作品紹介・あらすじ
一本の棒に乗り台を下げ、人が担いで運ぶ「駕籠」が、日本独自の、そしてほぼ江戸時代に限定される乗り物であったのはなぜか。本書は、その前史から衰退までの歴史を探り、資料館や博物館、旧家や寺社に現存する駕籠を調査して、駕籠の様式、利用の実態、地域ごとの特色、「車」の利用を抑制する交通政策との関連、駕籠かきたちの風俗までを明らかにして、日本交通史の知られざる側面に光を当てる。
感想・レビュー・書評
絞り込み
-
最近、アメリカのスミソニアン博物館に、篤姫の駕籠があることが確認されたとのこと。 急速に駕籠に対する着目が広がっています。
4ページに「輿は高く釣って運ぶため,担いでいる人が石につまずいて転んだ場合は,乗っている人がけがをすることがあった。「垂仁記」15年には「堕輿而死」とあり」
輿入れという結婚の儀式が、駕籠にまつわるものだということを、本書で初めて知りました。 「ゆすり」という語も、駕籠との関係をP140に書かれています。
駕籠が江戸時代に流行ったものであるため、江戸時代の調査資料にもなる。
著者が名古屋の方のためか、尾張での駕籠という節があり、尾張地方の文化調査の資料にもなる。
ps.
p28の町田本が、1545-1531となっているが、これは1525-1531の誤植であろうか。
ps2.
櫻井さんの「輿」の本に「日本の乗用具の歴史をみると,各時代を代表するものは,奈良時代の輿,平安時代の牛車,鎌倉・室町時代の騎馬,江戸時代の駕籠,明治時代の人力車など」219
そうだったのか。それならこれらを勉強しよう。
ものと人間の文化史で,櫻井さんが輿,牛車,駕籠を書いている。
著者プロフィール
1938年,愛知県名古屋市に生まれる.愛知学芸大学卒業,愛知県内の小中学校および愛知県教育委員会義務教育課長を歴任.
交通史研究会会員,名古屋郷土文化会理事,春日井市文化財保護審議会委員.
著書に,『尾張の街道と村』(第一法規出版,1997),『駕籠(ものと人間の文化史141)』(法政大学出版局,2007),『幕末の尾張藩』(中日出版社,2008),『輿(ものと人間の文化史156)』(法政大学出版局,2011),共著に,『下街道』(春日井市教育委員会,1978),『ぼくらの愛知県』(ポプラ社,1984),『社会科基礎学力の指導』(明治図書,1985)など.
「2012年 『牛車(ぎっしゃ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」
櫻井芳昭の作品