変わる世界、立ち遅れる日本 (PHP新書 655)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569777283

感想・レビュー・書評

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  • 外国から見た日本経済を説明した上で、その問題点を指摘、様々な改革を提案している。気になったポイントは下記の通り。

    ①日本をモノづくり立国と考えるのは古い。日本のGDPの中で製造業は20%、サービス業(小売、宣伝、金融など)は70%を占める。日本の政治は製造業をサポートすることが多いが、もっとサービス業に目を向けるべき。

    ②今の中国は1970年代の日本に類似(為替の固定相場制に守られた輸出国であるという点で)。今後は中国も日本のように「環境に配慮する国」になるべき。

    ③今後の世界経済は、中国元の切り上げが焦点になるだろう。

  • 知識がなさすぎて、ありがたいお話をいまいち理解できなかった。
    (特に経済・金融)

    日本がどうこうというよりは、中国(人民元)が今後いっそう力を持つだろう、
    というお話だったように思います。

    以上。

  • 全体を通して日本に好意的に書かれすぎてるように思えた。日本が高齢化社会を迎えるに当たり経済成長を維持していく為には、生産性の向上が必要と言うのは長らく言われ続けており、目新しい論点ではない。サービス業の生産性の向上を重視し、知識集約型国家になるべきだと言うのは、日本人のほとんどが理解している現実であろう。しかしながら、あまりにも今の現状とその理想とはかけはなれすぎている。
    ビル・エモット氏はかすかな期待を抱いたのだろうが、民主党政権は頭ではその事を理解してても、目先の利権や勢力争いに明け暮れる様である。「成熟日本の進路」波頭亮と合わせて読むと面白いと感じた。


  • エモット氏の他著は既に拝見しておりますが、内容が的確です。
    本書を手に取った時点では執筆からかなり時間が経過していますが、現在のグローバル環境における世界的な動きのマストは本書で書かれている通りです。

  • 【目次】(「BOOK」データベースより)
    第1章 経済危機から脱出する日本の戦略ー製造業依存の転換をめざす/第2章 知識サービス産業で成長する日本ー通信、電力、空港などの規制緩和で高利潤へ/第3章 世界経済は回復に向かうのかー安易な予測より明白な現状を認識せよ/第4章 G20で模索される世界金融システム/第5章 環境問題が資本主義を変革する/第6章 グリーン大国に化ける中国ー石油時代の終焉/第7章 格差社会は新自由主義を変えるか/第8章 メインバンク・システムの復権ー衰える英米金融の影響力

  • 日本と世界について知りたくて読書。

    マクロ経済的に日本と取り巻く世界の情勢について述べている。

    中国の人民元切上げはいまだに行われる氣配はない。米ドルの基軸通貨の地域も揺らいでおらず、局地紛争は止むことがない。

    日本人は国や銀行、会社に依存せずに個々の資産を失わないように守る防災策と増やしていく方法を真剣に考える時代に入っていると思った。

    読書時間:約45分

  • 日本の経済を批評する人には、日本の強みである「モノづくり」を強化すべきというグループと、いつまでも「モノづくり」に拘っていないで、他の先進国が行っているような「金融立国」「脱モノづくり」をすべきだというグループに大別されるようです。

    理系出身、製造業に勤務している私は、どうしても前者の意見に惹かれてしまうのですが、サブプライム問題が生じた後においても、あえて後者の推奨を行うビル・エモット氏の意見も理解する必要があると思い、この本を手に取ってみました。

    以下は気になったポイントです。

    ・今回の世界的経済危機とその回復が1970、80,90年代の景気後退と決定的に違うのは、富める工業国のインフレによる危機でなく、デフレと債務超過の危機に直面している点(p18)

    ・グローバリゼーションの長所は、各国が貿易や資本移動を通じて地球規模で結ばれているので、景気が回復すれば、ある国の経済回復で他国も潤う(p23)

    ・経済ショックが起きても、1)WTOの存在と、そこで作られた全条約2)G20サミットの存在、により保護主義の拡大がなされないのが現在の特徴である(p24)

    ・日本の国内需要が弱かった理由として、1)デフレと賃金低下、2)サービス業分野での生産性と効率の向上ができなかった、である(p30)

    ・製造業の割合が多い日本とドイツ(全GDPに占める割合:20%)は、米英(12%程度)に比べて経済回復が遅い(p35)

    ・製造業とサービス業を区分するのは古い考えであり、現在では、「知識集約型」と「非知識集約型」で区分すべき(p36)

    ・2008年危機がアメリカのサブプライム債権市場に端を発したが、最大の損失を受けたのは大手投資家が多かった欧州で、なかでもドイツとスイスの銀行である(p92)

    ・ブレトンウッズ会議に参加した44カ国は、3つの国際機関(GATT:先進国間の貿易自由化、IMF:先進国間の融資、世界銀行:国際復興開発銀行)を設立することで、為替相場を管理するシステムを構築した(p100)

    ・中国が人民元の切り上げ、あるいは変動為替相場制にいつ移行するかは、中国がインフレからくる苦しみをいつ始めるかである(p110)

    ・中国の経済発展を支えたのは、外国からのアイディア、テクノロジー、ライセンスの供与、海外からの直接投資、公然たる盗作及び、割安になる固定為替相場制にある、これは日本が1950、60年代にとったのと同手法である(p122)

    ・地球の資源は、レアメタルや貴重な金属を除いては豊富に残っている、BP社(世界エネルギー統計調査)によれば、現行消費ベースで、石炭:150年、天然ガス:60年、石油:40年以上である(p136)

    ・中国インドでは、政治的な理由から、燃料小売価格が規制や補助金で抑えられているので、資源高騰による衝撃は、消費者や企業に転嫁されず、政府財政に吸収された、従って新エネルギーへの投資が先進国と比べて無かった(p142)

    ・今世紀、世界が実際に直面している人口統計上の問題は、人口過剰ではなく、高齢化である(p158)

    ・スマートグリッドが構築できれば、使用者が電気消費量を効率的に管理できるだけでなく、小規模発電事業者が送電網に電気を供給することが可能になる(p161)

    ・中国の人民元切り上げにより、1)中国が主要な金融センターとして台頭、2)通貨取引は人民元が中心に、3)中国企業を高級品志向にさせる、である(p208)

  • 3月にもこの人の本を読みました。

    日本のバブル崩壊や、景気回復を予測した有名な方の様ですが、
    新書としてはとても読みづらい。

    その理由としては、いろんなとこで執筆した論文等を新書として出しているから、同じことの繰り返しとなっています。
    (ちなみにこの本では中国の人民元と環境政策の話の繰り返し)

    内容は普段経済の本を読んでいる人にとってはそんなに目新しい内容はないとは思いますが、ひとつひとつの章の内容は分かりやすいです。
    一度新書でもしっかりしたものを書いたのを読んでみたい。

  • [ 内容 ]
    日本を「モノづくり立国」とする規制概念は捨て、「サービス業」振興の政策を立案すべきだ。
    小売、卸売から、通信事業、電力、空港、宣伝、メディアまで、GDPの7割を占めるサービス業の規制緩和がなければ、国際競争から取り残される。
    鳩山政権に、その認識はあるのだろうか―。
    さらに、「中国人民元切り上げはいつか」「環境問題や格差社会で、資本主義がどのように変容したか」など、グローバルな視野から考察した知見を縦横に展開する。
    英『エコノミスト』元編集長が、金融危機後の世界潮流を見通した渾身作。

    [ 目次 ]
    第1章 経済危機から脱出する日本の戦略―製造業依存の転換をめざす
    第2章 知識サービス産業で成長する日本―通信、電力、空港などの規制緩和で高利潤へ
    第3章 世界経済は回復に向かうのか―安易な予測より明白な現状を認識せよ
    第4章 G20で模索される世界金融システム
    第5章 環境問題が資本主義を変革する
    第6章 グリーン大国に化ける中国―石油時代の終焉
    第7章 格差社会は新自由主義を変えるか
    第8章 メインバンク・システムの復権―衰える英米金融の影響力

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著者プロフィール

ジャーナリスト
1956年イギリス生まれ。80年に英「エコノミスト」誌ブリュッセル支局に参加。ロンドンでの同誌経済担当記者を経て1983年に来日、東京支局長としてアジアを担当。86年に 金融担当部長として帰国、その後ビジネス部門編集長となり、1993-2006年、同誌編集長を務める。1990年、日本のバブル崩壊を予測した『日はまた沈む』がベストセラーに。2006年には日本の経済復活を宣言した『日はまた昇る』が再び話題となる。

「2019年 『日本の未来は女性が決める!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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