ちいさなこえでなきました。
     「さよなら、なかよしのねずみ」とボーリスがほえました。
     そしてなみまに しずみました。
     ふたりは、このさき2どとあえないことを しっていました。
     そしてぜったいに あいてをわすれないことも しっていました。』

    • ハイジさん
      こんばんは
      ラストの部分
      ジーンと心にしみて泣けます
      電車でしたので焦りました…
      素敵です!
      こんばんは
      ラストの部分
      ジーンと心にしみて泣けます
      電車でしたので焦りました…
      素敵です!
      2019/12/19
    • nejidonさん
      ハイジさん、こんにちは(^^♪
      いつも「いいね」を下さってありがとうございます!
      このラストは心に沁みますよね。
      なぜこういう結末なの...
      ハイジさん、こんにちは(^^♪
      いつも「いいね」を下さってありがとうございます!
      このラストは心に沁みますよね。
      なぜこういう結末なのかは、お読みいただくしかありません。
      とても絵本と思えないようなお話です。
      読み終えた後は、長年のたったひとりの友だちを思いました。
      電車の中でしたか。。それは危なかったですね・笑
      2019/12/20
  • 海外絵本を選ぶ基準の一つが翻訳家です。瀬田貞二さんに外れなし。言い回しは流石に古いところもありますが、シンプルな絵と相まって、なんともほろっとする寂しいような深い読後を味わえます。
    この感覚はうちの6歳児にも分かったらしく、なんか寂しいね…とつぶやいていました。

    ===
    嵐にあったネズミを助けた鯨。
    二匹は身体の大きさも住む場所も違うけれど、深い友情で結ばれる。
    長い長い年月が経ち年取った二匹は再会する。今度は瀕死の鯨を助けるネズミ。でも二匹には今度こそこれが最期の別れだと分かっていた。
    ===

    ”ボーリスは ぞうのあたまにいるエーモスをふりかえりました。
    なみだが おおきなくじらのかおを ながれおちました。
    ちいさなねずみのめにも、なみがだ うかびました。
    「さおうなら、なかよしのくじら」とエーモスは、ちいさなこえでなきました。
    「さよなら、なかよしのねずみ」とボーリスが ほえました。
    そして なみまに しずみました。
    ふたりは、このさき2どとあえないことを しっていました。
    そしてぜったいに あいてをわすれないことも しっていました”

  • ねずみとくじらの優しさがあふれる素敵な絵本です。
    優しい色合いの絵に癒されますし、何より言葉が美しい本です。

    特に素敵だなと思った表現を書き出しますと、

    「いきてここにいる けしつぶほどのねずみのみも、いきてひろがる だいうちゅうのなかまとして、しみじみうちゅうぜんたいを したしくかんじました」

    「ポーリスは、ねずみのちいさい かわいさや やさしさ、かるいふるまいや こわね、ほうせきのようなめのかがやきに ひきつけられましたし、エーモスは、くじらのおおきなからだや どうどうとしたようす、ちからやうごき、ひびくこわねや あふれるしんせつにうたれました。」

    そして、くじらがねずみを想ってつぶやいた、
    「なりはちいさいが、しつせつのかたまりだな」というセリフがお気に入りです。

  • 二人の友情が、まったくベタついていない。
    大人の絵本だわこりゃ

  • こんなすてきな絵本
    知らなかったなあ

    素朴な絵と瀬田貞二さんの美しい日本語
    しっとりと胸に迫ります

    おおきなくじらとちいさなねずみ
    どうかしあわせでね

    ≪ もうあえない でもわすれない ぼくたちは ≫

  • 陸にすむちいさなねずみと
    海にすむ大きなくじらの友情物語。

    ねずみのエーモスは海が大好き。
    ものすごく頑張って、冒険に出たのに、海は大変だった。
    夢をかなえるのは大変なのだ。

    そんな時、目の前に現れたくじらに、
    エーモスは、
    もう冒険はたくさんだから、ごめんどうでなかったら、
    うちへかえしてもらいたいと頼む。
    諦めもまた大切。

    この出会いが、くじらのボーリスとの友情のはじまりとなる。

    体の大きさも住むところも違うふたりが、なぜ友だちになれたか。
    それはたくさん話をしたり、
    いっしょの時間を持ったからだと思う。
    尊敬しあうようになったふたり。
    でも住む世界が違う。

    「さよなら、なかよしのくじら」
    「さよなら、なかよしのねずみ」

    どうすることもできない運命もあるのだ。
    別れても幸せに生きていける。

    最後のお別れでお互いの名前を呼ばない。
    「さよなら、なかよしのくじら」
    「さよなら、なかよしのねずみ」
    英語文がどうなっているかわからないが、
    「くじら」「ねずみ」と呼び合うのは、
    くじらのボーリスはねずみのエーモスが好き、
    ねずみのエーモスはくじらのボーリスが好きということだと思う。

    くじらだったらよかったのに、
    ねずみだったらよかったのにとは考えない。

    「さよなら、なかよしのあなた」

    さよならだけどさよならじゃない。
    ぜったい忘れない。

  • 図書館本。ねずみとくじらの素敵な関係に心温まります。読み聞かせのときには難渋しましたが、今はあまり使われない古き良き言い回しも耳に心地よかったです。

  • 相手を信じることの尊さ

  • 色合いとストーリーが好きな絵本。

  • 詩情あふれることばが素敵です。あたたかいお話だけどどこかクールさが感じられるのもあるのがまたよいです。

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