京都 近現代建築ものがたり (985;985) (平凡社新書 985)

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 105
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582859850

作品紹介・あらすじ

京都は古建築だけでなく近現代建築の宝庫だった! 辰野金吾、ヴォーリズ、前川國男、安藤忠雄……。現存する建築の見どころをひもとき、明治から現在までの日本の建築史を概観。

感想・レビュー・書評

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  • 入手後に紐解き始め、頁を繰る手が停め難くなってしまい、素早く読了に至った一冊である。
    本書は「全く“題名”のとおり!」に京都に在る近現代の建築を紹介する内容で13箇所を取上げている。
    取上げられた13箇所は、(自身も含めて)京都を訪ねる人が立寄る、近くを通るというような場所も、必ずしもその限りでもない用途の場所も、色々と取り混ぜている。が、総じて明治期から平成期までの「当該建築の登場と社会の潮流」というようなことが論じられ、「建築を介して学ぶ近現代史」という感、または「建築から知る京都の近現代」という感がする。
    加えて本書では、取上げた建築に携わった建築家達の仕事の経過、当該の建物で発揮されている特徴というようなことも詳しく論じている。或いは「京都に足跡を残す建築家達の物語」という感でもある。
    本書の13箇所の中、京都駅のビルに関しては、列車の乗客として駅ビルを利用すべく中にも入っているのだが、他は近くを通って眺めたか、さもなければ知らない場所だった。が、本書で色々と知識を得られた。京都を訪ねる機会には、本書の情報を参考に何箇所か立寄ってみたい感だ。

  • 本著で取り上げられた建築の中で異彩を放つのは、菊竹清訓の京都信用金庫の支店・本店群が挙げられる。1971年以降、20年に渡って70以上の建築を残す事が出来たのは、菊竹自身のメタボリズムの考えに合致していた事もさることながら、金庫の榊田理事長のリーダーシップの元、長年に渡ってぶれずにコーポレートアイデンティティーが行われたからではないか、と思う。

    90年代以降その動きが止まってしまったのは、バブル崩壊に加えて理事長が85年に57才で亡くなった事も遠因しているだろうか。

    京都信用金庫の章だけでも買った価値のある一冊だった。

    京都岡崎蔦屋書店にて購入。

  • 読了 20230130

  • 【電子ブックへのリンク先】
    https://kinoden.kinokuniya.co.jp/muroran-it/bookdetail/p/KP00063201/
    学外からのアクセス方法は
    https://www.lib.muroran-it.ac.jp/searches/searches_eb.html#kinoden
    を参照してください。

  • 有り S523/ク/21 棚:13

  • 片山東熊、辰野金吾、伊東忠太、武田五一、ヴォーリズ、村野藤吾、山田守、大谷幸夫、菊竹清訓、安藤忠雄、原広司、前川國男、前田健一郎。
    13の建築を通じて「建築家」と呼ばれる人間と「京都らしさ」をものがたる。

  • 紹介されているのは京博、京文博、から始まって国際会館や京都駅ビルを経由して最近リフォームしたロームシアター、京都市美までの13建築について、流れるような文章で魅力を説明していきます。。京都の建築はそれなりに見ているつもりでしたが、京都信金は盲点でした。あと安藤忠雄のは地震に弱そうに思えるのだけど、どうなんだろ。とりあえずこの本を持って京都の建築を見に行くのを、1度やってみる必要が有りそうです。

  • 地元であるから、外から見るのみならず、中に入ったことのある建物ばかり。どれも、確かに印象に残る京都のランドマークではある。でも、建築家がきちんと鑑賞するようなポイントについては、何も見ていなかったんだな、と気づく。

  • はじめに
    第一章 京都国立博物館明治古都館(旧帝国京都博物館本館)
    宮廷建築家・片山東熊
    国家の宝を容れる
    博覧会と博物館
    古都の博物館の意義
    元老との緑
    日本美術史を空間化
    西洋建築の核心をつかむ
    第二章 京都文化博物館別館(旧日本銀行京都支店)
    近代都市としての京都
    独特の浮遊惑
    日本銀行の建築家
    三条通の特異性
    世の中を変える個人
    第三章 本願寺伝道院(旧真宗信徒生命保険株式会社本館)
    門前町の「世界」建築
    建築史家にして実作者
    世界の建築を体感した建築家
    第四章 京都府立図書館
    伊東忠太、武田五一の新意匠との出会い
    伝統と現代を横断
    宮廷建築の気品
    時代の最先端を行く優雅
    実体を超えた図案の力
    世紀末ウィーンの響き
    「学問の街」をつくる
    第五章 東華菜館本店
    中部料理店になった西洋料理店
    近江八幡のアメリカ人
    隣人愛の空間
    隣人っぼい建築の味わい
    モダン都市・京都
    第六章 ウェスティン都ホテル京都(旧都ホテル)
    観光の京都とともに
    新旧の鏡を紛らわすデザイン
    土地に根ざした「日本のホテル」
    村野の「数寄屋」
    第七章 京都タワービル
    「悪名高きタワー」
    「後出し」だったタワー計画
    「本年の最も悪い作品」
    炎上の後に
    第八章 国立京都国際会館
    京都議議定書の舞台
    ハイレベルなコンペ
    今までに存在しない建築を
    「和風」に安住しない国際都市
    第九章 京都信用金庫
    不確かな時代への挑戦
    コミュニティ・バンクという思想
    傘のような構造体
    四つの傘の三者三様
    二年目の充実
    多様性を増す手法
    総合力としての建築
    建築の新陳代謝は失敗したのか
    京都が生んだシステムとしてのデザイン
    第一〇章 TIME’S
    高瀬川を建築に取り込む
    「住吉の長屋」という画期
    美しいコンクリートのわけ
    持続する内発
    場所が強くする建築
    自作との対話
    散歩体験の京都
    第一一章 京都駅ビル
    風景をつくる建築家
    なぜ国際的に案を競ったのか
    夢宿る幾何学
    新古今和歌集と羅城門
    姉妹都市からの贈り物
    脱構築の建築
    世界的大家の幻の追作
    永続する夢
    第一二章 ロームシアター京都(京都会館)
    伽藍のような統合
    会館としての空間
    洗純された姿
    第一三章 京都市京セラ美術館(京都市美術館)
    国内最古の美術館建築
    小さな意匠の侵美な強さ
    伝統性と現代性の共存
    コンペの前健さん
    リニューアル工事と再開館
    現代的でアート的
    継承の時代を牽引する街

  • 京都にある近現代建築を紹介しながら、京都そして日本の建築史について語った一冊だ。
    もってまわった語り方が多く、すっと頭に入るというよりは、一度立ち止まって読み返して言いたいことがわかる、という感じで、少々とっつきにくい。
    一般読者よりは、ある程度知識があり学術的な言い回しにも慣れている人向けの本なのかも。

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著者プロフィール

倉方俊輔 Syunsuke Kurakata
建築史家。東京生まれ。大阪市立大学教授。
著書に『東京建築ガイドマップ』(共著・小社刊)、『生きた建築 大阪』(共著・140B)、
『東京建築 みる・あるく・かたる』(共著・京阪神エルマガジン社)、『ドコノモン』(日経BP社)など多数。

「2022年 『東京レトロ建築さんぽ 増補改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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