カウンターセックス宣言(叢書・ウニベルシタス) (叢書・ウニベルシタス 1149)

  • 法政大学出版局
3.25
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 44
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588011498

作品紹介・あらすじ

ジェンダー、フェミニズム、性の脱植民地化の思考においていま最も過激で先端的な哲学者プレシアド。対抗的な性的身体の可能性を、セックストイ、ポルノ、ドラッグなど技術の歴史の読解から導き出し、生物学的に自然なものとされてきた異性愛中心主義的・性別二元論的な体制の脱構築を図る。フーコー、ドゥルーズ、デリダを批判的に継承し、フェミニズムとクィア理論をさらに推し進める解放の書!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 途中から意味不明…いや最初からだったかも…

    p.29 私たちは、性の単一言語使用で育てられているのだ。性の単一言語とは、私たちが社会的な工作物として知覚できない言語、つまりそのアクセントやメロディーを十分に聴き取ることができないまま理解している言語である。私たちは、医療や法律による性別の割り当て、教育や処罰、読み書き、イメージの消費、模倣や身体的反復、苦痛や快楽を通して、単一セクシュアリティに入り込んでいく。しかしそれでも私たちは、認識や権力や欲望の異なる体制のもとで、他のどのようなセクシュアリティにも入っていくことができたはずなのだ。私たちは、多少の疎外感や距離感をもちながらも、自由、喜び、充足を感じながら、他のどんな性の言語をも学ぶことができる。別のセクシュアリティ、欲望と快楽の別の生産体制を学び、発明することは可能である。…カウンターセクシュアリティとは、私たち自身のセクシュアリティの異邦人となり、私たち自身の性のモノリンガル状態を脱自然化し、静的な翻訳作業の中で自分自身を失い、自分自身を発明しようとする試みなのである。

    p.34 ポータブル・コンピューターのように作動する半技術的でサイバネティクス的な補綴装具たち、合法な薬として販売されている化学的な人工物たちなど、私たちは主体の義体化の時代に生きている。20世紀半ばまでは、規則訓練型の機関(家族、家族、病院など)が、そしてそれらを通じて家父長制的ー植民地主義的な国民国家が、セックスとセクシュアリティの定義のヘゲモニーを握っていたが、1950年代以降、これらの期間は人工装具の生産手段をコントロールする新興の薬物ポルノ巨大企業(Google、Facebook、ノヴァルティス、ロッシュ、ファイザー、サノフィ、YouTube、ユーポーン、Tinder等々)と、このヘゲモニーを共有し、時には争うようになったのである。この20年間で、私たちはベッドの上で身体とプライベートなセックスをすることから、公衆の人目につくスクリーンの上で物質とセックスするようになった。セックスは、いまやデジタルでのコミュニケーションとオンラインでの消費を意味する。

  • すっげぇ!!プレシアドの魅力にハマる一冊。
    ディルドの反転実践は笑ったけど、その後の言説を追っていくと決してただのジョークではなく、革命のための手段であり、権力や先行機関からズレるための道しるべ。
    バトラーのパフォーマティビィティを援用しながら、その先に行こうとする著者の強烈なエネルギーが文章に満ちている。
    性テクノロジーを起点としてた新たなトランス論。
    マクルーハンのメディア論についてはちゃんと読まないと。
    本質と構築の対立からの解放、新時代の啓蒙書。
    ドゥルーズ、フーコー、マクルーハンなど復習すべきポイントが満載で知的快楽に彩られた幸せな読書体験でした。

  • なかなかの過激派。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

ポール・B.プレシアド(Paul B. Preciado)
1970年生まれ。スペインのブルゴス出身の哲学者。トランス・クィア活動家、キュレーター。ニューヨークのニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチでジャック・デリダとアグネス・ヘラーに師事した後、プリンストン大学建築学科で博士号を取得。早くからトランスを自覚していたが、30代半ばからテストステロンを用い、外科手術をともなわない「緩やかなトランス」を開始。2015年に出生時に与えられたBeatrizの女性名でなくPaulを名のるようになり、2016年には戸籍上の性も「男性」に変更したが、ノンバイナリーなトランスの立場をとる。フーコー、ドゥルーズ、デリダの思想をハラウェイのサイボーグ・フェミニズムと接続し、現代の先端テクノロジー状況(先端生殖医療、サイボーグ技術、遺伝子工学、コンピューター技術、メディア技術、新薬理学、等々)におけるセクシュアリティをめぐる生政治・生権力の問題を、トランスジェンダー、クィアの立場から鋭く論じる。ニューヨーク大学やプリンストン大学の招聘教授を務めたほか、バルセロナ現代美術館、ソフィア王妃芸術センター、LUMA Arlesのキュレーターを務め、前衛的な性芸術や性文化の創造・普及の現場でも活躍している。未邦訳の著作に Pornotopia:an essay on Playboy’s architecture and biopolitics(Zone Books, 2014). Un appartement sur Uranus:Chroniques de la traversée(Grasset, 2019), Dysphoria Mundi: La révolution qui vient(Grasset, 2022)、ほか。

「2023年 『テスト・ジャンキー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ポール・B.プレシアドの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×