- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569901626
作品紹介・あらすじ
時間を遡れる坂、二年後からのメール……時間をテーマにしたちょっと不思議で、小さな奇跡が大きな感動を生むハートフル・ストーリー。
感想・レビュー・書評
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優しく易しい話。
時間をテーマにした連作短編風。パズルのピースがパチリとはまるより、ふんわりはまった風味。
共通テーマはペンギン。だけど、吸引力は弱い。
もうちょっと、連作の心地よさにふるか、感動路線にふるかするともっと心にグッとくる物語になりそう。おもしろいけど、今一歩、もどかしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
時間軸関係の不思議話連作短編
公式のあらすじ
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あなたの小さな決断が、どこかの誰かを幸せにする――
昔好きだったミュージシャンの事故に巻き込まれて死んだ妻を取り戻すため、佳祐はあの坂道を自転車で逆走して時間を遡ることに成功したのだが。(「さかさまさか」)
「名前をもらってくれませんか」――台風の夜、妻の出産のために訪れた病院で出会ったのは、幼い時に死別した父親だった。(「バオバブの夜)
「ぼくね、きみの生まれ変わり」と白髭の太った老人から言われて……(「ふりだしにすすむ」)
なぜか2年後からメールをくれた彼女の、やっかいな願いごととは。(「ゲイルズバーグ、春」
他人の未来が見えてしまう俺は、自分が神だと思っていたのだが……(「神様の誤送信」)
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物語の共通点としては、時間軸に関係した不思議な出来事を描いている事と、キーアイテムとして登場するペンギンの着ぐるみの栞
エピローグは「さかさまさか」に登場する作家の中山佳祐のあとがきという事になっている
妻が芸能人の事故に巻き込まれて死んだ夫
生まれてくる子供の名前を考える父親
自分の生まれ変わりだと名乗るおじさん
喧嘩別れした友人、未来から届いたメール
未来予知レベルの占いができる男
どれも過去や未来を変えたい、知りたいという、誰にでも見に覚えのある欲求に関係した物語になっている
タイトル「ペンギンのバタフライ」は、バタフライ効果と、共通して登場するペンギンの着ぐるみの栞から
それぞれの話がそれほど深く交差しているわけではないけど、確かに他の物語がなければ成立していなかったかもねと思えるくらいには関係性がある
こんな物語は大好きだ
私にとって一番共感できたのは「バオバブの夜」
子供の名付けって悩みますよね
私の名前は叔母が付けたと聞いているけど、それ以上の事情は詳しく知らない
今では気にいっているけど、よく読み間違えられるのが昔は嫌だった
自分の子の場合、使う漢字に姉妹の事とか結婚式で使った曲の歌詞とか他の子と被らないとか音の響きとか同じ誕生日の有名人というか私の好きな作家さんにちなんだものと、色々と理由を詰め込みすぎた感はある
名前って、子供にはじめて渡す贈り物であり、一生を共にするものなので本当に大事だと思う -
こういう感じのストーリーめちゃくちゃ好き〜
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とても楽しめる作品
時空をつなぎ直すようなSFっぽく仕立てた2作品に3作品の短編を書き下ろしで加えて、全5篇のの短篇を ペンギンの栞をモチーフにしてつなぎ合わせてある
このつなぎ合わせた感覚を バタフライ とタイトルで表現しているところだろう
書き下ろし部分には、SF小説家ジャック・フィニ「ゲイルズバーグの春を愛す」という小説も題材に使う
これが時間軸を物理的に取り扱うネタバラシだ
20代の女性に、「私はあなたの生まれかわりだよ」って話しかけるおじいちゃん
2年後の未來から届くSNSでのチャット
時間軸を楽しく活用しても、しっかりと人を描いているのでSFっぽくは感じずに済む
とても心地よく、そして伏線を書き下ろしで加えているので全篇を通して楽しめる