神坐す山の物語 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575520576

感想・レビュー・書評

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  • もう少し浸っていたかった、一冊。

    少年が幼少時に見聞きした物語。

    静かな文章と共に御嶽山に連れ出され、喧騒とはかけ離れた世界に身も心も連れて行ってもらったような時間だった。

    魂の訪い、神、天狗…怖さなんて感じない。
    すぐ隣にあるような、ごく自然で当たり前に感じられること。
    それらにはむしろ神聖な気持ちしか感じない。

    心がさらさらとこの話を取り込んで受け入れ、その後を追うように清らかな水が心に流れ込むようなそんな感覚。
    そして自然と背筋が伸びていく不思議な感覚。

    もう少しこの世界に、時間に浸っていたかったな。

    • ユキエさん
      私もです。
      あやしうらめしあなかなし という作品にも、一部御嶽山神社の話が入っていました。
      もっと読みたい、浸りたいです。
      私もです。
      あやしうらめしあなかなし という作品にも、一部御嶽山神社の話が入っていました。
      もっと読みたい、浸りたいです。
      2020/06/28
    • くるたんさん
      ユキエさん♪
      コメントありがとうございます♪

      あやしうらめし…は未読です。
      気になっていたんで今度読んでみたいです♪

      こういう静かな世界...
      ユキエさん♪
      コメントありがとうございます♪

      あやしうらめし…は未読です。
      気になっていたんで今度読んでみたいです♪

      こういう静かな世界観、良いですよね♪
      2020/06/28
  • 浅田次郎が幼い頃に聞いた、御嶽山にまつわる不思議な話の短編集。

    日本古来の神道にまつわる話が多いため、難解な言葉が多いものの、終始不思議な感覚に包まれながら、読み耽った。

    後書きで、幼い頃に聞いた本当の話であるとわかり、再度読み直したくなった。特に当時では当たり前だった狐憑きの話は興味深く読めた。

    近代化で神々が遠い存在となった昨今、八百万の神々を感じながら読むことができた。

  • 著者の母方の実家は、武蔵御嶽山の宿坊を営みつつ、代々神官として神社に仕える神道の家柄。そして、曾祖父は、ある種の験力を有し、狐憑きの狐を落とす狐落としの行法を行っていたという。

    本作は、その家に伝わる怪奇譚を小説に起こしたもの。そのほとんどが実話ということだが…。

    全編にわたって幽玄な雰囲気が醸し出されている。文章的にはちょっと読みにくかった。

  • 原郷……

  • こういう、神秘な存在が信じられていた時代が、なんとなく好きなので、懐かしさを感じた。

    実は浅田次郎さんの作品を読むのは初めてだったのですが、奥行きや空気、雰囲気が文章から伝わってくる感じがしました。
    他の本も読んでみたい。

  • 浅田次郎の母親の生家である武蔵御嶽山神社でおこる霊験に基づく物語。
    神道に従事する一族の持つ霊感からか、不思議な体験が語られているが怖くはなく語られるのは神の坐すところで起こるからだろうか?淡々とこういう不思議があった、こんな事があったというような調子。
    これを読んで、御嶽山神社の宿坊へ泊まってみたくなりました。

  • 青梅御岳山の宿坊での怪異譚。よく登った山の話でディテールがありありと目に浮かぶ。そして相変わらず素晴らしい筆致で哀しい物語を紡いでくれる。

  • この本を開いて読み始めれば、清らかで貴くて少し恐ろしい神々の御坐す山の世界に、すぐに自分も包まれるような感覚になる。なんとも神妙な心持ちになる。(そこが例え通勤ラッシュの電車の中でも)

    八百万の神のような日本特有の神の捉え方、それによる自然への畏敬の念、目に見えない世界を信じる心、私はそういうのを好ましく感じているのでとてもよかった。

  • 著者の母方の実家は、代々武蔵御岳神社の神官を務める家系。そこで見聞きした話を元にした不思議な物語。明治・大正・昭和と、著者の曽祖父、祖父、伯父の3世代にかけて、今よりずっと神様が身近だった時代の話。しかも舞台は下界と隔絶された山の上の神社と御師集落。独特の日本的な情緒が感じられて、なんともいえない余韻が残る。
    御岳山にはハイキングに行ったことがあるので、情景を思い出しながら読んだ。天狗岩とか綾広の滝とか、ハイキングコースにあった場所も出てきて、また行きたくなった。

  • 浅田氏がこんな家系の人だったとは初めて知りました。験力や修験者と交流した経験談を直接聴くことができた最後の世代かもしれないと思うと、氏が作家である偶然に感謝したいです。
    御嶽山に是非行ってみよう。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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