再建の神様

著者 :
  • PHP研究所
3.58
  • (6)
  • (18)
  • (22)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 163
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569849041

作品紹介・あらすじ

どんなに辛くても、人には希望を見つけようとする能力がある――。倒産の危機に瀕した温泉旅館を舞台にした胸が熱くなる「企業再建」の物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  この物語は会津若松の旅館の再建に携わる若者の奮闘、そして東日本大震災を題材にしており、その後のコロナ禍に至るまでの物語です。
     「再建の神様」と言われた早川種三の生き様とリーダーの心得なるものに力点を置いた物語になってて、勤め人としては心に刺さる言葉が沢山出てきて嬉しかったです。参考になりました。
    とても面白かったです。
     さらに、震災の被害者を中心としてホテル従業員との絆の深さにも感銘をしました。
     物語の途中では、主人公が学生時代にアルバイトしていた群馬の小林リンゴ園が出てきて「蕎麦、食べていけ!」にも登場してたなと・・・嬉しくなりました。

     最後の場面では心が熱くなりました。

  • 起業再生の物語だが、強いリーダー論を具体事例で示した物語でもある。実在の早川種三の話を随所に絡めながら進んでいくので、説得力のある展開になっている。倒産しかかった旅館の再生という話は、昔からよくある話ではあるが、東北大震災の経験が描かれており、よりリアリティが増している。さらに復興に対する強い気持ちが読者に元気を与えているように感じる。コロナ禍でストレスフルな毎日を送っているこの頃であるが、震災復興に力を注いだ方々の強い気持ちに思いをいたし、上を向いて歩いていきたい、そんな気持ちにさせてくれる作品であった。

  • 誰にとっての再建の神様か?
    タイトルに惹かれて読む。 

    会津の旅館を復活させる神様。
    そこで、働く従業員を蘇らせる神様。
    前職でつらいことがあった主人公に、
    働くとはどういうことかを伝える神様。

    すごく良いことが書かれているのだけど、
    良いことすぎて、
    道徳の教科書を読んでる気分。

  • 物語として面白かったが、再建に至る取引先や金融機関とのやりとりや何がそれぞれの課題でどのような突破口があるのかといった細部がそれほど描写されなかったのが残念。
    リーダーのあり方心構えについては参考になった。

  • 「再建の神様」と呼ばれた早川種三を慕う銀行マンの春木種生は、企業収益を優先するあまり不正まがいの投資物件やローンがまかり通っている銀行を飛び出した。
    偶然に乗り合わせた新幹線のなかで、企業再建請負人の渋沢栄二と出合い、会津若松の奥座敷として二百年以上の歴史を有する、川の湯温泉の旅館の再建に携わることになる。

  • 会社を良くしていくにはどうするのかな?という疑問の一助になればと手に取りました。
    倒産した旅館を蘇らせるストーリーで、所々に「再建の神様」と呼ばれた早川種三氏の言葉が引用されています。
    企業の再建に王道はないが、「再建の神様」と呼ばれる方々の共通事項は、社員を大事にしたこと、社員を愛することでモチベーションを上げたこととありました。
    理念を共有し、ONE TEAMになることが重要なのだと理解しました。
    その他、印象に残ったフレーズを紹介します。

    人は希望を見つけようとする能力がある。
    希望を見つけようとするだけで、人は前に進める。

    社会に貢献する志のない会社は存在すべきでない。

    組織に属する人間の最大の喜びは、仕事をたくさん任されて、思う存分に働くこと。
    ところが現実には、働きたくとも働けない人間が多い。
    それは、仕事以外の何かがじゃまをしているから。
    それを取り除いてやれば、社員は働けと言われなくても進んで働くもの。

  • 中途半端にリアルな気がします。
    挫折が挫折でないような。
    震災の次はコロナ。
    現実が小説を超えたのかな。


  • 東日本大震災を題材にする作品を10年後に2冊連続して読むとは。
    私自身は東京恵比寿で震災に見舞われた。阪神淡路大震災も大阪で経験していたからか、同じくマズい事になると感じた。
    それを大きく上回る津波、原発事故と本当に想像もしなかった事態でしたが、なんとか翌日以降も出社することが出来た。

    会津若松市もどんなとこかも存じ上げませんでしたが、先月たまたま仕事で訪れることがあり、このお話を読んで縁を感じた次第です。恐らくここに書かれている以上の人々の想いが錯綜した事でしょう。また心無い声にも辛く感じた事でしょう。
    まだまだもとには戻れないと思いますが、そこにコロナという未知のウイルス。
    どこまで苦しめればいいのだと思ってしまう事でしょう。ですがそんな時だからこそ、力を合わせこの難局を乗り切ろうという気持ちや行動に人々は心を動かされるはず。
    前を向く気持ちを無くさないように、支え合うことの大切さ。
    決して忘れてならない。

  • 再建の神様、早川種三を縦軸に会津の旅館再生物語。先週行ったばかりの鶴ヶ城の桜が目に浮かぶ。「希望を見つけようとする能力」「同じ世界の人としか交わらないため人間に対する見方が狭くなっている。違う世界で暮らす人たちと親しくすることが大事」「一見、無駄だと思えることをするのが人間である証明」「リーダーシップというのは強いばかりじゃない。弱さも大事。人間としての自分の弱さを自覚してこそ多くの人を導く事ができる」

  • 会津のグループ旅館3件を再建する話。みんなの努力のせいもあり再建の目処が立ってきた時に、あの福島原発事故。緊急避難により行く場を失った人々に対して、旅館が無料で受け入れを選択する。困った時はお互い様というがなかなかできることでは無い。後に福島原発が収まってきた時に、当時お世話になったと旅館に来てくれる。こんな嬉しい事はないだろう。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。77年、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。人事、広報等を経て、築地支店長時代の2002年に『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。03年、49歳で同行を退職し、執筆生活に入る。その後、日本振興銀行の社長就任、破綻処理など波瀾万丈な50代を過ごす。現在は作家、コメンテーターとしても活躍。著書に『失格社員』(新潮文庫)、『ラストチャンス 再生請負人』(講談社文庫)、『我、弁明せず』『成り上がり』『怪物商人』『翼、ふたたび』(以上、PHP文芸文庫)、『50代の壁』(PHP文庫)など多数。

「2023年 『使える!貞観政要』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江上剛の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×