- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582764482
作品紹介・あらすじ
ニクソン米大統領訪中から三〇年-。太平洋をはさんで朝鮮半島とインドシナ半島で対峙し、歴史的和解にいたったドラマに、米中両国民の相互イメージはいかなる役割を果たしたのか。グローバル時代を主導する二つの大国、米中関係の過去と未来を描く。
感想・レビュー・書評
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1938年になってアジアの情勢、米中関係に俄然新しい変化が見られ始めた。
親中論者のモーゲンソー財務長官も、アメリカ人、中国人、圧政にあえぐヨーロッパの人民、さらにいまアメリカの味方となって戦っているイギリス人とロシア人などすべてのものは、中国に対するアメリカの裏切り行為に衝撃を受けようといって、妥協案に反対した。
アメリカ人の中国人像といっても、ほとんどの人は基本的な知識すら持っていなかった。中国がどこにあるかも戦前のアメリカ人は知らなかった。
マッカーサーは常にヨーロッパ優先主義を皮肉った。彼はアジア第一主義者だった。アメリカの将来は太平洋にあるという基本観念を持っていた。ヨーロッパにおいてはイギリスのペースに巻き込まれるのみであり、まず日本を撃破してアメリカの力を誇示するべきだと主張した。
もし中国が共産化したら、次はインド、マレーシア、インドネシアとアジアにドミノ理論が来るのを懸念した。アメリカとしては中国の親米政権たる国府を積極的に支持。
中国軍事力の躍進が予想外であればあるほど、どうしてこんなことになったのかという考えが出てきたのも道理であった。中国人だけで、自力でこれだけの変化をもたらすわけがない。裏にソ連の陰謀かアメリカの左翼の援助があったに違いないと考えていた。
パワーポリティクスは、目新しいものではなく、アメリカの対ソ冷戦外交や戦略も、地政学的な視野に立って展開されていたが、中国に対してはパワーと同時に、それ以外の面、特に反共イデオロギーとか蒋介石政権への道徳的コミットメントとかイメージ形成上の重要な要素だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示