朝星夜星

著者 :
  • PHP研究所
3.86
  • (31)
  • (50)
  • (40)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 557
感想 : 40
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569854038

作品紹介・あらすじ

長崎で日本初の洋食屋を始めた草野丈吉と妻ゆきは大阪へ進出し「自由亭」を開店する。夫婦で夢を?み取っていく姿を描く感動の物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 長かったけど・・・楽しめたかな。
    朝井さんの作品は6冊くらいしか読んだことないので、
    これを機に、未読の作品を読んでみようかな。
    読もうと思っていて、読まないままの本が結構ある。
    敬遠の原因は、本の厚さかも。
    ただ、こういう書き方というか進め方は、
    時間がかかるけど、読み手のストレスは少ない。
    安心の筆力。朝ドラになりそう。

  • 実在の日本初の洋食店を開いた料理人をモデルに、料理人の奥さん視点で書かれた物語。
    幕末や明治の歴史上の人物も多数登場し、新しい時代や国のために熱く生きる様子も感じられ、とても面白かった。
    大阪の中之島に明治にそんなレストランやホテルがあったのかと、今の中之島の様子から想像しながら読むのも楽しい。

  • 日本で初めて洋食屋を開いた草野丈吉の妻の視点で書かれ、女性の立場に大いに感情移入しながら読んだ。幕末から明治にかけて、長崎、大阪の文明開花の様子、著名人との交流も興味深かった。壮大な映画を観た気分。

  • 実在の人物をあつかう物語にはそれなりの制約がある。事実を歪めての展開はできない。にもかかわらず、これだけの広がりを物語に持たせる朝井まかてさんはさすがと思う。

    綺羅星の如く、幕末明治の歴史をを作ってきた人々が次々と表れるが、彼らはこの物語の中では、時代の背景にすぎないとさえ思われる。事実の隙をつくように、いきいきと描かれた庶民たちが、時代の中で精一杯生き、次の時代へと命を繋ぐ物語だ。

    草野丈吉の妻であるゆきについても、どれだけの資料があったのか。色白で大柄ということくらいしかわかっていないようだ。そこからこんなにも個性的な人物に仕立てられて、見事というほかない。
    引田屋の女将の凛とした佇まい、松竹梅の芸姑たちは、物語のそこここでコミカルな役割を演じるし、豆腐屋の親父も狂言回しとして上等だ。

    ゆきと、姑のふじが丈吉に珈琲を淹れさせる場面など秀逸でユーモアに溢れているし、義妹の相手が浮気しているのではと確かめようとしたらそれが・・・というところも展開が見事で思わず膝を打つ。
    丈吉は、事業には成功したが、家族は幸福なことばかりではなかった。それでも時代が進み、ゆきは精一杯生きる。市井の人としての姿には引き込まれ、ほぼ一気読みだった。

  • 本格的な西洋料理店を起こした夫婦のお話。

    貧しい家に生まれたふたり。
    妻は幼い頃に女中奉公に出され。
    夫は酒に溺れた父親の代わりに少年の頃より、家計を支えた。
    外国船にのったり、下働きから文字も読めなかったが蘭語、英語、支那語を使えるようになり、料理を覚える。
    働き者で工夫をたやさない丈吉は、美味しい料理人となる。

    激動の幕末から明治の時代を、歴史の教科書に登場するような人々が客となり、友人となる。

    一代期。どちらかというと丈吉の妻である「おおおんな」のゆきが主人公。

  • まかてが小説のネタにする人物と歴史にはいつも感嘆する。そして、その料理の仕方が格別だ。いい味を出して最後まで飽きさせず、一緒に時代を駆け抜けさせてくれる。

  • ボタニカを読んで
    頭で考えたりするミステリーや
    心が動かされてしまうほのぼの系や
    感動系の小説ではなく
    つらつらと文字と話だけを
    追いかけれる小説にはまってしまい、
    朝井先生のシリーズを手に取ってしまった。

    時代にもまれながら
    この人も一生を料理に支えた草尾丈吉さん。
    料理で日本を支え、そのうえ
    料理でたくさんの人を幸せにしてきた。

    妻のゆきも分からないながらも
    自分なりに夫と店を見事に支え、
    浮気にも肝の座った態度で受け流し
    さすがああああと
    ゆきをさらに好きになった。

    料理の描写も美味しそうで
    お料理系が好きな人は
    長いかもしれないけど
    ぜひ読んでみてほしいです

  • 読書備忘録764号。
    ★★★。

    幕末から維新、明治にかけて、鎖国状態から一気に世界との外交に晒された日本。不平等条約のオンパレード。その外交を食で支えた男がいた。草野丈吉。
    日本初の洋食屋「自由亭」を長崎で開き、大阪に拠点を移し、レストラン、ホテルを開業し大きくしていった男。
    それを支えた偉人達。陸奥宗光、五代友厚、後藤象二郎、岩崎弥太郎。
    特にうちの企業グループの礎を作った弥太郎さま。
    土佐藩出身。国に期待し、裏切られ、だったら企業で世の中を動かしてやろう。どんだけ凄いの!あなた様は!息遣いが聞こえてくるような弥太郎さんを感じられたのは凄く嬉しかった。

    なので、どんだけワクワク感満点で、どんな壮大な大河ドラマを楽しませてくれるのか、と思いきや・・・。
    物語は丈吉の妻ゆきの視点で描かれる。
    やはりまかてさんはそっちに行ってしまうか。
    丈吉の強い意志を感じたかった。ゆきはすごいですよ。でもやはり、どこまでも受け身の世界での凄さ。「夫婦で挑んだ」と書かれているが挑んだのは丈吉。全然面白いです。ただ、500pの大作。山崎豊子を期待してしまった。

    例えば、ゆきの視点では丈吉は一度外出すると何ヶ月も帰ってこない・・・。
    丈吉がその何ヶ月なにをしているのか?日本国の文明開化の為に。命を削って。それが知りたい!その物語が!まあ、個人的にはそっちを読みたかったです。

    はい。繰り返します。間違いなく面白かったです。

  • これもまた傑作!ボタニカの時も感じた「色彩や景色が目の前に広がるような」作品.
    今回はそこに「料理の味や香り」までも感じられるようで,鮮やかで,爽やかで,躍動感あるれる作品.
    出だしからまるでNHKの朝の連続テレビドラマを見ているかのよう.牧野富太郎はボタニカが原作となることはなかったが,これこそ映像化にピッタリの作品だと思う.
    登場する幕末から明治の偉人たちもあくまでも登場人物で,市井の…というには立派過ぎるけど,一般人の幕末明治が主軸なのが素晴らしい!

  • 23/08/27読了

全40件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家

「2023年 『朝星夜星』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朝井まかての作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×