天離(あまさか)り果つる国(下)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569847610

作品紹介・あらすじ

白川郷を独立国家にするため、天才軍師と最強の姫が立ち上がる。敵は天下人・秀吉――。帰雲城に拠った二人を待ち受けていた運命とは。

感想・レビュー・書評

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  • 白川郷に金山があったなんて!虚実の境目がわかりませんが、とにかく楽しい時代活劇。本願寺崩れの武闘派僧や比叡山のアサシンとか奇想の敵役が跋扈し、下巻では若き柳生宗矩も登場するなどサービス満点です。私的には佐々政成の冬の立山連峰縦走シーンを描いてくれて嬉しい。一説には当時の佐々は70余歳。あまりに超人的な雪山行です。登場人物が多いので巻頭とかに略記があったら親切でした。

  • 下巻を読みました。
    歴史が好きな人なら、白川郷にはこういう物語があったのかと興味深く読むことが出来ると思います。
    登場する帰雲城も現存すれば天空の城として、一大観光地だったでしょうね。

    天才軍師の弟子、津田七龍太と姫の恋もどうなるかと思っていたのですが、なるほどと思いました。
    大河ドラマになって欲しい本です

  • 面白かった。

    まあ、言われてみればそういうのもありかと思ったし、もう一つクライマックスがあればなお良かった気はするのだが。

    気持ちよく読了。

  • 飛騨の国、白川郷を舞台に、名だたる武将らとの戦いを描く。白川郷を狙うは、信長、秀吉、上杉、武田、佐々…まさに戦国武将総ざらえの様相。対する白川は、内ケ嶋藩主と紗雪姫に配下の武士、竹中半兵衛の弟子津田七兵衛ら。史実の中に消え去った「帰雲城」と貧しくとも平和な白川郷を舞台に描かれる戦国フィクションの傑作。

    銀英伝で、韓流ドラマで、いぶし銀じじい大活躍で…盛りだくさんの読ませ所を散りばめながら、風呂敷を畳んでみせる宮本昌健の筆力さすがである!

  • いつの間にかすっかり悪役になった秀吉。飛騨攻めの結末は思いがけない展開で、これでいいの?と思ってしまった。でも最後はハッピーエンドで良かったかな。七龍太の出生の秘密は何となくそうかなって思っていた。ぜひ映画化して欲しい作品。

  • 七龍太、紗雪という、とても魅力的な架空の人物を、史実にうまく落し込み、素敵な物語に仕上がりました。
    作者の力量に脱帽。
    二人と従者たちのやり取りが微笑ましく、何度も声を出して笑ってしまいました。
    清々しい読後感でした。
    作者は信長を持ち上げ、秀吉を貶めている感があるけど、他の武将たちも含め、好色な人間を好まないのかな?

  • 後編はより冗長

  •  下巻。
     織田信長の命により他の大名へ嫁ぐことになった紗雪だが、戦国の世は混乱を続け、お市の方を我が物にできなかった秀吉の嫉妬により、七龍太も追い詰められていく。
     味方がいつ寝返るかわからない下克上の動乱の中、もともと不安定なバランスの上で中立を保っていた白川郷と内ケ嶋氏に何度も危機が訪れ、息つく間もない状態がつづく。
     そんな絶体絶命のさなかにも、野性児のパワーを秘めた破天荒な紗雪と、智略に優れているはずなのに紗雪にだけは頭が上がらない七龍太の、戦国の世になじまない、どこかコミカルで現代風なやりとりに心がなごむ。

     読後に、内ケ嶋氏と帰雲城(かえりくもじょう)の事実を調べて、書かれている悲劇が実際に起こっていたことに驚いた。白川郷と聞くと世界遺産になっている合掌造りの集落しか思い浮かばなかったが、このような鄙びた地に実在していた小国を舞台にして、よくこれだけの波瀾万丈の物語を書けたものだと思う。
     時代小説は年寄りが読むものと思って敬遠していたが、このような物語ならばもっと読みたい。

  • もう掘り尽くされていると思っていた信長、秀吉話を飛騨白川郷に着目して描いているのが面白い。大軍を相手にするために、一つの城に全軍を集め、敵が移動したら、空っぽにして移動するなど、黒田官兵衛の弟子なので策士として力量を発揮する。その腕を徳川家康に買われ、白川郷を中立地区にすることに成功する。さらにメインは野生児の紗雪姫と主人公七龍太との恋で、気が強い姫は何かというと七龍太にビンタをくらわせ、七龍太をぶっ飛ばす。まるで漫画のような扱いで、楽しい。そのくせ猛烈に愛しているのでお似合いなのだ。ところが途中であたりは異母兄弟という話になって、姫にそのことは話せず、別のところに嫁がせるなど、韓国ドラマ風になってくる。それは事実が解明されると解決されるのだがそこまでエンタメしなくてもと思う。

    登場人物が多い上に、一人に名前がいくつもあって、呼び方も色々で、混乱、面倒になる。

    縄田さんの『ときに読者を興奮のるつぼに叩き込み、ときに読者を泣きに泣かせる。その筆致は、柴田錬三郎か隆慶一郎か。怒涛の展開の連続だ』はないと思う。だまされた。

    本の雑誌2020年度時代小説ベスト10 1位

  • 叶わぬ恋と思っていた紗雪が兄妹でないとわかり七龍太の感慨はいかに。秀吉の好色は知っていたがこれほど嫉妬深く卑劣なおとこに興醒め。

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著者プロフィール

1955年静岡県生まれ。日本大学芸術学部卒業後、手塚プロ勤務を経て執筆活動に。95年、『剣豪将軍義輝』で、一躍脚光を浴びる。おもな代表作は『海王』『ふたり道三』『夏雲あがれ』『家康、死す』『風魔』『陣借り平助』など。『乱丸』で2015年第4回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。近著に『天離り果つる国』がある。

「2023年 『義輝異聞 将軍の星 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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