異郷 西江雅之の世界

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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784568104608

作品紹介・あらすじ

インド洋、東アフリカ、カリブ海域、パプアニューギニアをめぐる写真とエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 文化人類学者である著者が、世界各地をめぐった際のエッセイと写真を集めた一冊だ。
    前書きの、「旅」についての言葉がすごくいい。すてきだな、と素直に思った。
    そしてこの人のしてきた旅のなんと得難いことか、読んでいて感じ入る。なまなかな紀行ではない。
    さまざまな国のエッセイのつまみぐい的な一冊なので、次はぜひ通してもっとたくさんの文章を読みたいと思った。
    それにしても、悔しいと思うのがパプアニューギニアの体験記だ。

    アフリカやカリブ海の島々などは訪問した年数も古く、この土地に「間に合う」ことは自分は不可能だった、と諦められる。
    けれど、わずか10年ほど前に、これほどの土地と人がパプアニューギニアに存在していたのかと思うと、そのことを知ろうともせず、同時代にただ観光地をめぐっているだけの旅をしていた自分が悔やまれる。

    知ること、知ろうとすること、好奇心の力を思う。

  • 半世紀に渡って筆者が残した記録の数々。
    テレビでは観たことのない、すさまじい環境と信じ難い文化の有り様が、その空気と一緒に収められた写真と共に記されていた。
    インド洋の島々、東アフリカ、カリブ海域、パプアニューギニア…
    その中には日本軍の哀しい過去にもほんの少しだが触れられており、どんなに遠い海の向こうの、ほとんどの人がその実情を知らない場所も、私たちと決して無縁ではないことを感じた。
    この本に出てくる大方の場所は、そう簡単に訪ねることができるところではない。かと言って、行こうにもかなりの勇気がいる。いっそ、どこでもドアで覗きに行って、すぐに引き返してきたいような環境。筆者がよく無事で過ごしてきたなと思ってしまう。
    キューバくらいは、行ってみてもいいかな。

  • 西江雅之氏は文化人類学者・言語学者として「異郷」をフィールドとして仕事してきました。膨大な写真を整理して過去のエッセイとともに西江雅之の世界を見せてくれます。ここには秘境を旅する喜びがあります。影を掬い採ると題した写真集がP33-160と入り込んでいる!ということでカテゴリはエッセイではなく写真にしています。

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著者プロフィール

1937年東京生まれ。言語学・文化人類学専攻。現在、早稲田大学文学部教授。卓抜した語学の才能に恵まれ、言語調査のフィールドは世界各地に及んでいる。フィールドでは、たんに調査するのではなく、人びとの暮らしぶりに等身大のまなざしで接する経験は多くの優れたエッセイに結実している。『花のある遠景』や『異郷の景色』『東京のラクダ』などはその代表作であり、ほかに『人かサルかと問われても』という半生記がある。

「1999年 『風に運ばれた道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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