東京日記2 ほかに踊りを知らない。

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582833799

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  • 川上弘美 『ほかに踊りを知らない。(東京日記2)』
    (2007年11月・平凡社)

     七月某日 雨
     ひさしぶりに、俳句をつくってみる。
     破調の句である。
     「ごきぶり憎し 噴きつけても 噴きつけても」

     三月某日 晴
     電車に乗る。隣に座っている人が、熱心にメールを打っている。つい、のぞきこむ。
     「愛されることへの覚悟が、私にはないのかもしれません」という文章だった。
     びっくりして、思わずじっとその人の横顔を見る。不思議そうに見返される。
     そんなにびっくりすることも、ないのかな。思い悩む。
     やっぱりびっくりしたほうがいいんじゃないのかな。思いなおす。

     たんたんと、ちょっとシュールに、日々は流れゆく――。
     ウソじゃないよ、五分の四はホントだよ。カワカミさんの日記、続いてます。

     2004年~2007年分を収録した『東京日記』第2弾。 (Amazon HPより)

    日記が好きだ。
    と言っても、自分で日記を書くのが好きなのではなく、人が書いた日記を読むのが好きだ。

    日記。エッセイ。私小説。
    似た匂いがするけれども、日記がいちばん良い。
    その日にしか書けないから。
    嘘がつけないから。
    他人の生活をのぞき見しているような気分になるから。
    同じ匂い、同じ空気を、感じられるから。

    川上、弘美さん。
    もちろん名前は知っているが、作品はアンソロジーでちらりと読んだ程度。

    読んでみてびっくり。

    ・・・か、かわいい。

    あとがきに、「五分の四くらいは、うそみたいですが本当のことです」と書いてあるから、
    多少は脚本されているのだろうが、それはもうどうでもいいわけで。

    この人の思考、行動、そして文体が作る透明な空気感にすっかりやられてしまった。
    うぬぬ、と唸りながら一気に読んでしまい、著者略歴を見て年齢を確認し、なぜか少しほっとする。
    これが同年代なら、一目惚れしてしまってファンレターなんぞ書きかねなかったから。

    生まれて初めてのファンレターこそ書き損ねはしたものの、なんとも得した気分になれたある日記マニアの一日でありました。

    80点(100点満点)。

  • 卵一個ぶんのお祝い。の続編。
    一度に読んでしまうのはもったいないなと感じる文章の数々。けど1日でするすると読んでしまう魔の魅力がある。
    前作同様、短い日常の情景を集めた作品で、畏まっていない等身大の日記文学。
    たまに、淡々と書かれているのに、何故だか少しうるりときてしまう文章があって、どきどきする。
    著者の川上さんの本を読むと、すぐに影響されて川上さんみたいな文章を書きたくなる。(素人にそんな簡単に書けるものではないのに。)

  • 2007年11月17日発売と2作目。

    少し慣れたかな。4/5は本当のこととあるけど、本当かな。だとするとスゴイ。

    『十二月某日

    おおみそか。

    年賀状を書きながら、来年の目標を考える。二つ、

    思いつく。

    一つは、「よくうがいをする」。

    もう一つは、「くつしたを裏返しにはかない」。 とても難しい目標だけれど、守れるよう頑張ろ うと、強く決意する。』

  • "一般名詞? 聞き返すと、兄弟はきっぱりとうなずき、一般名詞だよ、と声を揃えた。"

    淡々と進む日常と言葉のリズムが気持ちのよいエッセイ。
    そういえばと昔買った10年手帳の存在を思いだし数年ぶりに開いたら、1年と3か月で終わっていた。日記をつけられ続ける人はすごいな、とあらためて思う。

  • たんたんと、ちょっとシュールに、日々は流れゆく――。
    ウソじゃないよ、五分の四はホントだよ。カワカミさんの日記、続いてます。
    2004年~2007年分を収録した『東京日記』第2弾。

    体調悪いけど、本読みたい…そんなときに、気負わず読める日記。
    川上さんとお子さんのやりとりが可愛くて好き。
    些細なことで不安になったりメソメソしてしまう川上さんを、お子さんが仕方ないなぁと見守っている、そんなイメージ。

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  • たんたんと、時にでこぼこ、どこかシュールに、日々は流れる…。不思議で可笑しく、ちょびっと切ない。カワカミさんの、5分の4(くらい)はホントの、日々のアレコレ。『東京人』連載を単行本化。

  • 気軽に、楽しく読めるので、重い内容の合間などに読んだ。

  • 思わずくすっと笑える話がたくさん。

  • 5分の4くらいが本当との事ですが、これが本当ならばシュール過ぎるだろうと。本当にこんなにうねうねと日々を過ごしているのかと突っ込みたい気持ちでいっぱいです。川上さん面白いなあ。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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