坊ちゃんの時代: 凛冽たり近代なお生彩あり明治人 (アクションコミックス)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575930597

感想・レビュー・書評

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  • 一躍「孤独のグルメ」で有名作画家となられた谷口ジロー氏の著作でございます。そうです谷口ジローは食マンガだけではないのです。原作者によっていかようにもその姿を変幻自在千変万化の名作画家なのでございます。あるフリーペーパーによりますと谷口ジロー氏は海外では知る人ぞ知る方でございまして、というのもさるアートの賞を頂いているようなのです。さすがトリコロールな国の方は分かってらっしゃいますなあ。ワタクシ嬉しい限りでございます。

    さてそんな万能作画家・谷口ジロー氏がマンガ原作者の関川夏央氏と組んで夏目漱石先生を中心に文学人から明治を批評しようとした試みが本書とそれに続く4作でございます。


    明治の空気感を感じろ!

    絵の素晴らしさ。ディテールの美しさ匂い立つ哀愁たるや垂涎ものでございますが、話の筋も興味深く特に漱石先生が文学で身を立てると決心するクダリなどは一見の価値ありでございます。
    さらには正岡子規や石川啄木、小泉八雲などなどなど周辺の文化人政治人が登場しそれぞれが時代の渦の中で何を思いどう動いたかという大河ドラマ的様相をあの谷口ジロー氏が(しつこいw )描いておるのであります。

    明治文学明治文化近代史にご興味のある方は所詮マンガだと侮らずに読まれることをお勧め致します。まず間違いなくそのボリュームに圧倒されることをここに請け合う所存でございますので。

  • 夏目漱石が「坊ちゃん」の構想を得、執筆に至る頃までの出来事を漫画で描いた一冊。調度品や家の外観、他の登場人物など、時代考証のしっかりした丁寧な描写に感嘆した。明治時代の政治や歴史の背景にはあまり明るくないのだけれど、欧米の文化が怒濤のように流れ込み、良くも悪くも混沌としていた様子が伝わってくる。
    こうした状況の中で著されたものだと理解してから読めば、漱石の小説もこれまでとは違った捉え方ができるかもしれない。

  • やっぱりマンガの力というか、伝わりやすさってすごいなー、と感動。時代背景や、漱石の交友関係などからいかに坊ちゃんが誕生したかが生き生きと描き出されていて面白かった。

  • 最高!

  • 全5巻。明治という時代。その時代の東京という舞台。そこで交錯する時代人の人生。大変読み味ある作品でした。「凛冽たり近代、なお生彩あり明治人」というサブタイトルも、光ってます。

  • 凄く面白い、という作品ではないが、当時の文学界の知った名前が多々出てくるので、勉強にはなる。

  • 「明治」という時代がどういうものだったのかを、心理面・精神面から丁寧に考察している。この時代を扱った本でこういう観点からまとめられた良書をあまり知らない。明治時代というとすぐに日清日露戦争ばかり描いて、近代化の波が日本人の精神にどういう影響を与えたのかをきちんと考察しないものばかり。司馬遼太郎の影響が強すぎるのだろうか、坂の上の雲ばかりではないと思うのだが…。その点、この本(マンガだが)は、非常によくまとめられた素晴らしい本だと思う。

  • 読書日記。

    8つの要素。
    ・夏目漱石
    ・「坊ちゃん」のモデルたち(フィクション?)
    ・神経を病む
    ・書くことで癒される
    ・明治時代
    ・変革期
    ・おおらかさの残る時代
    ・奇妙な文学者たち

    (2009年12月07日読了)

  • 「多少の縁あるひとを見捨てるは恥です。」
    「役立とうと思うは義です。」

    舞台は明治(末期)。登場人物は夏目漱石、森鴎外、石川啄木、幸徳秋水、管野須賀子、二葉亭四迷をはじめとした明治の文学者・思想家たち。それぞれの生きる明治の世相が、時に痛快に、時に物悲しく描かれています。

    登場人物の一言一言が重く深く響く、関川夏央・谷口ジローによる劇画的、というか映画的な超名作です。

  • かなり影響を受けた漫画の一つ。
    明治という時代を舞台に様々な文化人が
    おりなすドラマは、文学大好きな人も
    そうでもない人も楽しめると思います。

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著者プロフィール

1949年、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。
1985年『海峡を越えたホームラン』で講談社ノンフィクション賞、1998年『「坊ちゃん」の時代』(共著)で手塚治虫文化賞、2001年『二葉亭四迷の明治四十一年』など明治以来の日本人の思想と行動原理を掘り下げた業績により司馬遼太郎賞、2003年『昭和が明るかった頃』で講談社エッセイ賞受賞。『ソウルの練習問題』『「ただの人」の人生』『中年シングル生活』『白樺たちの大正』『おじさんはなぜ時代小説が好きか』『汽車旅放浪記』『家族の昭和』『「解説」する文学』など著書多数。

「2015年 『子規、最後の八年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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