脳死・クローン・遺伝子治療―バイオエシックスの練習問題 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569607146

作品紹介・あらすじ

「成人で判断能力のある者は、自分の身体と生命の質について、他人に危険を加えないかぎり、自己決定の権利を持つ」というのが、従来のバイオエシックス(生命倫理学)の原則であった。しかし、私の遺体についての決定権を持つのは私なのか家族なのか?クローン人間の製造はなぜ規制されなければならないのか?等々、最新技術が提起する様々な課題は、もはや、従来の自由主義・個人主義では判断ができない。本書では、これらの問題の複雑な論点を整理し、バイオエシックスの新たな枠組みを提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 生命倫理学の基礎として、医学者以外の立場で整理したものとして貴重である。
    医療については、医者が専門家なのだから、医者が決めるという傾向が強かった。
    自己決定権の大切さを提起している。患者の権利の章もある。
    本書は、一つの立場であるので、医者、看護婦の医療従事者の視点での情報も合わせて読むとよい。

  • 臨床倫理学の勉強をしてみたいと思って、まず20年以上前の新書から読むことにした。多分この本は、どっかの学会に出席した時に、敎育講演をしてくれた人の著作として買い求めたものだと記憶している。当時知りたかったのは子どもの治療を親が拒否するっていうのが倫理的にどうなんだ、ということだった思うが、今読み直してみるとそれ以外にも生命倫理の領域で多くの課題が当時から指摘されていたんだなということがわかった。引き続き勉強を続けたいと思う、と学生みたいな読書感想文を書いてみた。

  • 参考になりました。

  • 108円購入2018-06-04

  • タイトルになっている脳死・クローン・遺伝子治療について、生命倫理学の基本的な考え方を解説している本です。

    具体的な問題から倫理学的な原則がどのように抽出されるのかを手際よく説明しており、「バイオエシックスの練習問題」というサブタイトルが示すように、読者にとって啓発的な内容になっているように思います。

    脳死・クローン・遺伝子治療といったテーマは、いずれも非常に具体的で私たちの実感に訴えかけてくるような問題であるだけに、小松美彦や森岡正博らのラディカルな生命倫理学批判の議論に感心させられてしまうことが多いように思います。本書には、それらの論者のような派手さはないものの、生命倫理学の基本的な考え方がどのような枠組みに基づいているのかということを一つひとつていねいに確かめていくことのできる良書だと思います。

  • サブタイトルが「バイオエシックスの練習問題」となっています。初出が1999年なので、最新の話題というわけではありませんが、生命倫理を考える良い手引書だと思いました。

  • 倫理的な議論をするときに、個人の好悪なのか、倫理的な観点なのか、法律的な観点から話をしているのかきちんと区別をしておかないと議論がまとまらないことがわかった.特に脳死の話.

  • 11/07/14。
    バイオエシックスは、自由主義思想の延長にある。しかしそれでも問題を抱えている。さてどう解決すべきか?という問題。

  • [ 内容 ]
    「成人で判断能力のある者は、自分の身体と生命の質について、他人に危険を加えないかぎり、自己決定の権利を持つ」というのが、従来のバイオエシックス(生命倫理学)の原則であった。
    しかし、私の遺体についての決定権を持つのは私なのか家族なのか?
    クローン人間の製造はなぜ規制されなければならないのか?
    等々、最新技術が提起する様々な課題は、もはや、従来の自由主義・個人主義では判断ができない。
    本書では、これらの問題の複雑な論点を整理し、バイオエシックスの新たな枠組みを提示する。

    [ 目次 ]
    序章 バイオエシックスとは何か
    第1章 脳死と臓器移植
    第2章 性と生殖の倫理
    第3章 クローン人間の練習問題
    第4章 患者の権利
    第5章 遺伝子治療と人類の未来

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    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 生命倫理学におけるひと通りの議論は網羅できた。主張内容そのものに同意できるというのではなく、議論の叩き台として適切だったように思う。

    最終的には自然主義的帰結になり、またそこに至る過程も腑に落ちない流れであったように思う。

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著者プロフィール

京都退学名誉教授

「2012年 『科学・文化と貢献心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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