- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569617046
作品紹介・あらすじ
今や世界の国際語。その英語も元々はゲルマンの一方言に過ぎなかった。ブリテン島に進出した後も、方言が多く統一感に欠け、スペリングと発音はバラバラで、言語としての完成からはほど遠い状態。しかも歴史的には、ヴァイキングの襲撃、フランス語の公的使用など、常に外国語の脅威にさらされてきた。このように言語としても未完成で、英国内における地位も不安定な英語が、いかに成り上がっていったのか。本書では、その波乱万丈の千五百年の歴史を英国史と絡めて解説。英語通・歴史通になる一冊。
感想・レビュー・書評
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英語は言語の系統的にはドイツ語の方言というとらえ方が新鮮でした。
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著者の専門である英語史について、分かりやすく解説している本です。
古英語とドイツ語の近さや、中英語におけるフランス語からの語彙の流入、そして近代英語が整えられていくプロセスなど、英語史の一通りの流れを楽しんで知ることができました。
最終章には、著者の考える国語教育と英語教育のあるべき形について論じた、やや性格の異なる論考が置かれています。 -
読んでいる途中にふと気付いたが、本書の訳者はフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』を翻訳した渡部昇一。新書ということもあってか文体はそこらへんのおじさんが好き勝手に話をしているかのようで愉快。ただ体系的な説明ではなく時系列になんとなく進んでいくので、純粋に読み物として読むべき。英語史として体系的に手早く読むなら寺島『英語の歴史』(中公新書)。
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ボキャブラリーの豊富さで、その人の社会的地位がわかってしまう。英文法も重要。
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英語史と言っても外面史(つまり英国史)の比重が高く、内面史としては語彙(借入語)がほとんどで、文法や音声、綴り字まで網羅的に扱ったものではない。(Great Vowel Shiftなど出てくることは出てくるが、あまりにサラッと説明が終わっている)英語史の総復習としてはやはり中尾俊夫の『英語の歴史』の方が適切だろう。
でも内容自体はすごく面白いし、中尾俊夫の本よりもスラスラ読めてしまうので、歴史に興味のある高校生、英語専攻でない一般の人や、単に教養として英語史を知っておこうという人にはこっちがお勧め。世界史の知識が不足しているおれには英語史の外面史が整理できてタメになった。最後の章だけ著者が突然国語教育、英語教育について語り出す。著者が強く主張したいのは分かるが本題ではないので、興味のない人は読み飛ばせばいいと思う。 -
英語の歴史が古いものから順に書かれ、
最後には日本の国語・英語教育にまで言及されている。
主に英語の語彙の歴史を振り返っている本だと言える。
古英語期にヴァイキングから三人称複数代名詞を含めた語彙を、
中英語期にフランス語からの大量の語彙を輸入し、
以後シェイクスピアを含めて現在の地位を築くまでの英語の歴史である。
ただ、チョーサーの文学作品における語彙で、
ゲルマン系の語彙を多用していると言及した直後に、
チョーサーはフランス系の語彙が多いと書かれているところは良く分からなかった。
また、日本語の母国語教育に、無学な母親でも知っている語彙なので、
万葉集や古今集を子どもが小さい時から含めるべきだと著者は仰っているが
語彙が分かっても、文の意味が分かる人が果たしてどれだけいるだろうかと思った。