- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582857832
感想・レビュー・書評
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現代史の通史というより、主に太平洋戦争の戦史と戦後の核実験関係。特にサイパンやペリリューの惨劇や、核実験で顧みられなかった島民の描写は胸に残る。また、多く移民していた沖縄県人が朝鮮・台湾人と並び「二等」国民扱いされていたたことが随所で強調される。
WWIへの日本の「押しかけ参戦」による占領とその後の委任統治。日本の艦隊決戦思想と米の島嶼占領・本土攻撃の思想のずれ。そして著者は、南洋群島攻略が海兵隊を巨大化させた、という。
経済的利益に加え、軍事面でも防衛線を本土から遠くに置こうとした思考自体は分かるとしても、制海・制空権を失えばどれだけ悲惨か。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
●西太平洋の広大な海域に点在する600を超える島々。日本は太平洋戦争に敗れるまでの約30年間、現在ミクロネシアと呼ばれるこの「南洋群島」を事実上の領土として支配した。「楽園」と言われた島々は太平洋戦争で、玉砕・集団自決の悲劇の舞台となった。
●サイパン、グアム、パラオ諸島、トラック諸島、ヤルート島。
●パラオでの戦いは、戦局に影響与えなかったことから「忘れられた戦場」と言われていた。
●海の生命線と呼ばれていて、戦略上は満州よりはるかに重要な位置にあった事は、あまり知られていない。移民の6割が沖縄県人で、南洋での玉砕・集団自決沖縄戦の前哨戦で会ったことも知られていない。
●「冒険ダン吉」は昭和8年から連載。のらくろと人気を2分していた。
●米軍は、占領したサイパン、テニアン、グアムに、B29の出撃基地を建設した。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/689842 -
第1章 日本帝国の南進
第2章 冒険ダン吉と三等国民
第3章 海の生命線
第4章 楽園と死の美学
第5章 日本を焼き尽くす砲台
第6章 水爆の海
第7章 「南洋帰り」の戦後
著者:井上亮(1961-、大阪、ジャーナリスト) -
南洋群島の戦前戦後について書かれた本。前に読んだ日本を愛した植民地と違い、戦史でした。
知っている話しもあれば、知らない話しもあり、勉強になりました。
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南洋群島と日本の関係を簡潔に丁寧に整理されてた。
きちんと引き揚げその後まで書かれていて移民史として簡潔してた。
南洋でも勝ち組/負け組の抗争をやってたというのは知らなかった。
ゼミの講読とかの教材にはいいかも。 -
新書で泣きそうになったのは初めて。
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感想未記入。引用省略。
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「坂の上の雲」の坂を転がり落ちた。
太平洋を碁盤に例えるとまさしく捨石だ。
移民の6割が、そして死者の85%が沖縄の人という。
朝鮮人も動員された。受刑者が滑走路づくりに送り込まれた。
各地で悲惨としか言いようがないことに。
二等国民、三等国民とは何だ?
その後の沖縄戦や米軍基地を思うと、本土への言い尽くせぬ思いがあることが分かる。
「酋長の娘」を歌える自分に驚く。 -
南洋諸島が、日本により統治されるようになって行くまでのことや、日本統治下のこと、第2次大戦下での出来事等、本書は通史的に巧く纏めた労作である。
こうした「余り知られていない?」を説く一冊は重要だ…そして何となく思うのは…所謂“現代史”の範疇に入るような出来事や経過に関して、「存外に知らないこと、忘れられていることが多いのかもしれない」ということだ…