北の御番所 反骨日録【二】-雷鳴 (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
3.79
  • (3)
  • (10)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 59
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575670660

作品紹介・あらすじ

深川の往来で菓子屋の主・彦兵衛が旗本家の用人に斬り殺された。無礼打ちとして処理されたこの一件に納得のいかない北町同心の来合轟次郎と裄沢広二郎は、彦兵衛の女房と娘の様子からある覚悟を読み取り、陰ながら助力をしようと申し出るが……。上役にも臆せず噛みつく裄沢の奮闘を描く好評シリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 頑固ではあるが、真っ直ぐな気性の北町奉行所の用部屋手附同心・裄沢(ゆきさわ)広二郎が、定町廻り同心の来合轟次郎と共に活躍する物語です。

    雷鳴 ー 北の御番所 反骨日録シリーズの2作目
    2021.08発行。字の大きさは…中。2022.02.17~20読了。★★★☆☆
    深川伊勢崎町騒動一件、長閑なり、手伝い廻り、雷鳴、の短編4話。

    【深川伊勢崎町騒動一件】
    旗本寄合庵保(あんぼ)右京之介の用人・山崎逸平が、江戸は富久町にある菓子屋「五十鈴屋」の主人・彦兵衛を無礼討ちで斬り殺した。来合と裄沢が、調べて行くと無礼討ちの名を借りた口封じであった。それを知った町人の彦兵衛の妻と娘が、武士を相手に仇討ちを行うが。奉行所でも吟味方与力の瀬尾が中心となり、無礼討ちで処理したものを町人が武士を仇討ちすることが出来るのかと……。
    ーーー 来合と裄沢が、仇討ちが適法に行えるように指導を行い。最後には、裄沢が、奉行所に来た庵保家の筆頭用人を黙らせます。結果的に瀬尾は恥をかきます。
    【長閑なり】
    吟味方与力の瀬尾が、裄沢を陥れようと企てたが、逆に瀬尾自身の地位が危なくなってきた。定町廻り同心が、盗人の源治を捕らえたのを調べていた瀬尾は、源治から盗品は、長屋の隣部屋の角三の床下に有るとの自白に基づき。定町廻り同心に任せるのでなく、自身で角三の床下から盗品を見つけ角三を共犯として捕縛して、拷問にかけて自白をさせる。
    ーーー 瀬尾は、間違って角三を盗みの共犯としたが。これは冤罪であった。裄沢に指摘され、内与力の深沢に謹慎を告げられる。
    【手伝い廻り】
    10年前に八丁堀の奉行所与力の美しい娘・美也は、定町廻り同心来合轟次郎の許嫁であったが松平定信の要望で大奥へ上がらされる。将軍の手がつかずお中臈のお満津の方様の女中として大奥に留め置かれていたが。お満津の方様が病気療養のために桜田御用屋敷に移られるのを機会に宿下がりしてくる。来合と美也は、なかなか会おうとしないので。裄沢が、お節介を焼き会わせる。
    ーーー 裄沢は、用部屋手附同心から隠密廻りへの応援として町廻りを告げられる。そんな時に来合が軽い怪我をしたのを、さも一大事のように言って美也を来合の所に連れてくる。
    【雷鳴】
    大奥から桜田御用屋敷へ移ったお中臈のお満津の方様が急死する。そして宿下がりをしてきた美也に魔の手が襲い掛かる。来合と裄沢で防いでいる所に、奉行所から与力、同心、小者などの捕り方が駆けつけてくる。裄沢は、こんなに早くなぜこれほどの数の捕り方がここに来たのか不信に思い御奉行に問いただす。
    ーーー 大奥で徳川家親藩が絡む何らかの争いにお満津の方様と美也が巻き込まれたようです。大奥といえば、将軍の世継に関わる事か…。奉行は、此度の事は何もなかったことだと言い。裄沢を此度の騒動で怪我をして出仕が出来なくなった来合の代わりとして定町廻り同心に据える。

    【読後】
    この2作目を読まずに、3作目を先に読んだので。なぜ裄沢が定町廻り同心になったのか、来合がなぜ怪我をしたのか分かりませんでしたが。これでスッキリしました。
    この物語は、剛の来合、頭脳の裄沢の組み合わせでさまざまな難局を潜り抜いてきています。そして、今回の騒動で武骨な来合と美しい美也の純愛が実りそうです(*^_^*) これから裄沢の冴え渡った頭脳が捕物を楽しくしてくれそうです。4作目を楽しみにしています。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【豆知識】
    「用部屋手附同心」御用部屋は、現代的な言い方をすれば町奉行所の執務室です。その御用部屋では、奉行の秘書官である内与力とその下僚である用部屋手附同心、合わせて10人以上が同じ部屋で仕事をしています。用部屋手附同心の主な仕事は、町奉行の仕事ほぼすべてに関わる内与力の補佐として、各種文書の草案作成や案件の下調べを行うことなどです。
    ※北の御番所 反骨日録シリーズの1作目より

  • 【収録作品】深川伊勢崎町騒動一件/長閑なり/手伝い廻り/雷鳴

    無礼討ちとされた一件に納得できない裄沢と来合は、内々に調査を進める。真相に気づき、遺族の覚悟を知った二人は、その後のために奔走する。
    一方、大奥に上がることになって来合との縁談が立ち消えになった女性が宿下がりで戻る。来合の気持ちを考える裄沢はじっとしていられない。

    裄沢の行動や態度は、敵を作りやすいものだが、その敵の小ささに呆れてしまう。げんなり。

  • 2作目になって、私も分かって来たのでなお面白い。いやあ、1作目のもう一つの伏線をもう使うのね。展開が早いわ

  • 主な主人公の二人。轟次郎と広二郎。
    轟次郎の許嫁が大奥から戻ったことに端を発する今回の事件は、表面上は全く違う事件を受けての他人の目を誤魔化す処置であったのだが。

    奉行所の人間関係も顕に、読み応えもしっかり。

  • トントンと進むな

  • 92

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1961年、宮城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。学生時代は映画サークルでシナリオ作成に熱中、二十数年のサラリーマン生活を経験した後、2011年『返り忠兵衛 江戸見聞 春嵐立つ』(双葉社)でデビュー。「半四郎百鬼夜行」シリーズが「この時代小説がすごい!」(宝島社)文庫書き下ろし部門二年連続ランクイン! 新シリーズ「御家人無頼」も好評。確かな筆力と個性的な人物造形で目利き絶賛の時代小説作家。

「2017年 『素浪人半四郎百鬼夜行(拾遺) 追憶の翰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

芝村凉也の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
東野 圭吾
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×