- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582853223
感想・レビュー・書評
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日本史に興味をもって、あれこれと本を読んではいても、なかなか頭に入らないところはあるもの。
著者は歴史哲学という観点から歴史をとらえており、通説とは違った斬新な見方で史上の事柄を紹介している点が魅力的です。
例えば、1333年に後醍醐天皇が建武の新政を起こしたものの、天皇が並外れたぜいたくをした上に公家を優遇したため、武士の反感が高まり天皇に反旗を翻して、室町幕府の樹立につながった、というエピソードなど、歴史が流れていった根拠を、理由と共に説明しているために、のみこみやすいのです。
西南戦争では、西郷軍には命を捨てる覚悟の武士たちが集まったものの、わけもわからず上官命令に従って戦場に生かされた政府軍の方が数で勝ったために勝利したという不条理など。
必ずしも人々の思うように歴史は動いてこないということを感じます。
倒幕派と佐幕派が争った混乱期に、イギリスやフランスに植民地化されずにすんだ理由は、日本の教育水準が高かったためだということも知りました。
日本では、寺子屋の教育により書物を読み考えた上で「自分たちは天皇の国の一因だ」という信念を持っていたため、教育面でも宗教面でも圧倒することができなかったからだそうです。
また、ノーベル賞受賞者数からもわかるように、日本でよい科学者がなかなか生まれない理由として、日本の財界が目先の金儲けを重んじ、長い目で見た化学、技術の育成を怠ったことからくるものだと論じており、そういう理由だったのかと納得がいきました。
この本一冊で日本史すべてを理解することはできませんが、これまでとは違うとっかかりをつかむことができる、ユニークなアプローチがなされた内容となっています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史音痴としては、読みやすかった。
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歴史学者の役割
文明の形を知る。
いろいろな分野で「あるべき未来」を正確に知っている者が、よりよい仕事ができると思われる。
文明が社会のありかたを決める。
時代によって物を購入する方法は変わってくる。
科学技術と科学思想
「誰でも共有できる、科学的思考から作られた技術」を指す。
一部分しか読めていないが、日本史とは暗記して覚えるのではなく、時代の流れをつかみながら読むことがとても大事だとわかった。 -
図解が多いのがわかりやすそうだったので読んでみたもの。日本史の流れは前半の100ページくらいでしか語られないが、社会の支配体制の移り変わりがまとめられている。事件や戦いを中心とした記述より歴史の流れがわかりやすい。
北九州西部では、古墳が広まったのは4世紀初めであることから、卑弥呼の時代の2世紀末から3世紀半ばには大和政権とは別の政権があったと推測される。
庶民は弥生時代以来、100〜200人の血縁者からなる集落で農地を経営していた。集落には郡司(地方豪族)のまつる神社の神がまつられ、国司・郡司から供え物が分け与えられるなどの形で共同体を構成していた。奈良時代の頃から進んだ農業技術が地方に広がり、10世紀頃から有力な者が家を組織するようになって、血縁集団の集落が崩壊すると、独立して農業経営ができない家をまとめて指導する家長が現れて武士となった。武士たちは、中央の文化を得るために貴族や社寺と結びつき、土地を荘園として登録して(寄進地系荘園)、貴族などがまつる神の分社がおかれた。村落の支配が弱まった国司は、国衙軍などの騎馬軍隊を設けて圧力をかけたが、地方の小領主がそれに対抗して中世の姿の武士が現れた。同時期に、桓武平氏、清和源氏など、中央での出世をあきらめた中・下流の貴族が、国司や地方の武士と結びついて地方に融けこんでいき、源平合戦に至る。
鎌倉幕府は国ごとに守護をおき、承久の乱に勝利すると御家人の支配が強くなった。室町幕府は国ごとの守護大名の連合政権のようなもので、地方に本拠をおく国人と呼ばれる武士たちが勢力を拡大し、後の戦国大名となった例もあった。
信長は荘園支配を否定し、座による公家・社寺の商工民支配を禁じて楽市楽座を行った。秀吉は、領国の土地・民衆に対する支配を認めさせることによって大名の権力を認めた。 -
請求記号:SS/210.1/Ta63
選書コメント:
あのころ好きだった「日本史」、また勉強したいけど...という人のために。これ”一冊”で日本史がつかめます。
(東松山図書課 閲覧担当) -
日本史概観。世界、東アジアでの位置づけ、科学の発達との関わり。面白かった。
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105ページ 「評価すべき考えることも可能である」→「評価することも可能である」
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この年齢になると歴史はやっぱり興味深い