社会という荒野を生きる。 (ベスト新書)

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  • ベストセラーズ
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感想 : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784584125922

作品紹介・あらすじ

「いま私たちはどんな時代を生きているのか」「これからの時代で何を大切にして生きていくべきなのか」。
社会学者・宮台真司が日々のニュースや事件、社会現象をネタに、「そもそもなぜそれが起こったのか」を解説しながら、現代という社会、また、より良い生き方のスタンスについて詳しく丁寧に説いているラジオ番組「デイキャッチャーズ・ボイス宮台真司」。
「天皇と安倍総理」「民主主義と独裁」「沖縄問題のゆくえ」「ブラック企業」……。この社会の本当の「問題の本質」を解き明かす。宮台真司の「本質を見抜くニュースの読み方・考え方」が学べる書。
社会学的知見に基づいたフィールドワークを通して論考した宮台の現代批評は、不透明な時代の見晴らしを良くする武器となるはずだ。

感想・レビュー・書評

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  • 本書はとても読みやすい。といって、内容が浅薄ということではない。宮台氏の鋭い舌鋒は本書でも健在だし、その裏付けとなる社会分析もいつもの重厚さを保っている。読みやすさは、専ら本書の言葉遣いが宮台氏の他の著書と比べて、平易であることに由来するのだろう。
    ここでも宮台氏はあくまで「正論」を端的に、かつ論理的に述べている。
    宮台氏は他の著書でも「社会の空洞化」を主張しておられる。本書は身近なトピックを扱っているだけに、社会の空洞化が「なぜ起きたのか」、そしてその結果「社会はどのように変化したのか」がより自分に近い次元で疑似体験できるのではないかと思う。ある時期を境に「ニート」と呼ばれる層が増加し、あるいは高学歴な人間が突飛な問題を起こして社会を賑わせたりしている。その理由(答え)も、本書を読めば理解できるだろう。
    日本の政治家の「劣化」が著しい。もともと米国の支配下での政治しかできない政治環境下で、まともな政治家の醸成を期待することが無理なのではないかとさえ思えてくるが、現状を見れば米国の顔色だけを窺い、政治家が本来目を向けるべき国民(市民)を顧みることすらしなくなった。米国さえ文句を言わなければあとはやりたい放題――それが我が国の現状だ。そして、空気を読み、結果として自分たちの利益のためにのみ動く官僚どもがそれに続く。「人事権」という首根っこを押さえられている役人たちは、もはや思考停止に陥っている感さえある。
    本書の中で、猿の命名にあたり「シャーロット」と名付けたことに端を発し、「勝手に」英国王室の意向を「忖度」したことについて書かれていた。それに対する英国王室の反応は、実に面白かった。ここでも宮台氏の説明は合理的である。「忖度」されて有頂天になり、恥の上塗りを続ける我が国の政治家たち。にもかかわらず、そうした莫迦をあがめる人たちが増えたこの社会は、本当に「生きづらい」。生きるのが辛くなったとき、改めて本書を読み返してみようと思う。

  • ラジオ番組でいつも聞いているので、本をみつけてすぐ買いました。期待通りでした。鋭くて深くて、そうなんだろうな、と思いつつ読みました。こちらには簡単に賛成できるほどの見識があるわけではないので、そうなんだろうな、どまりですが、とても心に残りました。

  • 2021I149 304/Mi
    配架場所:C2

  • およそ10年前のニュース評を軸とする社会分析だか、現在でも実にリーダブル。それは著者が述べる様に同じ類のニュースが繰り返されていることもあるのだろうが、何より論評が本質をついていること&当時指摘されている課題・要因、つまりは日本の難点が、未だ未解決ということであろう。まぁ10年そこらで状況が改善するものでもないのだろうが…。兎に角、様々な分野に対する縦横無尽な解説にいちいち納得したのはもちろんだが、結局のところ著者レベルの教養が無いとこれらのニュース・事象を正しく理解すること能わずか…。

  • ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB26999322

  • 社会の空洞化、感情の劣化。
    頑張ったのにこれじゃない感。

    社会心理学の観点から、安倍政権、脱原発、憲法、ISILなど、具体的テーマで、何が本質的問題なのか、それを踏まえてどうする、と言った内容が盛りだくさんで、正直、論理の理解はできるけど、情報過多でまだ飲み込めてない。
    私が貢献価値として認められて、帰って来れる場所としての共同体はとても共感で、こういう場所はとても大事だと思う。感情が劣化している私ですが、共同体作ってみようと思う。

    個人的に、口調が対立的なところがあまり好きじゃないので、評価低めですが、指摘は鋭いなと、いい視点もらいました。

    追加で、祭りの大事さも少し理解が進んでよかった。
    日常に変性意識状態を用いて活性を呼び込む

  • あらゆる事象を著者目線で切れ味良く、分解し解説してくれている。戦争、安保、沖縄問題など重たい話題もしっかり解説していた。
    一つ一つの事象を理解するというより、その背景や人間性などに照らし合わせて解説しているので普遍性もあり納得感があった。
    エビデンスに基づいている部分は少ないが、著者の社会学の洞察をもとに語られている。

  • クソな社会を痛快にぶった斬ってくれる。知性の塊。

  • 著者は、社会の地域共同体や中間層の分解により、分断され感情が劣化した個人が、メディアやインターネット上での同質な者とのコミュニティ等に承認を求め、果てはイスラム国のようなものにまでそれが拡大される現代に警鐘を鳴らし、基盤としてのコアな場を持つことの重要性を説き、同時に国民の感情劣化による民主主義の危機と日本の政治の知性の劣化にも警鐘を鳴らし、国民や住民の直接投票を活用した健全な民主主義の確立を唱える。

    と、言ってることはわかるし、知識が豊富なこともわかるし、勉強にもなる。
    一方で、以下の点が少し気になった。
    ・そもそも他人からの承認を求めない真の自立した個人という理想像が見えず、承認欲求の奴隷として生きることを前提としているように見える。
    ・政権の知性劣化批判として、歴史的ルーツへの深い理解もないままに概念や制度を都合よく利用していることを看破してみせるが、本来重要なのは、現在直面する課題に対する解決策として有効かつ適正かの評価であって、何百年も前のルーツとなった出来事との整合性を軸に批判的評価を展開することには違和感が残る。

  • 社会で起きている出来事を裏側から解説してあり、とても勉強ななった。
    ラジオ番組かなにかで話したことを文字起こしして、本にした内容なので、社会学素人のぼくにとってはとっつきやすかった。

    宮台真司さんの視点はとで面白く、他の本も読んでみたい。

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著者プロフィール

社会学者。大学院大学至善館特任教授。東京都立大学教授。東京大学文学部卒(社会学専攻)。同大学院社会学研究科博士課程満期退学。大学と大学院で廣松渉・小室直樹に師事。1987年東京大学教養学部助手。1990年数理社会学の著作『権力の予期理論』で東京大学より戦後5人目の社会学博士学位取得。権力論・国家論・宗教論・性愛論・犯罪論・教育論・外交論・文化論で論壇を牽引。政治家や地域活動のアドバイザーとして社会変革を実践してきた。2001年から「マル激トーク・オン・ディマンド」のホストを務め、独自の映画批評でも知られる。社会学の主要著書に『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』(幻冬舎文庫)、『日本の難点』(幻冬舎新書)、『14歳からの社会学』(ちくま文庫)、『子育て指南書 ウンコのおじさん』『大人のための性教育』(ともに共著、ジャパンマシニスト社)、映画批評の主要著書に『正義から享楽へ』『崩壊を加速させよ』(blueprint)がある。

「2022年 『神なき時代の日本蘇生プラン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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