日本のお弁当文化: 知恵と美意識の小宇宙

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  • 法政大学出版局
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784588300523

作品紹介・あらすじ

和食が世界無形文化遺産に登録され、近年ますます国内外から注目されている「お弁当」。百姓や雑兵の携行食から、観劇のお供の幕の内、各地の名産の詰まった駅弁、松花堂や現代のキャラ弁にいたるまで、庶民のエネルギー源であり美意識の表現でもあったお弁当は、どんな歴史を歩んできたのか。だれもが愛する独特の文化を、器や食の作法の伝統にも注目しながら語り下ろした初の書。オールカラー。

感想・レビュー・書評

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  • 国内外から注目されているお弁当の、歴史と独特の文化を探る。
    序章  世界が注目する日本のお弁当文化
    第一章 「働く力」とお弁当
    第二章 花見弁当 季節や自然を楽しむお弁当
    第三章 観劇弁当 芝居と一体化して楽しむお弁当
    第四章 駅弁 楽しむお弁当旅情を
    第五章 松花堂弁当 おもてなしのお弁当
    第六章 食の思想とお弁当
    第七章 社会の変化とお弁当
    18のコラム、参考文献資料有り。所々Web資料の紹介も。
    豊富な画像はすべてカラー。
    テーマは、日本のお弁当文化。
    歴史、伝統、食材、器、盛り付け、駅弁の掛け紙等まで、
    日本のお弁当に関する様々な観点に注目した内容になっています。
    日本食ブーム、アニメやマンガがきっかけで、日本のお弁当に
    注目が注がれ、“BENTO”が世界共通語となりつつある現代。
    遥か遡り、里・山・海の民の携帯食、雑兵の兵糧の工夫、
    武士の腰弁当は下級官吏へ、サラリーマンへ。
    働く力のエネルギーとなったお弁当は、花見の提重や
    観劇の幕の内弁当、旅情を楽しむ駅弁等、安らぎも与える面も。
    湯木貞一は茶の湯から松花堂弁当を生み出す。
    それは、おもてなし料理であり、携行しないお弁当。
    日本の食文化は“神”への畏敬と感謝・・・神饌、直会。
    仏教での食の作法が庶民に・・・いただきます&ごちそうさま。
    そして現代に戻り、宅配弁当、持ち帰り弁当、仕出し弁当、
    取り寄せおせち、ハラール食の宅配弁当等。
    手作り弁当の多様化とキャラ弁まで。
    それはもう、お弁当の如く、多彩な知識が盛り込まれています。
    文章も優しい風合いで読み易かったです。
    ドカベンが土方の持つ大きな弁当からの由来、
    戦時中の軍弁(軍隊弁当)の話など、興味深い内容でした。

  • 商業弁当の文化史として優れた研究のように思いました。
    一方で、家庭での手作り弁当の視点がないと、大きな枠での「日本のお弁当文化」とは言えないような気もしました。
    この点については、最後のほうで少し触れられている程度でした。

    先日ある番組で、ある一般人男性が定年を迎えるということで、長年お弁当を作ってくれたことに対する感謝を述べられているものがありました。社会人になってからは奥様に、学生時代はお母様にお弁当を作ってもらっていらしたようでした。
    それ自体は否定されることでもないし、正直自分(独身中年男性です)もうらやましいなと思いました。と同時に、その方は、ご自身でご自身(もしくはお子様の)お弁当を作られることはかなったのかな、と、ちょっとモヤモヤしてしまいました。

    私は料理が苦手なので、コンビニ弁当で済ませてしまいます。そのほうが高く付くのはわかるのですが、料理に一日1時間以上かけることが、フルタイムで働いているとなかなか難しいので、このまま料理スキルが上がらずにじいさんになってしまいそうです・・・。小さい頃に料理をしておくことは必要ですね。

  • OBENTOは日本が誇る文化の一つです。

    その歴史は今までに多くの文献で語り尽くされ
    ています。

    この本の特徴は、お弁当のシチュエーション別
    に考察を行っている点です。

    花見弁当、幕の内弁当として知られる観劇弁当
    や松花堂弁当、旅には欠かせないご存知駅弁な
    ど。

    お弁当と一言で表しても、その使用スタイルは
    非常に多岐にわたっています。

    そして現在はキャラ弁という「見る」「見せる」
    スタイルにまで発展しています。

    弁当文化の全てが分かる一冊です。

  • いまどき、助六とか幕の内の由来とかを知る人って少ないのかもしれないな、と読んでいて思った。
    お弁当って意外と文化が詰まってるものなんだなー。

  •  

  • ━~━~━~━~企画展示~━~━~━~━
            ハコメシ
    ━~━~━~━~━~━~━~━~━~━~

    その起源を奈良時代までさかのぼることができる日本の重要な食文化「お弁当」。
    日本庶民の日常に欠かせなかったお弁当の歴史を、お弁当が食べられていたシチュエーションや場所ごとの特色を取り上げつつ紐解いていく。

    ━~━~━~━~━~━~━~━~━~━~

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    ━~━~━~━~━~━~━~━~━~━~

  • 内容は、なんか薄っぺらくて私は面白くなかった。
    田植えに関する記述があったが、矛盾していてなんだかな~という感じの本でした。

    https://seisenudoku.seesaa.net/article/481848518.html?1640169457

  • 383-G
    閲覧

  • 弁当に相当するものは世界中にある。しかし日本のものは趣が独特のようで、そのため「bento」という言葉で世界に知られている。単に「空腹を満たすためのもの」ではなく、「お」弁当という言葉で表されるように作り手の真心と、弁当箱を開ける時のワクワク感がある。暖かいご飯はもちろん美味しいが、冷めていてもなぜか無性に美味しい、それが弁当だ。

    弁当を中心に、日本の食文化や歴史、宗教観なども掘り下げている。いつもお腹を空かせていた育ち盛りの頃の、お弁当を食べる時間を楽しみにしていたことを思いだしながらも、たまにはコンビニ弁当も食べてみようか、と思いつつ結局自炊する私だった。

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著者プロフィール

1950年生まれ。大阪府出身。日本女子大学卒業、立教大学大学院修了。日本航空㈱国際線客室乗務員・文化事業部講師を経て、ヒューマン・エデュケーション・サービス設立。1997年より(財)日本交通公社嘱託講師、国土交通省・観光庁・自治体の観光振興アドバイザーや委員を務める。2009年より横浜商科大学、文教大学、高崎経済大学の兼任講師(ホスピタリティ論、アーバンツーリズム、ライカビリティの心理と実践、他)。著書:『新現代観光総論』(共著、学文社、2019)。

「2020年 『日本のお弁当文化 知恵と美意識の小宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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