- Amazon.co.jp ・マンガ (154ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575336306
感想・レビュー・書評
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夜明けの図書館シリーズの4作目
2016.05発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
蔵書一斉点検、軒下の小さな希望、小桜さんの誇り、すべての人にすべての本をの4話。
暁月市の職員として採用され、市立図書館での業務にも慣れてきた2年目の司書・葵ひなこ26才の活躍を書いた物語です。
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【蔵書一斉点検】
特別整理期間について書いています。詳しくは、「豆知識」に書きましたが、まさに本のたな卸し(在庫調査)です。このたな卸しで、不明本が出て来ます。困ったことです。
『感想』いままで図書館で、年に1回特別整理期間が有ると。う、うぅ—、休みかと思っていましたが。大変な作業をしているのにはビックリしました。
【軒下の小さな希望】
小坂寿々江80才は、亡き夫・泰治が毎年8月にお墓参りに行った帰りに買ってくる団子のようなものの謂れを知りたくて図書館に来ます。司書・葵は、調べるが分かりません。そこで国立国会図書館が全国の図書館と協同で構築している「レファレンス協同データーベース」に、未解決レファレンス事例として登録すると。静岡県の図書館から静岡県宇津ノ谷峠にあるお寺で8月の縁日で厄除けとして売られている十団子ではないですかと回答が有りました。
『感想』レファレンス協同データーベースが有るのを初めて知りました。これからは司書の専門性が問われてきます。
【小桜さんの誇り】
図書館で働く嘱託職員の小桜舞25才は、不安定な身分に不安を感じています。図書館は、少数の正規職員、嘱託職員(3年契約を2回まで更新)と臨時職員(1年契約を6回まで更新)で構成されています。3年契約の最後の年である小桜さんは、来館者からのクレームで、仕事を続けていけるか不安を感じます。
『感想』クレームの電話対応に出た正規職員の葵が、「小桜さんの事、信頼しているから」と言った言葉が、小桜さんを奮い立たせます。いい話です(笑顔)
【すべての人にすべての本を】
小学4年生の矢部清斗君は、学校で声を出して本を読めず、皆から馬鹿にされています。図書館で、清斗君と話していた葵は、横書きは読めることに気が付きます。もしかと思い調べると個人によって縦書き、横書きで読み易い、難しいが有ることが分かります。
『感想』コンピーターでマルチメディアデイジー(文字の書字方向、書体を各人の学び方に合わせて自由に選択できる)を清斗君に見せますと問題が解決します。いろんなものが有るんですね(驚き)
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【読後】
此度は、特別整理期間、レファレンス協同データーベース、図書館の職員の雇用形態、マルチメディアデイジーと今まで知らなかった事が分かり図書館を見る目が違って来ました。
そして4つの話それぞれに、読後感が良く、ほっこりします。特に「軒下の小さな希望」が、良かったです。
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【豆知識】
「特別整理期間」とは、図書館内の全ての蔵書の一斉点検です。いわば棚卸です。
方法は、ハンディスキャナで1冊ずつバーコードを読み取り、館内の蔵書約20万冊を総点検をします。コンピュータ化される前は人力で蔵書点検は行っていました。2人1組で、片方が読み上げ片方が探して、カルタ取りみたいです。これを書棚と書庫とで行います。
2日間で読み取ったデーターと所蔵データーを比較すると、不明本がこの時点で全体約20万冊中1207冊もあります。
3日目の不明本探しで半分は、単なる読み取り漏れとして見つかり。さらにその半分の300冊は、過去3年間所在不明で除籍行き。残りの300点をくまなく探すこととなり。書棚の上に、大型の本の中に挟まれていたり、棚の奥に、下にと不明本を見つけていきます。
特別整理期間日程は、
1日目が蔵書点検、
2日目が蔵書点検(書庫)、
3日目が不明本捜索、
4日目が書架配置替え、
5日目が館内整理・研修です。
2021.05.20読了
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※シリーズの感想と読了日
夜明けの図書館シリーズの3作目 2021.05.15読了
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4575335606#
夜明けの図書館シリーズの2作目 2021.04.18読了
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4575335142
夜明けの図書館シリーズの1作目 2021.03.23読了
https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4575334626詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1巻にまとめて感想記載 very good!
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蔵書点検(通称「曝書」って初めて聞いた!)の大変さ。詩集の行方。物語の終わりで急にロマンチックな展開に!
亡くなった夫の過去には図書館ネットワークを使ったレファの協力でなんとか見えてきた?キーは十団子。
小桜さんは嘱託職員だったのか。正社員が入ってくるとやっぱり焦るよね。もどかしさを抱えて探した大津絵。
ディスクレシアの彼の話は、多様性の時代のあり方の象徴のように思えた。 -
蔵書点検、レファレンス共同データベース、翻訳本、非正規雇用、障害児と
どんどん深みにはまっていきます。
〈図書館にはいろんな世界へ繋がれる本があるの
知らない面白い事に出会えるの
だから
読みたいっていう気持ちを…
諦めないで!!〉 -
うう〜ん。
これどこに取材してるんだろう。
リアリティありすぎて、怖い…。
一話目から
「蔵点は夏休みじゃねぇわ!」という
おそらく全国図書館員共通の
心の叫びネタだし(笑)
汚れてもいいような格好に首タオル
一日のスキャン目標は
ひとり1万2千冊なんてのも身に覚えが。
レファレンス協同データベースの話
そのうえ嘱託職員問題まで。
正直、気がめいるけど
こんなふうに取り上げてもらえて
知ってもらうのもいいのかもなぁ。
でも、とりあえず
物語中のレファレンスはきっちり解決していて
すっきりしました\(^-^)/
うらやま…いや、素晴らしい! -
蔵書点検の模様が描かれていて、すごく取材などきちんとされているんだなあと。
というかこれから初めての蔵書点検をする身にとっては、参考にさせていただきたい事柄ばかりで。
外国語の本は、翻訳のタイトルが何種類かあるものがあるって話も
たいへんべんきょになりました。(なんで若草物語二つあるんだろうって…)
そしてきっちり、泣かせられます。
これ読んでるといつも、目が潤んできます。
全巻そうだ。 -
4巻の冒頭のお話がすっごくよかった!
ただのレファレンスじゃない、実は・・・!ってのが。
和訳のときに日本っぽい題名に変更したり
登場人物を日本になじみのある音の響きに変えたりってのは
よくあることだと思うのですが
今回もそれがあって、見つけ出すのに苦労してましたね。
このお話で用いていた詩集の中の言葉がステキで
もしかして実在する本かな、と思って
アマゾンさんで調べたけど実在してなかった。。。
ほしくなるくらい詩集の中の言葉が響いたの。
あぁ、こんなふうに相手のことを思えたら
思われたなら、こんなに幸せなことはないでしょう。
胸に、じぃーんと広がっていく、そんなお話でした。
本はいつも私をつき動かす。
エネルギーをくれる。 -
いつもはレファレンスに特化した内容ですが、今回は、図書館での働き方の問題や障害を持った人へのサービスにまで、取り上げられているテーマが広がっていて、とても勉強になりました。考えさせられるものがありました。
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マルチメディアデイジーとかを有効に活用するのって難しいけど、図書館の働きかけ次第なのだろうか。
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読書障害。
同級生に、指でなぞりながらゆっくり読む子、いたなぁ。
凄く聞き心地がいい声だったのは覚えてる。