- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575514070
感想・レビュー・書評
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日常に潜む側から見たらなんてことないことかもしれないけど、その人にとっては大事な生きる糧になっているものを描いた物語。
重要なのは、日常に潜んでいることだったと思う。
何も非日常で、まるでドラマや映画のように予想外の出来事ではなくて、日常のほんの些細なことが私たちにとっては生きる糧になるだなと感じた。
特に1話目のいちばん新しい思い出は、離婚し、離れ離れになった父娘のお互いを思う温かさに涙した。
家庭の事情で結婚式には呼ぶことはできないけれど、それでも大事な存在であった父親に宛てて書いた手紙が胸に響いた。
大人になればなるほど、自分の理想とは異なる予期せぬ出来事が起こる。
離婚、家族の死、リストラ…
それでも前を向いて折り合いをつけて、生きていかなくてはいけない。
そんな時に支えとなる小さな理由、私も日常を大事にして感謝して生きていきたいと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
家族シリーズ第三段。短編8編。数十頁でポロポロ泣かせてくれる話はありがたい。客観的には見ればツッコミどころ満載だとしても色々考えずに瞬間涙腺を緩ませてくれれば良い。齢四十幾つかにしてロジックだけでダメで感情優先に感じ入ることの大切さを理解してきたのかも。
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たとえ「恨み言のひとつも...」と言ったとしても、心のどこかでつながって、支え支えられて人間は生きていくのでしょう。ただ血のつながりというだけではなく。
すべてが上手くいくわけではないけど、誰かを本当に大切に思うことのできる、小さな幸せがいっぱい入ってる。 -
殺人事件や派手な出来事が起こるわけでもなく、あくまで「家族の日常」をテーマに書き綴られていますが、毎回飽きずに楽しく読めるのは、自分のすぐそばにある日常、作者曰く「これってあるよね」と思えるエピソードばかりだからだと思います。
優しい文章、そして人物が浮かび上がって来る様なテンポの良い会話で気持ち良く読むことが出来ました。
色々あるけど、やっぱり家族って良いなぁ、と読後感も爽やかな気持ちになれる作品です。 -
心にしみる8編の家族の物語。
読んだあと自分の家族に感謝する気持ちになる小説でした。
印象に残った文章
⒈ 逃げてばかりじゃこの先、何も変わらないよ。
⒉ 人生というのは、気まぐれな神様が、見えない天秤の上に、良いことと悪いことの重りを載せてバランスを保っているのだろう。
⒊ 寒い玄関先に置かれるのが厭なら必死で頑張りなさい。 -
今回もどの話も響いたけれど、最も心に染みたのは、あとがきの一文。「厄介な出来事が次々に降りかかる中で、小さな幸せを見出せるバランス感覚を持つことが大人ということなのかもしれない」多くのことはバランス感覚が重要かな。
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亡き親を思い浮かべながら、親孝行したいときには親はなしだなぁと、しみじみ想う
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別れた妻が再婚して以来、15年も会わなかった一人娘から突然連絡が入る。訪ねて来た娘は結婚することを報告し、式には呼べないことを謝るが…「いちばん新しい思い出」など、8編の心打つ家族模様。「幸せも、不幸せも、その家族、家族によってみんな違う。喜びも悲しみも、その深さの大きさも、それぞれに違う。その違いを、森さんはそうっと慈しむように描いていく」(解説より)。大好評『家族小説短編集シリーズ』待望の第3弾!
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家族をテーマにした短編集。
暖まる面もあれば切ない面もあり、家族の形は色々なんだなあと考えさせられる部分もある。
自分に家族が出来たら、どんな家族になるんだろう。 -
家族の、特に父親に焦点をあてた短編集。大きな事件はないけど、日常の父親の視点で書かれた作品は興味深い。当たり前だけど、父親は家族に愛情があり、うまく表現できないものなんだなーと。もちろん、興味がそもそもない人だっているだろうからある意味理想的ななのかもしれないけど、それでも多くの父親とは娘を息子をそして妻を愛しているんだと思える小説だった。