生きるのがつらい。: 「一億総うつ時代」の心理学 (平凡社新書 298)
- 平凡社 (2005年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582852981
感想・レビュー・書評
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古本市で。
最近こういう本を手にすることが多くなっているが、それは今まで目をそむけて、あるいは一緒になって泣き喚いた自分の中のどうしようもない部分に対して、どうしたら適度にうまくやっていけるだろう?と目を向け始めたということなのだと思う。
8年前の本だが、非常に役に立つ「自分の心との距離の取り方」がたくさん入っている。普通のときはある程度自分をコントロール下におけるものの、弱ってしまうと途端に巻き込まれてしまう自分は、ひとまずこれを参考にして、自分の舵の取り方を考えてみようと思う。
つらい、という感情は、生々しくあらあらしいものでひどく恐ろしい怪物のように感じるひともいるかもしれないけれど、むしろそれは夕暮れの陰のようにひっそりと、しかししっかりと自分の傍に寄り添っているものであって、けして凶暴なものではない。ただ、「どこまでいってもこの辛さ、生きにくさは、完全には他人に理解してもらうことはできないし、取り除いてもらうこともできないのだ」という断絶感を与えられるだけだ。
この本で繰り返し説いていたのは、「自分のなかにカウンセラーをつくる」「弱音を吐きあえる関係をつくる」ということ。
「つらい自分」は「醜い自分」「弱い自分」であり、「よりむき出しで情けない自分」の姿でもある。これをあたまから拒否せずに、「そこにいるね。また来たのかい」と、良い悪い好き嫌いはともかくとして、『認識する』ことが大事なようだ。ひたすら自分の中のあらゆる感情を認識することが、自己肯定につながるとのこと。
弱音をはきあえる、というのは、ひどく難しい。拒まれたらこわいから、勇気がいる。
でも、「わたしはいまとてもしんどいから、少し話してもいい?」と自分から「~してほしい」とお願いすることで、「気づいてもらえない」「わかってもらえない」という感情のフラストレーションを起こさなくて済む。
それに、つらい、しんどい、と訴えて、すぐに「マイナスな感情を与えようとするなんてキミはうっとうしいやつだ」なんていってくるやつがいたら、そんなやつははじめから、自分にそれほど近しい感情を持ってなかったのだって考えればいい。
あれこれと書きつけたが、覚書である。
自分にはまだ完ぺきには使いこなせないスキルも多い。
うつにまきこまれやすいのはもう会得してしまった性質ゆえに、仕方ない。自分とうまくつきあって、世の中のたのしいことを少しでも発見できるように努めていこう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やたらとプラス思考をがなり立てる自己啓発本の著者や、懊悩にどっぷりと浸る五木寛之氏や姜尚中氏のような方々(好きだけどね)とは異なる位置づけの「お悩み対策本」。
プラスとマイナスの中間的な立場ではなく、とにかく一度立ち止まって、ありのままに悩みを眺めよう、評価をくだすのはやめよう…という提言。そして、うじうじして悩みを吐き出し、弱音を吐けばいいではないか、とも。
悩みの緩和には、無理に自分を鼓舞するより数段効果あり。 -
インパクトのあるタイトルですが、「なんとなくしんどい」と思ったら気軽に読みたい本です。
「自分らしく生きよう!」「自己肯定感をあげよう!」といったキラキラメンタル本に疲れたときにおすすめ。地味だけど根本的なことがよくまとまっています。
・つらい気持ちの取扱い方
・つらい気持ちをしのぎながら共存していく方法
・まわりの人がつらいときの対処法
が易しく穏やかなテンションで書いてあり、気力がなくても読みやすいです。
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仕事等の重なるストレスに「生きるのがつらい」と感じた時に読んだ本。「つらさや弱さを追い払うのではなく、それと共存すること」等のアドバイスに大きく力をもらったことを思い出す。みんながつらさを抱えて生きてる今の時代に、つらさをつらさとして受け入れて生きていくことの必要性。筆者の考え方は、自分の中にはすっと入ってきて、支えとなった。
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ただひたすら「あるがままに」、読後感はこの一言に尽きます。
・つらさをつらさとして受け止める
=つらさを乗り越えない
・弱音を吐く
=我慢しない、強がらない
・ありのままの今の自分を受け入れる
=変わらなくてよい、自分を認める、つらさと付合う
といった各章のタイトルがそれを象徴しているように感じました。
特別なことはなにもせず苦しい人に寄り添ってくれる印象の一冊です。著者のカウンセリングの方針なのでしょう、乗り越えたり克服したいするのではなく、
・つらさにのたうちまわる、これに寄り添う
・結果、解決できない、乗り越えられないことに気づく
という(これはこれで厳しい)プロセスを重視しているがゆえの内容といえます。
とにかくありのままを受け入れることが大切、またアタマではそうとわかっていてもそうできないこともあるとの理解が示されている点もただ正論やポジティブシンキングを述べるだけの本と違って心のハードルが下がろうというものです。 -
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本書で提示した考えの多くは、先のロジャースやユージン・ジェンドリンが開発し、アン・ワイザー・コーネルが発展させたフォーカシングというアプローチ、特にそのクリアリング・ア・スペース(心の空間づくり)という技法や、それを基盤として増井武士先生が考案された方法などに多くを負いながら、私なりに考えたり付け足したり工夫を加えたりしたものであることを断っておきたいと思います。(はじめに)
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さとりの本と似てて、良かったよ、意外に。
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ロフト行き
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タイトルは、生きるのがつらい、とあたかも死にたくなる状態の人間の赤裸々話かと感じますが、実際は、自分を前向きにしてくれる分析本、とても暖かな本です。
辛いと感じている心と、どう向き合うか。
うつ状態とどう付き合うか。
読んで、少し気が楽になった部分もありました。
筆者である諸富先生の、別本にも興味が湧きました。