アリストテレスの現象学的解釈: 「存在と時間」への道

  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582702774

作品紹介・あらすじ

『存在と時間』の原型となった若きハイデガーの幻の草稿「ナトルプ報告」、初の邦訳単行本化。

感想・レビュー・書評

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  • 2度目の通読。この本の作成経緯どおり、ハイデガーがこの時期の自分の研究計画をまとめたもの。前半は、『存在と時間』へのステップともとれます。『存在と時間』と似ているようでいて、やはりずいぶんちがいます。だってこちらは存在の問いが明確になっていないんだから。
    後半は、アリストテレスの解釈方針。こういうふうに解釈するつもりだったんだ、ということがわかっておもしろいです。
    前回読んだときは、前半のほうが楽しかったですが、今回は後半のほうがおもしろかったです。この前ニコマコス倫理学を読んだところだったので、ハイデガーがばくっと言っていることが、どういう解釈かっていうのがちょっとわかったりして。俄然興味がわいてきました。阿部さんの『存在とロゴス』や、ハイデガー全集62巻あたりを読もうかなあと思いました。ただ、62巻はたしか翻訳出てないんですよね。創文社もつぶれちゃうし、どうなるんでしょうか。
    訳者が丁寧に訳してくれているのはよろこばしいですが、やはり日本語としては不自然なことが多々ありますね。Interpretationを解釈と訳すので、Auslegungを釈意と訳し分けていますが、やはりぴんとこないです。ハイデガー読みはタームをドイツ語に再変換しながら読み進めるのであまり支障がないといえばそうですが、私のように素人に戻りつつある人間からすると、やはり訳語にひっぱられることも多くなってきて、そのために理解がうまく進まないこともありました。あと、時熟はちょっと先走って訳しすぎではないでしょうか。たぶん原語がそうなっているんでしょうけど。同じtranszendentalでもカントとフッサールとではずいぶんとちがうように、ハイデガーのこのナトルプ報告と『存在と時間』とでは、意味合いがちがうのではないでしょうか。少なくとも私には、同じものとは読めませんでした。どうなんでしょう。(2018年5月6日読了)

  • かなり面倒な翻訳で、原書が横にないと理解できそうにない。

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著者プロフィール

(Martin Heidegger)
1889年、ドイツ南西部、メスキルヒ生まれ。20世紀最大の哲学者の一人と呼ばれる。フライブルク大学で当初神学を専攻し、のち哲学専攻に転じ、リッカート、フッサールに学ぶ。1919年、フライブルク大学私講師となり、「事実性の解釈学」を講じる。マールブルク大学員外教授、教授を経て、1928年フライブルク大学教授。多くの優秀な弟子を育てる。1927年、普遍的存在論の書『存在と時間』を出版、爆発的反響を呼ぶ。1933年から翌年まで、ヒトラー政権のもとでフライブルク大学長。1976年、フライブルクで死去、メスキルヒに埋葬。他の主要な著書は『哲学への寄与論考』、『ニーチェ』、『道標』、『杣道』、『講演と論文』、『言語への途上』など。全集は100巻をこえる。

「2019年 『ハイデガー=レーヴィット往復書簡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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