第二次世界大戦とは何だったのか 戦争指導者たちの謀略と工作

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569851556

作品紹介・あらすじ

なぜ、日本は欧州の戦争に巻き込まれ、英米と戦うことになったのか。大戦の勝者は「共産主義」ソ連という視点から、歴史を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の渡辺さんによると、本書は第二次世界大戦の流れが頭に入っている人向けとのこと。チャーチルやフランクリン・ルーズベルト、スターリンなど歴史の表舞台の政治家らとその家族、関係者らの心情を人間ドラマとして開戦直前から終戦まで浮き上がらせている。

    確かに教科書にない情報満載なので新しい視点を与えてはくれるが、どうも頭に入ってこなかった。史実を解説するとも異なるし、かと言って歴史小説というにも程遠く(渡辺さんは小説家じゃないし、本書にその趣旨もないわけだが)歴史の裏方で活躍してた政治家家族やスパイなどの初耳人物らに感情移入ができなかったのがその理由だろう。昼間のワイドショー賑わす愛憎劇の類が頭に入ってこないのに似てる(僕はタレントに興味がない)。

    それにしても日本だけでなく全参戦国に問題はあったが、中でもチャーチルは戦禍に油を注いで全世界まで拡大させてしまったという意味で罪が重い。敗戦国だけが裁判にかけられるのも納得がいかない。

  • 良書だと思う。右の人にも左の人にも広く読まれるべき。
    そうではないかと思っていたが、チャーチルは、糞ったれだった。
    NEVER SURRENDER演説と一億玉砕・本土決戦は何が違うのか?
    一方は勝ったので素晴らしく、一方は負けたから狂気とされた。
    実の娘と義理の娘をハニートラップに使うなど、中共より酷いかも!
    FDRは、共産主義かぶれの人種差別主義!
    スターリンは、最早悪魔!
    日本が悪という単純な図式ではなく、この手の輩が蠢く世の中で戦ったのである。

  • ルーズベルトは日本の真珠湾攻撃を事前に感知していたが騙し討ちを受けたという体裁を装い裏口から参戦を果たしたとするお馴染みの説から、『ゲルニカ』は共産主義者ピカソのプロバガンダだとか、盧溝橋事件から始まる支那事変の裏にソビエトの工作があったとか、チャーチルは二人の娘をアメリカ高官に抱かせることで、米国による武器支援を確実なものとしたなど、まるで戦争版の"週刊実話"を読んでいるようなエピソードが満載だ。
    こうした"真実"に目を瞑り、従来の通説から都合よく歴史を解釈し続ける勢力を、著者は「釈明史観主義」者と呼ぶ。

    ユヴァル・ノア・ハラリは『ホモ・デウス』の中で、歴史を学ぶ目的を、「私たちの首根っこを掴み視線をたった1つの未来に向けさせるため、祖先の墓から伸び出てくる手から逃れ、それ以外の未来を思い描くためのもの」と記していたが、歴史修正主義の立場の人々は、彼らが恐れ嫌悪する手から逃れるため、逆に未来の選択肢を狭めているように思えてならない。

    かつて小林秀雄は「歴史は常に主観的で、主観的でなければ、客観的にはならない。歴史を学ぶことは、自己を見つめること、そして精神を豊富にすること」だと語っていたが、どうなんだろうね。

  • 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
        令和四年(2022) 3月7日(月曜日)
                通巻第7247号

    渡辺惣樹『第二次世界大戦とは何だったのか』(PHP研究所)
    @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

     縦軸は歴史の流れ、横軸は様々な事件の側面。これまで歴史家やメディアによって無視されてきたか、あるいは意図的に別の断面が強調され、真実は隠されてきた。本書の面白さは、この横軸にあって、長い間、埋もれてきた歴史に闇に光を充てた点にある。
     「えっ」と驚くような別の顔が浮かび上がってくるのである。
     デビュー以来、固定読者がついた渡辺氏の本書は、さっそくアマゾン外交部門でベストセラー1位となっている。
     渡辺氏の近作はチャーチルだが、これを読んで腰を抜かした人が多い。戦後「英雄」として語られたチャーチルが、悪質な陰謀家だったこと、母親がインモラルな不倫を繰り返していたこと、原爆投下を事前に知っていたことなど、戦後四分の三世紀も閲してから、真実が発掘されたのだ。この作業は遺蹟の発掘と似ているかもしれない。
     近年、多くの『歴史家』によって、従来の出鱈目な歴史が大きく修正されてきた。たとえば「南京大虐殺」なるものがなかったことは東中野修道氏らの地道な研究によって120%証明された。ノモンハンは小松崎師団長がソ連のスパイだったこと、日本軍の負け戦ではなかったこと。安重根の銃撃は伊藤博文の致命傷にはならなかったこと、張作霖爆殺の真犯人はソ連であり、河本大作ではなかったこと等も加藤康男、福井義高氏らが立証した。
     渡辺氏はスペイン内戦の義勇兵が共産主義者(典型がピカソ)だったことを最初に例証し、また支那事変の裏にソ連の工作があったことを近代史研究家や歴史学者がなぜ書かないのかと疑問を呈する。
     なにしろ英文資料を黙々と読んできた30年、その成果が集約された。
     本書ではいくつもの語られてこなかったエピソードがあるが、評者(宮崎)も知らなかった事実の一例は真珠湾攻撃の一週間前にハワイの二つの新聞が、日本軍の奇襲を予測していたことだ。本書では写真入りで紹介されている。
     1941年11月30日の『ヒロ・トリビューン・ヘラルド』は一面トップに[JAPAN MAY STRIKE OVER WEEKEND](週末に日本の攻撃がありそう)。
     同日付けの『ホノルル・アドバタイザー』は、同じ見出しを別枠として、KURUSU BLUNTLY WARNED NATION READY FOR BATTLE(来栖大使、「戦いの準備」は出来ていると警告)
     こんな報道をハワイの現地紙が一週間も前にしていた事実は、なぜこれまで書かれなかったのだろう?
     おりからロシアのウクライナ侵攻が開始され、西側のテレビと新聞は、いつものように「不都合な真実」を伝えないか、或いは逆方向にねじ曲げて報じている。
    戦後、ユダヤ系が主流の西側のメディアによってヒトラーは悪人、それも狂気の極悪人として裁かれたが、ならばヒトラーに従属し、侵略の手先となった人々は「騙された被害者」となる?
    ユーゴスラビアの分裂戦争でも、西側メディアはセルビアを悪魔に仕立て上げた。ところが、同様に残虐行為を繰り返したボスニアやクロアチアの戦争犯罪は不問とした。クロアチアはカソリック、セルビアは東方正教会だから、西側のメディアは東方正教会のことを嫌っているからでもある。
    そういえば十五年ほど前、セルビアで東方正教会を見学し、教会の受付でアクセラリー替わりに十字架のネックレスを買おうとしたら、若い女性が厳かに「異教徒には売れない」と突っぱねられたことを急に思い出した。
    中国の文革を「改革」とすり替えていた日本の「知性」とは、いかに低脳であったかも、最近分かってきたことで、当時の某新聞は「林彪は健在」と報じていた。
     本書は歴史の謎に挑む、読後感がどことなく爽やかな一書である。

  • 2022/03/26 anazon 1260

  • 学校で習う歴史解釈とは違った断面から世界史を眺められる好著。

    印象に残った点などをいくつか。

    ①ピカソやロバート・キャパは共産党シンパであり、『ゲルニカ』などの作品は共産主義勢力のプロパガンダ作品。

    ②FDRや妻エレノアは共産主義シンパ。晩年の二人は仮面夫婦。

    ③英国首相チャーチルに対する過大評価の風潮。二つの世界大戦に英国が参戦するのに重大な役割を果たしている。日本の歴史家は、チャーチル大戦末期に選挙で負けたことを無視しがち。日本への無警告での原爆投下をトルーマンに勧めていた。

    ④スターリンの死に様。スターリンを畏怖するあまり、発作に陥った彼に誰も近寄らずに処置が遅れてしまうことの皮肉。

  • なぜ日本ではチャーチルが評価されてるのか。それが不思議に思えるほど、最悪な人物として描かれる。FDR(ルーズベルト)も。結局本作では描かれないけど、第二次世界大戦(特に大東亜戦争)は、西欧のアジア蔑視が根底にあったように感じる。

  • この本は、ふつうの歴史ものだと思うと、肩透かしを食らう。歴史の流れよりも、一つ一つの歴史エピソードを深掘りした文章を、1冊にまとめたものだ。そういう筆者の意図を、十分に認識して読むとき、この本の真価がわかる。ボクは十分に堪能した。さて、アナタは、この本を読んで、どう思うだろうか?

    林千勝さんの「日米戦争を策謀したのは誰だ!」(現在、ブクログ評価、4.75!!)を読んで、すぐにこの本を読んだが、フルコースを食べた後に、色んな味の深みのあるデザートのセットを頂いた。そんな気分だ(笑)。

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著者プロフィール

日米近現代史研究家。北米在住。1954年静岡県下田市出身。77年東京大学経済学部卒業。30年にわたり米国・カナダでビジネスに従事。米英史料を広く渉猟し、日本開国以来の日米関係を新たな視点でとらえた著作が高く評価される。著書に『日本開国』『日米衝突の萌芽1898-1918』(第22回山本七平賞奨励賞受賞)(以上、草思社)、『アメリカ民主党の欺瞞2020-2024』(PHP研究所)、『英国の闇チャーチル』『ネオコンの残党との最終戦争』『教科書に書けないグローバリストの近現代史(茂木誠氏との共著)』(以上、ビジネス社)など。訳書にハーバート・フーバー『裏切られた自由(上・下)』(草思社)など。

「2023年 『オトナのこだわり歴史旅 伊豆半島編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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