峠越え (PHP文庫 や 40-1)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (491ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569670041

作品紹介・あらすじ

元禄三(一六九〇)年七月、深川冬木町の裏店に住む女衒の新三郎は、仕事の不始末から莫大な借金を背負うことになった。その返済のため、重い足取りで向かった江の島の賭場で、運命的な出逢いを果たす新三郎と壺振りおりゅう。その偶然が、新三郎の人生を大きく変えることになる。▼二人で新たに人生をやり直すべく、おりゅうが考え出したのは、江島神社の裸弁天を江戸へ持ってきて公開する「出開帳」だった。成功すれば何千両もの拝観料が手に入り、堅気に戻れるのだが……。次から次へと押し寄せる難問、問われる新三郎の器量とおりゅうの知恵。乾坤一擲の大勝負の首尾やいかに。▼おりゅうに美質を磨かれ、度重なる試練にも鍛えられ、一歩一歩登っていく新三郎。手に汗を握るハプニングの連続に一喜一憂しながら、気がつくと二人と一緒に人生の峠越えをしている気分になる。様子のいい登場人物たちの温かい真心と共に、爽やかな余韻が胸に残る傑作時代小説。

感想・レビュー・書評

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  • 女衒の新三郎が仕事でしくじり、絶望的なところより始まる。話の流れは暗そうになるのだが、押しかけ女房となる壺振りおりゅうと出逢うことにより、次々と新しい出会いもありピンチの時に助けられてゆく。江ノ島の弁財天の出開帳や大親分五人を引率しての久能山詣りなど何でこの二人が、と思ってしまうが、最後はホロリとした山下一力の人情噺に落ち着いた。

  • 山本一力作品初読了。
    爽やかな読後感。
    商売の肝が要所に描かれている。
    このような時代小説は癒しになる。
    オススメします❗

  • 今年最初の読破本は昨年後半からはまっている山本一力の時代小説でした!
    本作は、深川の女衒の主人公新三郎が、仕事の不始末で借金を負い、その返済の旅に出たところ江の島で壷振りのおりゅうと出会い、江の島神社の裸弁天を江戸で出開帳することで借金返済することを思案し、紆余曲折ありながらも2人で出開帳を大成功させ借金返済と堅気に戻ることに成功するという話までかと思いきや、続きがあり、女衒の親分である土岐蔵と4人のてきやの元締めとひょんなことから久能山参詣に一緒に行くことになり、新三郎とおりゅうが旅の差配を請負うことになるのですが、この旅を通して土岐蔵と4人の元締めの気風の良さと旅で出会った粋な人たちとの出会いが新三郎とおりゅうを人間として成長させることになる展開が良かったですね!
    文中に出てきた、
    小人は縁に気づかず。
    中人は縁を生かせず。
    大人は袖すり合う縁でも縁とする。
    というフレーズが年初で心にしみました!

  • 内容紹介

    元禄三(一六九〇)年七月、深川冬木町の裏店に住む女衒の新三郎は、仕事の不始末から莫大な借金を背負うことになった。その返済のため、重い足取りで向かった江の島の賭場で、運命的な出逢いを果たす新三郎と壺振りおりゅう。その偶然が、新三郎の人生を大きく変えることになる。
    二人で新たに人生をやり直すべく、おりゅうが考え出したのは、江島神社の裸弁天を江戸へ持ってきて公開する「出開帳」だった。成功すれば何千両もの拝観料が手に入り、堅気に戻れるのだが……。次から次へと押し寄せる難問、問われる新三郎の器量とおりゅうの知恵。乾坤一擲の大勝負の首尾やいかに。
    おりゅうに美質を磨かれ、度重なる試練にも鍛えられ、一歩一歩登っていく新三郎。手に汗を握るハプニングの連続に一喜一憂しながら、気がつくと二人と一緒に人生の峠越えをしている気分になる。様子のいい登場人物たちの温かい真心と共に、爽やかな余韻が胸に残る傑作時代小説。

    平成29年1月18日~21日

  • 人の縁が紡ぐ人情話。情けは人のためならずとは言うけど、ちょっと上手く行きすぎな気がしないでもない。まあでもその分読後感の爽やかさは増してるからいいか。

  • 2013/05/04読み始め、読了

  • 3/5を読んでから,以前読破したことを思い出した~女衒の新三郎は病気の女を仕入れてしまい,元締の土岐蔵から期限を設けられて5人の女を新たに仕入れなくてはならなくった。でなければ200両を保証する。思案が浮かばないまま,相州に出掛け,雨に降られた藤沢の田圃脇の小屋で3人の田舎親父に悪戯されそうになっている女を救う。江ノ島の賭場に出掛けると,救った女は壺振りで,5両の金を20両に増やすことができ,誘われるまま藤沢の女の宿で男女の仲になり,江ノ島の裸弁天の回向院出開帳を成功させれば,傷んでいる堂宇も直り,女衒から足を洗うこともできると提言される。高橋に移った二人は,元締に筋を通し,9月の出開帳の準備を進めるが,初日・二日目と野分の大雨大風に祟られる。茶屋の饅頭も売れ残り,客も入らない。両国西詰の見せ物小屋と茶屋と回向院を回れば値引きするという切り口で遂に出開帳を成功させた。土岐蔵は江戸の香具師を取り仕切る親分四人を引き合わせ,話の流れから久能山詣でが新三郎の先達で実行されることになった。費用は惜しまない四天王と女衒の元締を連れ,雨水に江戸を出立するが,二日目には雨に祟られ,宿の手配が詰まるが~前にどんな風に書いたのか,見直してみよう

  • 2011.1.14(金)

  • 江戸時代の、旅行添乗員苦労話として面白い(わがままな江戸の親分さんたちを箱根へ)。

  • 大賑わい、儲かったという所の部分をもう少し読みたかった。

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著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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