分かれ道ノストラダムス

著者 :
  • 双葉社
3.25
  • (8)
  • (32)
  • (55)
  • (10)
  • (5)
本棚登録 : 304
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575239867

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 時は1999年、今となっては懐かしいノストラダムスの大予言が(面白半分に?)取りざたされていた時代。中学生時代に好きだった少年を亡くした過去を持つ主人公が、ふとしたきっかけで彼の日記を手に入れたことから、「あったかもしれない未来への分かれ道」について考え出すことに。
    ところが、時を同じくして勢力を広めつつあった新興宗教のきなくさい影が主人公たちの近くに迫り…

    というニュアンスの青春小説プラスミステリの小説です。前作とはまた雰囲気を変え、主人公たちの複雑に入り乱れる感情をメインに描いていて、細やかで傷つきやすいこの世代の心理描写がとても巧いです。

    後半からはきなくさい大人たちの暗躍が表出してかなりバイオレンス風味を増し、なかなかえぐさもある展開へ。この容赦のなさはある意味作者らしい、のかもしれません。善きも悪きも容赦なし、というか。ほのぼのもキレキレも同じ世界線にある、というどこか冷めて見据えているような物語の作り方は、私はとても好みです。

    人生には選択肢が無限大に存在し、間違ったのか正しかったのかわからないまま人生をつづけていかなくてはいけない。けれど今生きている、という選択肢を選んでいるだけで、それだけで正解、といっても良いんじゃないか、と。

    そしてかけがえのないだれかと出会えたという今があるなら、なおのこと。

    そういうキラキラほわり、とした気持ちにさせてくれたので、この本を読んだという選択もまた私にとってはベストでした。こういう好き嫌いだけでない絆で結ばれた少年少女って好物です…ありがとうございました。

  • これは中高生向けの作品ですかね、とはいえ大人でも十分楽しめました。特に後半の展開はハラハラドキドキで、物語の前半からは予想できない内容でした。
    舞台は1999年、世の中的にはノストラダムスの大予言で盛り上がっている、という設定(年齢のせいか、個人的にはそれほど盛り上がった記憶はありませんが…)。主人公の女子高生ネギは友人の基の3回忌で彼の日記を託され、パラレルワールドの存在を知り、基の死の分かれ道がどこにあったのかを探ろうとします。同じクラスの八女君の力も借りながら、やがて八女君の知り合いである久慈さんとつながり、そこから不穏な事件に巻き込まれていくことになります。
    このパラレルワールドへの分かれ道をさがすのが物語の前半とすれば、後半は行方不明になった久慈さんの捜索とカルト教団との対決といった構図で、かなり趣が異なります。ラストはてっきりネギのために生前、基が予約していたバースデーケーキを受け取り彼の想いを知り涙するネギ、という展開かと思っていましたがそうではなかったですね…。
    登場人物としては主人公のネギよりは八女君のほうがキャラとしても秀でた印象で、ネギはだいぶ危なっかしい、八女君や友人たちとの組み合わせでバランスがとれているといったところでしょうか。カウンセラーとして登場する桐は最初からあやしさ満点で「何かある」と思わせる点では非常にわかりやすかったですね。
    青春ミステリーとの評も見受けられますが、どちらかというと高校生が主役の冒険活劇、青春サスペンスといったほうが良いかもしれません。映像化すればそれなりに盛り上がるかもしれません。

  • 1999年を舞台にノストラダムスの大予言に揺れる人々を描いた作品。主人公の過去の後悔や思春期特有の不安定座は巧みな表現によって色濃く描かれていて、共感をしてしまう。そして宗教や終末感など、散りばめられた不安が繋がり、大きな恐怖へとなっていくストーリーはハラハラと楽しめた。主題はその時の選択や分かれ道であり、ラストシーンもそれが強く伝わってきた。ただ主人公が抱えていた後悔に対しての感情がどこに向かっていったのか、再読してちゃんと確認したいところ。

  • 舞台が90年代なので
    年代がちょっと懐かしい。

    平衡世界などSFっぽいかと思えば一応キチンとした論理的な話もあり。

    少し切ないところもあり。

  • ノストラダムスとか世紀末とかがテーマだと思ったから、楽しみに読んだけど、確かに前半はその空気感とか雰囲気があって読んでてワクワクしたけど、後半はかけ足感が強かったのと、ありきたりな展開だったからチョット拍子抜けしてしまった。もっと、都市伝説的なストーリーになってくのかなと思ってただけに残念だった。あと、主人公の女の子の行動の仕方にいちいちイラッとしてしまった笑。他人の為とはいえ、このタイミングで動く?とかそういうふうに感じてしまうシーンがけっこうあった。自分も主人公達より年齢は下だったけど、現実世界でリアルタイムにノストラダムスとか世紀末のあの何ともいえない雰囲気は味わってたからその辺はちゃんと思い出せるくらいの作品の空気感は伝わってきたから良かったのかな。

  • うーん
    いくらなんでも主人公の女の子が無鉄砲すぎて・・・
    『オーブランの少女』が好きだったので読んだけど、残念でした

  • 強風に木々の葉が揺れ動く様が目に浮かぶ名前の作家さんやなぁーと思って手に取りました。
    内容も嵐やったぁw
    最初は病死した同級生が病死しない方法は無かったのか?っていう平行世界を探すっていうSF的な話なんだなぁーと思って読んでたのに、表題にあるノストラダムスの大予言によって発足された新興宗教団体の事件に巻き込まれていくっていうミステリーやった。
    最後までドキドキの連続で先が気になって、あっという間に読んでしまったw
    中学生たちが大奮闘する青春ミステリをぜひ❤︎

  • 「戦場のコック」の著者だったので読んでみたんだが・・・
     
     青春ミステリーってことだけど、私的には物足りない感じでした。

  • うーんつまらないのに全部よんじゃった
    コックはわりと面白かったんだけど

  • 面白かったけど、ちょっと前半部からの
    話の持ってき方が苦しいかな?
    結局アイテムの一つでしかない基くん…
    高校生だからな!
    話とは関係なく、自分の1999年を思い出した。
    大学入ってキャピキャピしてたな…
    まだ家族がいて、実家もあったな…
    幸せだったな…と本筋と関係ないとこでしんみり。

全47件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

深緑野分(ふかみどり・のわき)
1983年神奈川県生まれ。2010年、「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞佳作に入選。13年、入選作を表題作とした短編集でデビュー。15年刊行の長編『戦場のコックたち』で第154回直木賞候補、16年本屋大賞ノミネート、第18回大藪春彦賞候補。18年刊行の『ベルリンは晴れているか』で第9回Twitter文学賞国内編第1位、19年本屋大賞ノミネート、第160回直木賞候補、第21回大藪春彦賞候補。19年刊行の『この本を盗む者は』で、21年本屋大賞ノミネート、「キノベス!2021」第3位となった。その他の著書に『分かれ道ノストラダムス』『カミサマはそういない』がある。

「2022年 『ベルリンは晴れているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

深緑野分の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×