ガウディの遺言

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569853918

感想・レビュー・書評

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  • Amazonの紹介より
    サグラダ・ファミリアの尖塔に、死体が吊り下げられた――
    前代未聞の殺人事件に秘められた壮大な真相とは。
    乱歩賞作家が満を持して送りだす、傑作長編ミステリ!
    1991年、バルセロナ。現地で暮らす佐々木志穂は、夜中に出掛けたきり帰ってこない聖堂石工の父を捜索している最中に、父の友人であるアンヘルの遺体がサグラダ・ファミリアの尖塔に吊り下げられているのを発見してしまう。父の失踪もこの殺人事件に絡んでいると考えた志穂は、手がかりを求めてサグラダ・ファミリア建設に関わる人々を調べ始めるが、その過程でガウディが遺した「ある物」を巡る陰謀に巻き込まれていき……。



    不可解な殺人事件から始まり、次々とハラハラする展開になっていくので、一本の映画を観ている感覚がありました。

    サグラダファミリアの尖塔に死体があるということで、一見不可能殺人かと思ったのですが、トリックとしては特に特別感はありません。
    それよりも、サグラダファミリアやガウディの秘密に重点を置いていて、それに関する謎や翻弄される登場人物達の描写に読み応えがありました。

    どことなく、映画「ダヴィンチ・コード」のような路線に似ている印象でしたが、それでも面白かったです。

    また、「ガウディ」に関する知識・歴史やスペインの知られざる一面も垣間見れて、観光をしている感覚もありました。
    あまり、「ガウディ」について知らなかったので、そうなんだと思えるエピソードや知識もあって、勉強になりました。
    実際にスペインに行って、観たくもなりました。

    殺人事件の犯人は意外な人物でしたが、それだけでなく本当か嘘かわかりませんが、ガウディにまつわる真実が面白かったです。
    また、志穂とともに謎を解いていく感覚もあって、次々と起きる出来事がハラハラ感もあって、読んでいてあっという間でした。
    個人的に外国人の名前を覚えるのが苦手でしたが、この作品は思ったよりは登場しなかったので、なんとか把握できました。

  • サグラダ・ファミリアに死体が吊るされた直後に失踪した彫刻家の父。バルセロナに住む志穂は父の無実を信じながら、事件について調べ始める。やがて明らかになる、ガウディが遺したとあるものの存在とそれを巡って繰り広げられる攻防。スペインの歴史や名だたる建造物とガウディの物語、そしてサスペンス感溢れる事件を描いた重厚なミステリです。
    殺人事件の謎はもちろんとして、ガウディとサグラダ・ファミリアを巡る謎が実に壮大です。そしていまだにスペインに根付いている過去の遺恨の物語も読みごたえがありました。このようなことはほぼ何も知らなかったけれど、ぐいぐい引き込まれます。ガウディの遺したものがいったいどちらの手に渡るのか、そしてそのことによって今後が大きく変わってしまうのでは、というハラハラ感も、この物語があってこそでした。
    志穂と彼女の周りの人々も生き生きと描かれていて、魅力的でした。しかし誰が敵なのか味方なのか、まったく最後まで気が抜けない展開です。そしてあの事件の真相までもが……!

  • 「情熱の砂を踏む女」に続く下村スペイン作品第2弾。サグラダファミリアやアントニオ・ガウディを題材にしながら、バルセロナ・カタルーニャの迫害の歴史も学べる、超お得な歴史ミステリー。すごく準備されて上梓されたことがわかる歴史部分もミステリー部分も中身の非常に濃い内容で、超絶面白かった。何か賞を取らせてあげて、もっと売れて、下村作品を読む人が一人でも増えてほしいと思う。

  • ガウディの遺したものに関する事件で、ミステリーとしてとても面白かったし、何よりスペインの歴史やガウディについて非常にわかりやすく書かれている。スペインでは、一般的にスペイン語とされるカスティーリャ語とカタルーニャ語があることも私は知らなかったが、カタルーニャ人のアイデンティティについても知ることができた。日本人は自分の国の言語を話してはいけないと制限されたことはないが、侵略や戦争の結果、そのような扱いを受けてきた国や地域があることは知っておかなくてはいけない。

  • サグラダ・ファミリアの尖塔に死体が吊り下げられるという衝撃的なシーンから始まる観光案内ミステリー。
    狂言回しになるのは、日本人彫刻家を父に持つ志穂。かの国でガウディがそこまで崇められているのか知らないが、彼女が質問すると登場人物の誰もが当たり前のように、アントニオ・ガウディと彼の残した建築物の薀蓄を延々と語り出す。話者が変わっても、語り口は変わらないのが気になった。
    謎解きというほどの謎はないけれど、真犯人は消去法でわかるかもしれない。
    スペインという国や、ガウディに特別な思い入れがある人はどうかわからないが、総じて退屈な印象だった。
    NetGalleyにて読了。

  • 未だ建設中のサグラダファミリアを題材としたミステリー。建築家ガウディの持論や建築に関する彼なりのテーマなどを知り、初めてサグラダファミリアがなぜ世界遺産となっているかを知った。

  • 百年以上にわたって建設されているサグラダファミリア。ガウディやスペイン(バルセロナ)の歴史を知れて面白かった。サグラダファミリアに吊るされた一人の遺体。ミステリではあるのだけれ歴史説明の方に興味がわいた。

  • サグラダ・ファミリアに関するミステリーだけど
    面白い
    スペインの歴史 文化の香り
    ガウディの想像力
    その意志を継いで聖堂にハンマーを振るう石大工
    建設中の聖堂の中で起きた殺人事件に
    巻き込まれた日本人親子
    何となく関係の中に違和感があった親子だが
    イタリア旅行中に殺された母親のことも絡んで
    解決する
    イタリアの情婦やスリの子どもなど
    生活も想像できて読みごたえがあった

  • 面白かった!
    ガウディってあんまりよく知らなかったけど、ラモンやホヘル、カザルスが説明してくれて助かった!
    ちょっとガウディハマるかも。

  • 冒頭から死体が、カタルーニャ地方にサクラダファミリアは、あるんですね。
    ガウディが、実家の土地を売り払ってまで建てたかったこの教会は何だろうと。考えて、本とは脱線して、サクラダファミリアをググって見た、2030年には出来上がるとか、ただ彫刻写真を観るには、塔の上の方はチャエーンソーで削った様にかくかく荒削りで( ^ω^)・・・、人の手で一体一体掘っていたのに、確かTVで見たよーな・・・それで良いのかサクラダファミリアと言いたい。  新たなデザインだわ。

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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