わたしのあのこ あのこのわたし (わたしたちの本棚)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569789699

作品紹介・あらすじ

小学5年生の秋は、友だちのモッチの家へ遊びに行った時、大切なレコードをモッチの弟に傷つけられてしまった。秋は、弟を止めなかったモッチが悪いと思うようになる。そして、モッチは自分の考えをはっきりと言えないところも、前から良くないと思っていた。秋は、モッチへのいじわるな気持ちが広がっていくのを止めることができなかった。
モッチは、レコードのことで怒っている秋ちゃんをずっと気にしていた。もう自分のことを許してくれないかもしれないと思っていた。秋ちゃんに「レコードを傷つけてごめんなさい」という手紙を書きながら、前に秋ちゃんからもらった手紙のことを思い出した。秋ちゃんは、「友だちになって」という手紙をくれたのに、モッチは短い返事を書いた手紙を、結局渡せずにいた……。
ささいな出来事をきっかけに離れていくふたりが、再び心を通わせるまでを描いた物語。

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    https://jbbyhonnohi2021-7.peatix.com/

    わたしのあのこ あのこのわたし | 岩瀬成子著 | 書籍 | PHP研究所
    https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-78969-9

  • 小学校高学年になり、無邪気に喜怒哀楽できなくなったときの気持ちを思い出す。主役が2人の往復書簡のような小説、字のフォントを変えてわかりやすく表現されていた。

  • 6年。秋とモッチ、それぞれの視点で広がる感覚と違いを、学校の生活や人間関係、そして2人の関係の中で描く。2人のそれぞれの感覚の繊細さがリアルで、共感できるところや、人の感覚と見え方の違いが体験できるところがとてもよい。5年の教科書本ではあるが、感覚のニュアンスやボリュームを読みこなせる力がつく頃におすすめしたい。

  • 結婚しないことを選んだ両親のもとで育った秋。時々会う父親から貴重品だともらったビートルズのシングルレコードを、プレーヤーがあると言うモッチの家でかけていたら、弟の新くんに傷をつけられてしまう。
    好きな子が同じ事もあり、秋はもやもやしてモッチにひどい言葉をぶつけてしまう。
    秋の気持ちもわかるし、モッチの気持ちもわかる、

  • “人の心は一色じゃない。”
    “『ほんとうの気もち』なんてあるのかな。”
    大人になってようやく分かってきたことを、すんなりと言ってくれる…

    そう、そうなんです。
    きっとどこかでみんな気づいてる。
    誰もが、秋ちゃんみたいな部分、モッチみたいな部分、大沢さんみたいな部分を持っている。

    表紙背表紙、カバーのそでの構成が上手い。自分が手紙を受け取ったような気持ちになれる。あらすじでないのが逆に気になる(と私は思うけど、どうだろう?)

  • そでの部分には、右(始まり)曽良秋(ソラアキ)がモツチに書いた手紙が書かれている。
    「わたし、持沢さん友だちになりたいな、と思ってます。」そでの左(終わり)には、持沢香衣(もちざわかい)からの返事がある。「『友だちになってください』と書いていました。その気持ちはいまも同じです。

    R6年度の小5年の教科書掲載本。舞台は小学校で主人公2人は5年生。アキは4年生で転校して5年生でモツチと同じくクラスになって静かなモツチに惹かれて、ゴールデンウィーク明けにそでの手紙を渡した。

    アキが道夫くんから貰ったビートルズのドーナツ盤をもっちの父親の部屋のレコードプレイヤーで聞いていた。そこにモツチの弟の新くんがやって来て、レコードに傷を付けて仕舞う。アキはその日、何でも持っているモツチにモヤモヤしてしまう。
    アキは結婚式場で働くお母さんとアパートの2人暮らし。お母さんはお父さんの道夫くんとは結婚していない。時々アキは道夫くんに会いに行く。
    モツチはお父さん、お母さん、弟の新くんの4人暮らし。お母さんは翻訳の仕事を家でしていて、アキが遊びに行くと手作りのマフィンを焼いてくれる。

    アキとモツチが交互に語る形で物語は進行していく。(フォントが違うので分かり易い)アキは植物が好きで一人でも平気。モツチは家の三角の庭にあるヤブツバキの下に置いてあるガーデンチェアに座って道を眺めるのが好き。
    レコードの傷を許せないアキはモツチと距離が出来てしまうがー。
    表紙のデザイン、心情を綴る感じ、児童書というよりもYAの印象。

  • 黒い気持ちが溢れてきてとめどなく流れてしまう。それでも修復できるのって素晴らしい。

  • 2021 PHPわたしたちの本棚

    5年生の
    曽良秋(そら あき)は同じクラスの持沢さんに手紙を書いた。
    「友だちになりたいな」
    秋は母と二人暮らし。母は結婚式場で働いている。父、道夫くんとは別居婚。
    二人は仲が悪いわけではなく、結婚しないことを選んだのだ。

    持沢香衣(もちざわ かい)モッチと呼ばれている。
    父は家で仕事をしていたり、母は翻訳している
    弟の新ちゃんは病気がち
    母の妹はアメリカ人と結婚している
    アンナという従姉妹がいる

    秋はモッチの家に遊びに行くと、自分にないものに気付かされる
    モヤモヤした気分に

    そんな時、道夫くんからもらったドーナツ番のレコードを、モッチのパパのプレーヤーで聞くことに。
    弟の新ちゃんの乱暴な振る舞いで、レコードに傷がつき、秋はモッチに対するモヤモヤな気分とともに、モッチに怒る

    二人の少女の想いが、章ごとにていねいに書き分けられていて、迫るものがあった

    仲良くしたい
    うちとは違う、羨ましい
    誰にでもあるモヤモヤをうまく処理できない子ども同士の感情を細かく描いている

  • 心に広がる黒いもや。
    誰かに嫌な思いさせるなら、自分が我慢して済ませてしまおうという気持ち。
    どちらもあるある。
    人間の心はそうそう思い通りにならないし、聖人君子にもなれない。
    言いたいことも簡単に言えるわけじゃない。
    ゆっくり時間が合ったらいいのにね。こうして関係を修復できるような。
    大人になったら簡単に断絶しちゃう。
    会うことすらなくなっちゃう。
    それを繋いだのが自分たちの子どもというのも、よかったというべきか、子どもに負担をかけすぎというべきか。
    そんなまっすぐには生きられないのよ。

  • ささいなことをきっかけに仲たがいし、再び仲良しに戻るまで。見返しも秀逸。高学年から。

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著者プロフィール

1950年、山口県生まれ。
『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞、『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で小学館文学賞と産経児童出版文化賞、『ステゴザウルス』と『迷い鳥とぶ』の2作で路傍の石文学賞、『そのぬくもりはきえない』で日本児童文学者協会賞、『あたらしい子がきて』で野間児童文芸賞、『きみは知らないほうがいい』で産経児童出版文化賞大賞、『もうひとつの曲がり角』で坪田譲治文学賞を受賞。そのほかの作品に、『まつりちゃん』『ピース・ヴィレッジ』『地図を広げて』『わたしのあのこあのこのわたし』『ひみつの犬』などがある。

「2023年 『真昼のユウレイたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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