未婚と少子化 この国で子どもを産みにくい理由 (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569856162

作品紹介・あらすじ

「子育て支援を最重要対策にしてはいけない」「転勤・時間外労働が及ぼす負の影響」…データが明かす「少子化ニッポン」驚きの真実!

感想・レビュー・書評

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  • 少子化対策と子育て支援を別物として考えることを論じている。「子育て支援は単なるばら撒き政策」とか、「さらなる出生率の低下」など、メディアの論調に振り回されてモヤモヤしていたのだが、読んだ後は、その靄が晴れた感じがする。
    なぜ少子化が問題なのかについても、他の国の状況を挙げて説明。少子化対策成功例のフランスやイスラエルの状況を挙げて、日本との違いも説明されている。
    とにかく、少子化対策は一筋縄ではいかないといくことを再認識した。現状(20代から30代の我が子を見てても)結婚すること自体のハードルが高いと思う。いろんな要因で、、、経済的なもの、意識的なもの。
    最低でも10年くらいの長丁場で政策を考えてほしいなぁ。
    それと、少子化対策と子育て支援を一緒に考えると、将来、少子化が緩和され対策が必要なくなった時、子育て支援も同様に縮小される可能性があると、著者が述べている。目から鱗、だった。

  • 少子化は一筋縄ではいかない問題であることを、様々なデータを用いて論じている。以下、自分の中での結論。
    ・少子化の根本は晩婚化と未婚化
    ・晩婚化、未婚化の解決には労働環境の整備が重要
    ・10年、20年先の未来が見通せる事がライフプランを考える上で特に重要となる
    ・労働時間、勤務地を選ぶ自由がない日本の働き方を見直す必要がある

  • 少子化対策と子育て支援の混同は、限られた財政資源の無駄遣いになるだけではなく、未婚化という主たる原因を見て見ぬ振りをしてしまうことで、対策を遅らせる=少子化を進行させることになる。

    本書では若干歯切れが悪いが、未婚化の主因は「若者の不安定雇用」ではなく、「若い女性から見て満足できる経済力がある男性がいないこと」なのは各種データから明らかなのだから、議論の精度をそこまで上げていく必要がある。今後はそのような議論をせざるを得なくなってくるだろう。
    上記の主因は、若い女性の学歴や就業先の向上の結果であるものの、それがリベラル面で喜ばしいとされるのは、あくまで資本主義(というより賃金労働至上主義)や能力主義(というより受験・就活至上主義)の局面においてのみであり、持続的な社会という公共的な局面では、まさに合成の失敗だった。どちらがいいという話ではない。全てが良い結果になるという都合がいい話はないのである。
    このまま「誰もが自由に選択できて、可能性が開かれた(ように見える)先進国」が衰退し、「受け継がれてきた社会規範を変えられない後進国」が残る、そんな皮肉な世界になるのか、それとも上記のジレンマを止揚するような知恵や価値転換(キャリアなんてくだらない、貧しくても家族が一番、子供は公立高校までで十分など)が徐々に浸透していくか。

    話は飛んだものの、少子化の議論において、今もっとも誠実な(つまりバランスが良く、時流におもねらない)研究者が、子育て支援金という壮大な失政がなされるタイミングで上梓した意味は大きい。

  • 未婚と少子化 この国で子どもを産みにくい理由。筒井 淳也先生の著書。少子化を解決するにはこの国で子どもを産みにくい理由をなくすこと。子どもを産むのは女性。女性が子どもを産みたい産みやすいと思うようにすること。未婚で子どもを産むことで不利益にならないようにすること。事実婚や未婚での出産を奨励すれば子どもを産みたい産みやすいと思うようになる女性がきっと増える。法律婚や夫婦同姓が嫌で事実婚や未婚のまま子どもを産むことをためらう女性を応援しないと少子化は解決しない。

  • ■書名

    書名:未婚と少子化 この国で子どもを産みにくい理由
    著者:筒井淳也

    ■感想

    TOPPOINTで読了。

  • 様々な策が講じられながら、なぜ日本の少子化対策は実を結ばないのか? 本書ではデータ・統計を用いて、少子化にまつわる誤解を分析、真に必要な対策を論じる。

    1 章 少子化の何が問題か
    2 章 何が出生率の低下をもたらしたのか
    3 章 少子化問題と自治体
    4 章 グローバルな問題としての少子化
    5 章 少子化に関わる政策と数字の見方

  • 【請求記号:334 ツ】

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/570786

  • 第1章 少子化の何が問題か(少子化問題を整理する;国の人口と経済の規模;数字を比較することの注意点;的国内の地域的不均衡;出生数も人口も減ることはほぼ確定;どういう社会をつくりたいのか)
    第2章 何が出生率の低下をもたらしたのか(戦後の出生率の推移を詳しく見てみる;現在に続く少子化は1970年代から;晩婚化と未婚化;政府の対応のちぐはぐさ;「こどもまんなか」は少子化対策ではない;結婚したくてもできないのか、結婚したくないのか;晩婚化・未婚化の要因)
    第3章 少子化問題と自治体(自治体の多様性;人口規模、出生率、人口増加率ごとの特性;雇用と住居費が鍵;自治体の人口動態から見えてくること;自治体の出生率の誤解;自治体間の移住をどう理解するか;移住しなくてよい状態は可能か?)
    第4章 グローバルな問題としての少子化(少子化対策の背景はいろいろ;婚外出生と子どもの格差;「婚外出生」をめぐる誤解;少子化と移民の関係;移民による出生の影響)
    第5章 少子化に関わる政策と数字の見方(財源論への傾注は避けるべき;政策をバランスよく理解する;少子化対策としての働き方改革;そもそも出生率をどう計算しているのか)

    仕組みを変える≠お金を出す 複雑なものをシンプルに→しっぺ返し ×わかりやすいが役に立たない物語の消費 何が問題か:率(構成)と絶対数(規模) 即効性はないが重要な長期課題 どういう社会をつくりたいか 議論不成熟 出生率の低下:晩婚化と未婚化 その場しのぎ的対策 子供中心主義 安定した所得・仕事 少子化問題と自治体:雇用と住居費が鍵 通勤の利便性 多様性に応じたオリジナルな答え グローバルな問題:欧州ー差別や格差の縮小・離婚のしにくさ 特段の理由 政策と数字:支援と財政論の引力 価値観と政策 政治家の実績

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著者プロフィール

立命館大学産業社会学部教授

「2023年 『災禍の時代の社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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