装束の日本史: 平安貴族は何を着ていたのか (平凡社新書 357)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582853575

感想・レビュー・書評

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  • 平安時代の公家様がめかし込んでいる、あの衣装。現代でも微妙に形をかえつつも、神事では用いられているという。日本の「着物」の一義的イメージは、振袖・留袖・浴衣・紋付袴といったところで、シンプルな衣裁ちが特徴だが、これらはお公家様の下着が進化して、武士の世に上着になったもの。当時(室町以前)の仕立てはもっと複雑で、出自は中国大陸の装束を真似たもの。さらにそのルーツはもっと西方の騎馬民族ということもあって、ズボン・ベスト・靴のように、現代のコンポーネントに近い構成。その事実に気付かされたのは、ちょっとした驚きだった。豪奢に見える装束だが、意外にも個人嗜好のファッション性は少なく、ほとんどが身分や序列を表するために、着こなし方法は細に定まっていたようだ。
    挿絵やイラストも多少掲載されているが、衣服についての描写が文字中心なのは読むのに苦慮した。新書に期待するのも酷だが、もう少し解説図版が欲しかった。

  • 所在:展示架
    資料ID:10700077
    請求記号:210.098||Ko73

  • 新書だし仕方ないけど、やっぱ画像少ないと分かりにくいです。何かと併せて読む方が面白いかな?

  • 「身二幅・広袖一幅半・盤領・縫腋・有襴・蟻先付」。この呪文のような字句の意味が分かる人は、かなり和服や装束に詳しい人だと思います。本書の中で平易な文章で紹介されるのは、平安時代の公家を中心とした「装束」の世界です。
    「装束は実用品である」と著者は言いますが、平安貴族の着ていた装束は出自、官位や職などの身分、年齢、さらには季節などを示すシンボルであったことが良く分かります。それらは「有識故実(ゆうしょくこじつ=有職故実)」として厳格に規定されていました。しかしこのことは、そうした規定を明文化しなければならないほど、変化しやすく廃れやすいものであったことをも示しているように感じられます。実際、あまり知られていないことですが、現在の私たちが「公家」と聞いて想像するあの姿は「強装束(こわしょうぞく)」といって、平安時代の終わりごろに「柔装束(なえしょうぞく)」から理由不明の変化を遂げたものなのだそうです。歴史という縦の流れが、装束の全体像の把握をいっそう困難にしているのでしょう。
    源氏物語などを読んでいて、やたらと服装の描写が長くて辟易したことを思い出します。私は専門ではありませんが、本書は国文学を専攻する人にとっては必読書ではないでしょうか。新書という手の届きやすい媒体にこのような書物があるのは、ありがたいことです。
    さて、最初の呪文のような字句は、公家の正装である束帯の上衣「袍(ほう)」の構造規定でした。それぞれの意味は本書でどうぞ。

    (再読)

  • 国文科1年生の必読図書に指定したい。
    支払った値段が申し訳ないほどよくわかります。
    値段を5割増にしてもいいから、カラー版の新書にすればよかったのに。挿図をカラーで見たいものだと思います。

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著者プロフィール

國學院大学大学院非常勤講師。1957年、神奈川県生まれ。國學院大学大学院博士課程単位取得。博士(文学、広島大学)。専門分野は日本古代中世史。著書に『弓矢と刀剣』『騎兵と歩兵の中世史』『源義経』『装束の日本史』『武具の日本史』『朝廷儀礼の文化史』など。

「2019年 『天皇の装束 即位式、日常生活、退位後』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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