新書700近代の呪い (平凡社新書 700)

著者 :
  • 平凡社
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582857009

感想・レビュー・書評

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  • 近代に対する評価についてはこれまで読んだものと大きな違いはないような気がする...結局何を考えたら良いのだろう

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  • 大学での講演を文章化したもの。
    近代の呪い(もたらされたもの)とは、
    ナショナリズムの強化
    世界の人工化

    生活の豊かさとは何か、を問い直そう。

    フランス革命は日本でよく言われているほどいいものではなかった、もいう事だけ伝わった。

  • おどろおどろしいタイトルではあるが、講演録なので内容は平易である。
    近代とはどういう時代であったか?
    それは市場経済が世界化することによって始まり、かつてない衣食住の向上(ゆたかさ)を人類にもたらした。
    しかし、それが皮肉にも「ふたつの呪い」に転化していく。
    一つ目。ゆたかさをインターステイトシステムのなかで維持していくためには、強力な国民国家(民族国家)づくりが必要だった。その結果、民衆世界の自立性は解体され、民衆は教育された「国民」として国家に拘束されていった。
    二つ目。急激な経済成長と人間中心主義を前提とする近代科学は、自然を資源として収奪し、自然と切り離された生活世界の人工化=カプセル化を推し進めた。
    これが近代だ。本書はそういう著者の思想のエッセンスとなっている。
    個人的には、近代の起点として神話化されたフランス革命が決してバラ色ではなかったと説く第三話が強く印象に残った。

  • 近代以降の世界において、われわれはインターステートの体系に所属せざるをえない。近代において人権や生活水準の向上が進んだことは事実であって、そのことは絶対的に良い方向なのだが、代わって個人は否応なしにインターステート・システムに取り込まれてしまい、ヒトどうしや自然との交感を喪失し、自分の身近な生活空間を意識することができずに経済成長ばかりを追い求めることとなってしまっている。
    講義録であって読みやすいが、内容は、煎じつめると歴史教養の紹介+上記の慨嘆というもの。瞠目する提言があるというのではないが、そういう賢しらげな態度で読むべき本ではないと思う。むしろ心の奥底で渡辺のいうことにいちいちうなずく自分を感じる。

  • 新書である事に気概を感じる一冊でした。

    著者はかつての社会にあった美徳を顕彰するだけでなく、その至らなさも同時に検証し、同様に近代に対しても批判的な視座のみを持つのではなく、その功利も冷静に見つめています。

    個人的には自由や平等という言葉のうちの過度の漂白を疑う良い機会になりました。また、社会の両義性を改めて実感し、その面白さ、困難さに打ち拉がれてもしまいました。

  • 「近代」とは何かを根源的に問い続けている著者の講演録。講演録なので、平易な言葉で語られており、読みやすい。近代の成果は人々を豊かにし幸福にしたが、それによって「インターステイトシステム」と「世界の人工化」という2つの呪いに呪縛されているというのが、著者の歴史観。そこから脱却していくために生活のゆたかさの意味を新しく位置づける必要を説いてる。その際のキーワードは、「自立的民衆世界」=“人が人らしく生きうる共同社会”の探究である。

  • 洋泉社から出てる「渡辺京二傑作選(新書y)」も、筑摩書房の「渡辺京二コレクション(ちくま学芸文庫)」も読んでません。。。いつになったら読めるのか、早くしなきゃ。。。

    平凡社のPR
    「『逝きし世の面影』の著者が人類史の視点から近代を総括する注目の講義録。私たちはどこから来て、どこへ向かおうとしているのか──。この混沌たる時代を生き抜く現代人のための必読の書。 」

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著者プロフィール

1930年、京都市生まれ。
日本近代史家。2022年12月25日逝去。
主な著書『北一輝』(毎日出版文化賞、朝日新聞社)、『評伝宮崎滔天』(書肆心水)、『神風連とその時代』『なぜいま人類史か』『日本近世の起源』(以上、洋泉社)、『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞、平凡社)、『新編・荒野に立つ虹』『近代をどう超えるか』『もうひとつのこの世―石牟礼道子の宇宙』『預言の哀しみ―石牟礼道子の宇宙Ⅱ』『死民と日常―私の水俣病闘争』『万象の訪れ―わが思索』『幻のえにし―渡辺京二発言集』『肩書のない人生―渡辺京二発言集2』『〈新装版〉黒船前夜―ロシア・アイヌ・日本の三国志』(大佛次郎賞) 『渡辺京二×武田修志・博幸往復書簡集1998~2022』(以上、弦書房)、『維新の夢』『民衆という幻像』(以上、ちくま学芸文庫)、『細部にやどる夢―私と西洋文学』(石風社)、『幻影の明治―名もなき人びとの肖像』(平凡社)、『バテレンの世紀』(読売文学賞、新潮社)、『原発とジャングル』(晶文社)、『夢ひらく彼方へ ファンタジーの周辺』上・下(亜紀書房)など。

「2024年 『小さきものの近代 〔第2巻〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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