ハンス・ヨーナス
(Hans Jonas)
1903年にドイツのメンヒェングラートバハの裕福なユダヤ人家庭に生まれる。学生時代にシオニズム運動に参加。ハイデガー,ブルトマンのもとでグノーシス思想研究によって学位取得。ナチスの政権掌握の年,ドイツを出国。イギリスをへてパレスチナに移住。第二次世界大戦が勃発するとイギリス軍に志願し,ユダヤ旅団に属して戦う。戦後はパレスチナ戦争に従軍後,イスラエルを出て,カナダ,さらにアメリカ合衆国に渡り,ニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ校教授を務めた。目的論的自然観による生命哲学を展開し,生命倫理学の研究拠点ヘイスティングス・センター研究員を務め,人間を対象とする技術操作に警告を発する。地球規模での環境破壊に抗して未来に人類を存続せしめる現在世代の責任を説く責任原理によって世界的に知られるにいたる。1993年にニューヨークで死去。『グノーシスの宗教』(人文書院),『責任という原理』(東信堂),『生命の哲学』(法政大学出版局)等が邦訳されている。
「2023年 『アウシュヴィッツ以後の神〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」