われわれが生きている現実: 技術・芸術・修辞学 (叢書・ウニベルシタス 1019)
- 法政大学出版局 (2014年10月29日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784588010194
作品紹介・あらすじ
小著でありながらその思想と主題を凝縮しているため、「知の巨人」の思考と独特の叙述に触れるのに格好の書。フッサールの『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』に基づいた「生活世界と技術化」、近代に芸術・技術が「創造的人間」の理念を産む経緯を辿った「自然の模倣」、修辞学を人間学的に解釈する「修辞学の現代的意義」のほか二本の小論と一編の講演からなる。
感想・レビュー・書評
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ブルーメンベルクの論文集。「生活世界と技術化」、「自然の模倣」、「修辞学の現代的意義」、「言語状況と内在的詩学」、「パラダイム」、「エルンスト・カッシーラーを讃えて」を収録。タイトルからも分かるように、本書で扱われているテーマは、フッサール以来の生活世界論と技術概念の関連、技術・芸術思想における「自然の模倣」というトポスの意味とその変容過程、哲学と対比される修辞学の主題の再解釈、詩解釈における言語の位置づけ、「パラダイム」という科学史のトポスに関する短論考、カッシーラーに引き寄せて学問史の意義を述べる…など、多様なテーマが縦横無尽に展開されている。ブルーメンベルクの思考をある程度見通しよくするには、「訳者解説」を先に読んだほうが良かったかもしれない。博覧強記もさることながら、古典的なトポスがどのように変容していったのかを現代の思想状況も踏まえながら綿密に記述している点がこの論文集の面白い点である。もちろん、古典的トポスが形成された時期にあっては、現代ほど学問の分化が進んでいるわけではないので、ブルーメンベルクの思想史を位置づけることが困難だと言われることもむべなるかなと思わせられる。
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